今年の夏はどのくらい暑くなる?暖冬のあとは冷夏じゃないの!?気になる夏の予想を気象予報士が解説
2024/04/18
このところ毎年のように夏は猛暑を経験している気がしますが、今年2024年の夏はどうなるのでしょうか。
そういえば、冬が暖冬になった年は夏が冷夏になる…という話を聞いたことがある人もいると思いますが、もしそうなると涼しい夏になるかも…?
じつは気象庁からは、すでに今年の夏の予想が出ているようです。
今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、2024年の夏の天候がどうなるのか、そして気をつけるべき点について教えてもらいます。
気象庁の予想は?
気象庁では毎年、冬の終わりに次の夏の予報(暖候期予報)を出し、そして夏の終わりには次の冬の予報(寒候期予報)を出しています。
最新の暖候期予報によると、2024年の夏は平年を上回る暑さになる見通し。
「また暑くなるのか…」とうんざりしてしまう人も多いかもしれません。
ちなみに、こういった週間予報よりもかなり先の予報については、断定的な言いかたではなく確率で示されるのですが、詳しく見ると、沖縄と奄美では平年より暑い確率が70%。
西日本~関東・北陸では平年より暑い確率が60%で、東北・北海道では50%となっています。
「暖冬と冷夏はセット」ではないの?
暖冬のあとに来る夏は冷夏になりやすい…といった印象を持つ人は多いのでは。
「暖冬と冷夏」という組み合わせは、エルニーニョ現象と呼ばれる現象が起きているときに発生しやすい気候です。
エルニーニョ現象とは、太平洋の海水温が通常と異なる温度分布になる現象で、世界のあちこちで異常気象を引き起こすなど大きな影響力を持ちます。
実際に日本では、2023年から2024年にまたがる冬が暖冬となり、エルニーニョ現象の影響を受けたと考えられます。
そうなると、次の夏は冷夏になるのでは?と思われそうですが…、このエルニーニョ現象は、このさき収束して通常の状態に戻ると予想されていて、夏までは続かない見通し。
つまり、今年2024年の夏は、エルニーニョ現象の影響で冷夏…という筋書きにはならなさそうです。
たとえ「平年並み」でも厳しい暑さ
現在、気象庁の予想でこの夏は平年より暑くなりそうだと発表されていますが、じつはたとえ平年並みだったとしても、体感として「厳しい暑さ」になることを覚えておく必要があります。
というのも、「平年」というのは直近の30年間の平均のことを言い、現在使われている平年値は1991年~2020年の平均値なので、1980年代以前の気温は平均に含まれていません。
一方で、地球温暖化と都市化により、日本の気温は1980年代よりも90年代以降のほうが、当然ながら暑くなっています。
つまり40代以上の人にとっては、「平年並み」は小学生の頃に経験した暑さよりも暑いのです。
そのため、たとえこのさき予報が変わって今年2024年の夏が「平年並み」だったとしても、油断できません。
暑さは「気象災害」!?備えは早めに
春から夏にかけて、梅雨や台風の大雨に備える人は多いと思いますが、じつは暑さも「気象災害」ととらえることができます。
というのも、熱中症で亡くなる人は、全国で1,000人を超える年もあるためです(厚生労働省データより)。
そのため、暑さへの備えは早めがおすすめ。
たとえば何年も前に買った熱中症対策グッズは、まだ使える状態でしょうか。
ひんやり感じるタイプの下着はくり返し使っていると効果がなくなってしまうこともありますし、携帯用の小型扇風機は壊れかけた状態で使うことで深刻な事故につながることも…。
今のうちに確認して、いざというときに困らないようにしておきたいですね。
■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部