いつもの遊びで楽しい気持ちに!「アンカリング」を子育てに活かす
2022/03/20
特定の動作と感情を結びつける「アンカリング」。じつは、子育てにも使えます。「アンカリングってなに?」という方も大丈夫。ふだん行っていることを応用すればOKです!
子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザーの山名美穂さんに教えてもらいました。
特定の行動と感情を結びつける「アンカリング」
「アンカリング」とは、特定の行動と感情を結びつけること。船の錨(いかり)を意味する「アンカー」からきていることばです。
ある音楽を聴くと過去の記憶が鮮明によみがえって、当時の感情が湧き上がる。そんな経験はありませんか。
わたしはB’zの「ultra soul」を耳にすると、ほのぼのとした気持ちになります。
これ、子どもが園児だったときに、運動会で流れていた曲なんです。幼い子ども達が一生懸命に玉を投げている姿を「かわいいな」と感じた気持ちを、この曲が呼び起こします。
「ultra soul」と「ほのぼの」が、アンカリングされているのです。また「この曲は、ほのぼのという気持ちの『アンカー』である」という言い方もできます。
イチロー選手がバッターボックスで行うアンカリング
たくさんのスポーツ選手が自分を「いい状態」にするために、アンカリングを使っています。有名なのは、元プロ野球選手のイチローさん。
イチローさんがバッターボックスで行う一連の動きは、「最高のパフォーマンスを発揮できたときの、こころの状態」とアンカリングされていると言われます。
決まった動作をすることでベストな状態を呼び起こし、ポジティブなマインドで打席に立っていたんですね。
日常生活にあるものをアンカリングとして使う
実は毎日の子育てシーンの中に、「アンカリング」として使えるものがたくさんあります。
例えば「アルプス一万尺」のような手遊び。子育ての中でお子さんと、あるいは子どもの頃に親や友だちとやったことがありますよね。
そのときの記憶を思い出すと、相手の笑顔や楽しい気持ちが浮かんできませんか。多くの方にとって、「手遊び」は「楽しい」「嬉しい」といった感情とアンカリングされていると言えるでしょう。
お母さんの顔を見て、一緒に歌いながら、手を合わせる「手遊び」。視覚・聴覚・触覚を使っています。楽しさを呼び起こす、最強のアンカリングになるはず!
「やりたくない」子どもを、アンカリングでポジティブマインドへ
子どもが勇気が出なかったり、不安だったりして行動を起こせないとき……。上の手遊びをアンカリングに使って、背中を押すことができます。
なかなか登園したがらないお子さんなら、家を出る前に手遊びをする。手遊びで「楽しい」気持ちを呼び起こしてから、出かけるようにします。
続けるうちに「手遊び=楽しい気持ち=登園」と、行動と感情が繋がっていきます。手遊びが、楽しく登園するための「儀式」となっていくわけです。
コツは毎日続けること。手遊びに時間がかかるようなら、手をパチンと合わせて「ラン♪」と言う、ハイタッチにするなどアレンジするのもおすすめです。
日常にある行動を、アンカリングとして育児に使おう
今回は手遊びという、「視覚・聴覚・体感覚(触覚+嗅覚+味覚)」の五感全てを使うアンカリングをご提案しました。
もちろん、トロフィーを見て勝利したときの気持ちを呼び起こす(視覚)、好きな音楽を聴いて気分を上げる(聴覚)など、五感のうちひとつだけを使ったアンカリングもあります。
お子さんの明るい気持ちを呼び起こすアンカーをたくさん持っていただけると、嬉しいなと思います。
■執筆/山名美穂…子育て・心理分野を得意とするチャイルドコーチングアドバイザー、LABプロファイル(R)プラクティショナー。子育てを楽にするメソッドを発信している。
編集/サンキュ!編集部
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