「矜持」とはどんな意味?語源や読み方、使い方を徹底解説
2022/10/19
「矜持」とは、「自分の能力を信じて抱く誇り」のこと。そこから転じて「自負」や「プライド」とも言い換えられます。読み方も難しく、意味を熟知している方は多くないかもしれませんが、かっこいい響きを持っているため、アニメやマンガのタイトルや決め台詞などに用いられることが多い言葉です。そこで、「矜持」の正しい意味や語源、使い方を解説します。
「矜持」とは?
「矜持」の読み方や意味、語源と英語表現について解説します。
「矜持」の読み方と意味
「矜持」は、「きょうじ」と読むのが一般的です。「きんじ」と読むこともありますが、こちらは慣用読みとなっています。慣用読みとは、本来の読み方とは異なるものの、広く普及して定着した読み方を指す言葉です。
「矜持」以外だと、「消耗」も慣用読みが定着しています。多くの方は「消耗」を「しょうもう」と読みますが、もともとは「しょうこう」と読むのが正解です。「矜持」も「きんじ」という読み方が定着していますが、本来は「きょうじ」と読みます。
「矜持」とは、「自分を信じる誇り」という意味の言葉。たとえば、「王者の矜持」や「横綱としての矜持」などと使われます。一般には「プライド」と言い換えたほうが、理解しやすいと感じる方が多いかもしれませんね。
「矜持」の語源
「矜持」の「矜」という漢字には、「矛の柄(え)」や「かたく守る」という意味があります。矛の柄は、外れないように固く締めて取りつけるものです。しっかりと固定するということから転じて、「自信のかたさ」や「誇り」を表すようになりました。
「矜持」の「持」は、そのまま「持つ」という意味です。「矜」と「持」という字を合わせて、「矜持」は「かたい誇りを持つこと」という意味をもちます。
「矜持」を英語でいうと?
「矜持」を英語でいうと、「pride」「dignity」「self-respect」にあたります。それぞれの例文をご紹介します。
・Don’t forget the pride of being the industry leader.
(業界最大手としての矜持を忘れるな。)
・She defended the dignity of the police officers.
(彼女は警察官としての矜持を守った。)
・He regenerated his self-respect.
(彼は矜持を再び取り戻した。)
「矜持」の使い方と例文
「矜持」という言葉を日常生活で多用している方は少数かもしれません。少々難しいイメージがある反面、上手く使用できればインパクトや威厳を感じられる言葉といえます。ここでは「矜持」の正しい使い方や例文をご紹介します。
アニメやマンガなどで見られる使い方
「矜持」は普段聞き慣れない分、使われていると心に残る言葉です。このため、アニメやマンガのタイトルやセリフで「矜持」が使われるケースが多くあります。
例1:男の矜持
「男の矜持」は、「男性としての自信や誇り」を表す言葉です。アニメやマンガ、時代劇など、さまざまな作品で登場する言葉となっています。
「男の矜持にかけて、仲間を守り抜く」や「戦いを放棄することは、男の矜持が許さない」といったように、男性ならではの強さや絆への自負を表現するときに使われます。
例2:人間の矜持
「人間の矜持」は、「人間として大切にしている誇りや自尊心」を表す言葉です。アニメやマンガだけでなく、評論や新聞記事の見出しなどでも使われます。
人によって「人間の矜持」は異なりますが、たとえば弱いものへの思いやりだったり、苦しい状況下でも理性的に過ごすことなどが「人間の矜持」といえるでしょう。
例3:矜持を持った生き方
「矜持を持った生き方」とは、「自分に自信や誇りを持った生き方」のこと。持つべき矜持は、人間としての一般的なものや、ある分野の専門家としてのものなど、人によって異なるでしょう。
たとえば、教師が卒業生に対して「矜持を持った生き方をしなさい」という言葉を送ることもあります。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンでも「矜持」を使うことがあります。ビジネスシーンでよく耳にする使い方をご紹介します。
例1:矜持を感じる
「矜持を感じる」は、「その人の経験や知識への信念や自信を感じる」という意味です。
たとえばビジネスシーンでは、長年同じ部署や仕事に従事している方に対して「〇〇さんからは研究開発としての矜持を感じる」と言ったり、長年培った技術を活かした商品づくりを行うときに「さすが技術の△△社と言われるような、矜持を感じる商品をつくろう」と使います。
「矜持」の類語・言い換え表現
「矜持」の類語や言い換え表現をご紹介します。
自尊心
「自尊心」とは、「自分の尊厳を意識して、他人の干渉を受けずに品位を保とうとする心情や態度」のことです。「矜持」の言い換え表現として使えます。
プライド
「プライド」はもともと英語由来の言葉ですが、日本語でいうと「誇り」や「自負心」です。「矜持」の類語として言い換えられます。しかし、「プライド」は「高慢」や「自惚れ」といったマイナスのニュアンスも持ち合わせています。確固たる自信や尊厳に関わるような信念に基づく「矜持」のほうが、「プライド」よりもポジティブな意味合いで使うことが多い点には気をつけた方がよいでしょう。
自負
「自負」とは、「自分の才能や仕事に自信や誇りをもつこと」です。「自負」は、自信があってほかの人には負けないという意味合いがあります。「人間の矜持」と置き換えて、「人間の自負」ということはありませんが、ほとんどの場合は「矜持」と同じように使える言葉です。
「矜持」を使うときの注意点
「矜持」は印象に残る言葉ですが、少々難しいと感じる方も多いでしょう。「矜持」を使うときの注意点を解説します。
基本的には書き言葉として使う
「矜持」は、基本的には書き言葉で使うことをおすすめします。それは、「きょうじ」と聞いたときに、「矜持」という文字を思い浮かべたり意味を理解したりできる方が少ないからです。また、慣用読みですが「きんじ」と読む方も多いため、余計に意味を把握しにくい言葉といえます。
話し言葉のときは、「プライド」や「自負」といったほかの言葉に言い換えたほうが伝わりやすいでしょう。
「矜持」は強い意志を表す言葉
「矜持」は、その道を歩んできた人の持つ確固たる自信を表す強い言葉です。その人の尊厳に密接に関わるニュアンスをもちます。このため、「矜持」を安易に使わないほうがよいケースがあることも、覚えておくとよいでしょう。
まとめ
「矜持」は、「自分を信じて誇る気持ち」を表現する言葉です。インパクトが強くかっこいい印象があるので、アニメやマンガのタイトルや決め台詞などに使われることが多い言葉でもあります。ビジネスシーンでは、社長の挨拶や誰かをほめるときに使うことが多いでしょう。
しかし、「矜持」は誰もがよく使う言葉ではありません。読み方も「きょうじ」と読むのが一般的ですが、「きんじ」という慣用読みも定着しています。このため、耳で聞くだけでは、咄嗟に意味がわかりにくい言葉ともいえます。そのため、「矜持」は文章のなかで使うのがおすすめです。話すときは「プライド」や「自負」と言い換えると、相手に伝わりやすいでしょう。