ジェンダーの格差を見直して、真に心地よい社会を! ~連載「はじめよう!フェムテック」vol.19

2022/03/24

2021年10月26日(火)から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』(毎週火曜~木曜 19時53分~57分頃)。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた3回分の内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

●パーソナリティー

伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。29歳の長女一人。

東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった31歳。

●ゲスト

三浦宗一郎さん Soichiro Miura
一般社団法人 HASSYADAI social 代表理事。愛知県・豊田市出身の26歳。中学卒業後、トヨタ自動車の企業内訓練校であるトヨタ工業学園に進学。卒業後、トヨタ自動車に就職し、自動車製造に関わる。2017年に内閣府世界青年の船日本代表に選出。その後、トヨタ自動車を退職し、約 20 カ国を旅する。2018年から株式会社ハッシャダイで「ヤンキーインターン」のプログラム開発や、研修などに従事しながら、100校以上の高校で講演活動を行う。2020年より一般社団法人 HASSYADAI social を、第17週にゲスト出演された勝山恵一氏とともに設立。https://social.hassyadai.com/

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第19週。ゲストは、一般社団法人 HASSYADAI social 代表理事の三浦宗一郎さんです。「2週前に出演してくださった勝山恵一さん同様に、近年、出会った若い世代のかたで、最も感動した人物です。これまで数多くの若者と接してきた宗ちゃんのお話を伺って、今後のフェムテック推進のために、新たなアプローチの参考にしたいと思っています」(伊久美)

【Talk 1】

■東島アナ「かつて不良だったり、不登校だったという中卒や高卒の若者に、今後・将来の選択肢を伝える、株式会社ハッシャダイの“ヤンキーインターン”というサービスに取り組んでこられた三浦さん。そんな三浦さんにお伺いしたいのは、“若者たちが抱える問題点”です。たくさんの若者たちが発する生の声を聞いてこられて、どんなことを感じていますか」

■三浦「いろんな高校にお伺いし、様々な課題がある中でより多くのサポートが必要だと感じるのは、LGBTQなど、ジェンダーに関する悩みを抱えている子たちです」

■東島アナ「近年、LGBTQのかたに対する認識は変わってきているように思いますが、今でも、カミングアウトをためらう生徒さんたちは多いのでしょうか」

■三浦「そうですね。教育の現場や家庭での、また就職活動の際にも、LGBTQであることが、大きな壁となっているようです」

■伊久美「ジェンダー平等、学歴不問が叫ばれていますけれど、現状ではご自身を弱者と思ってしまい、どう行動していけばいいか、迷われている若者は多いだろうなぁと想像します」

■三浦「そうなんです。例えば高校では、男女の制服やトイレの問題など、性別を変更して起用することは難しいです。高校を卒業して就職する際、企業の雇用形態も男性、女性というふうになっていますし。現場のシステムに問題があります。そのため、彼らは自分自身に可能性があるとは思えず、弱者だと思わざるをえないというのが実情なのでは、と感じています」

■東島アナ「そういう若者たちからの声を聞き、改善策に取り組んでいる高校もあるのでしょうか」

■三浦「私たちは、北海道のある高校と一緒に、“CHOOSE YOUR LIFE x LGBTQ PJ”という活動を行っています。現場の先生たちはとても情熱をもっていて、生徒一人一人と真剣に向き合おうとされています。どうしたら若者の可能性を引き出せるのか、先生たちと一緒に考え、模索しながら取り組ませていただいています」

■東島アナ「“CHOOSE YOUR LIFE x LGBTQ PJ”は、具体的にはどんな活動をされているのですか」

■三浦「例えば、社会で活躍するLGBTQのゲストをお呼びして、そのかたが実際に課題をどう乗り越えて自分の人生を選択していかれたかをご披露いただき、生徒とゲストが触れ合う相談会などを実施しています。私たちから一方的に対策案を提示するのではなく、先生、そして生徒から、とにかく話しを聞いて一緒に考えていくというプロジェクトです」

■伊久美「先生にとっても生徒さんにとっても、聞いたり、話せたり、という場があることで、前向きになれることがたくさんあるでしょうね。ジェンダー問題と同様に、フェムテックの健康課題も話しづらいことが多いので、聞いたり、話せたりという“CHOOSE YOUR LIFE x LGBTQ PJ”の取り組みはヒントになりました。ありがとう!」

【三浦 Voice 1】

ジェンダーとフェムテック、課題解決の共通点がある

高校生と接していると、LGBTQをはじめとしたジェンダーの課題は、まだまだ山積みだと感じています。昨今、メディアを中心に“ジェンダー平等”がうたわれていますが、現実には、生活のあらゆるシーンで、彼らは生きづらさを感じている。ジェンダー、そしてフェムテックの課題を抱えているかたも、悩みを打ち明けることにためらいを感じていると思いますが、自分の思いを話せたり、同じ経験をした先輩の声を聞いたりできる場が増えれば、自分の可能性を信じてポジティブに生きていくきっかけとなるのでは、と思います。そのことが、あらゆる社会システムの見直しにもつながっていくように、私たちも根気強く活動を続けていきたいです。

【Talk 2】

■東島アナ「三浦さんは、これまでフェムテックについて考えたことはありましたか」

■三浦「ほぼ無縁でした。ずーっと体育会系の男性社会で育ちました。以前は自動車工場で働いていたので、女性と接する機会が少なかったんです。フェムテックという言葉も最近知りました」

■伊久美「現在と、自動車工場で働かれていたころを比べて、宗ちゃんの女性への接し方や考えで変化した点はありますか」

■三浦「たくさんあります。男性と女性では、体や健康面での前提条件がまったく違うということを認識してから変わりました。10代のころは、女性が経験する月経が男性である自分にはないので、女性には体調の波があるというような話を聞くと、“いいなぁ、休めて”と、正直なところ感じていました。今考えれば、男女はそもそも体のつくりが違いますし、女性が体調不良で休むことは当然だと思います。ですが現在の社会のシステムには、男性に特権性があるなぁと感じています。もっと女性の側に立って、働く環境を考える必要があると思っています」

■東島アナ「男女それぞれに配慮が必要ですが、三浦さんがおっしゃった“いいなぁ、休めて”という男性の感覚は、とてもリアルですね」

■伊久美「でも今はその言葉を反省しているようですよ。今年26歳になられた宗ちゃん、だいぶ成長したのね(笑)」

■三浦「はい、だいぶ(苦笑)」

【三浦 Voice 2】

早い時期から、男女の体や健康の違いを学ぶ機会が必要

今の日本の教育現場では、男女がそれぞれの体や健康に関する知識をしっかり学ぶ、性教育の機会が少ないと思います。ゆえに、かつての自分のように、月経休暇を取る女性に対して、優遇されていると感じている男性もいるはずです。今後、すべての人が幸せに暮らしていくためには、性教育のシステムを構築していくことが課題ではないだろうか。そのことは、フェムテックがより広く浸透していくことにもつながると思います。

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

●次週は、パーソナリティーのふたりで、しっぽりトークです。

【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・火曜日~木曜日の19時53分~57分にオンエア。火曜日:ニッポン放送をキーステーションに、全国19局ネット、水曜日・木曜日:ニッポン放送をキーステーションに全国27局ネット、で放送中。聴き逃したかたは、お住まいのエリアのradikoでもお聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは27年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 Tomoki Kotobiki

 
 

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