温度計と花

「夏日」は何月から?春と夏の暑さはどう違う??今だからこそ気をつけたいポイントを気象予報士が解説

2024/04/16

天気予報では気温が25℃以上の日を「夏日」、30℃以上の日を「真夏日」と呼びますが、名前が「夏日」だとしても25℃以上という日は夏だけに訪れるわけではありません。

とくに最近は地球温暖化や都市化の影響で「夏日」の訪れが早くなっている気がしますが、いったいいつ頃から25℃以上の暑さに対処しなければならないのでしょうか。5月から?それとも4月から…?
そして、春の暑さには、夏の暑さと比べて何か違いがあるのでしょうか。

今回は、気象予報士・防災士として活躍する植松愛実さんに、「春の暑さ」とその注意点について解説してもらいます。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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これまでにもっとも早かった「夏日」は

気象データのイメージ
ekapol/gettyimages

東京都心では気象観測の歴史が古く、1875年(明治8年)から気温のデータが残っていますが、その観測史上でもっとも早く気温が25℃に達したのは、2013年の3月10日です。
皆さんの予想よりもかなり早いのではないでしょうか。

じつは東京では去年2023年も3月のうちに「夏日」を経験していて、3月24日に25.0℃を観測。
過去のデータをさかのぼると、だいたい10年に1度程度の割合で、3月に夏日が来ています。

10年に1度なら「めずらしい」と言える程度ですが、4月の夏日に関してはもう、ほぼ毎年あるレベル。
さらに5月以降になると、30℃以上の「真夏日」も出現するようになります。

体が慣れる前に…

晴天と太陽と春の暖かい温度
filmfoto/gettyimages

春のうちに暑くなってしまう場合、夏の暑さとは異なる注意点がいくつもあります。
まずはとにかく、体が暑さに慣れていないということ。

通常、人の体は「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と言って、毎年春から夏に向けて少しずつ時間をかけて暑さに慣れていきます。
暑さに慣れるというのは、上手に汗をかいて体温調節ができるようになり、空気の温度が高くても体内の温度が上がりすぎないようにできるということ。

しかし、春のうちに25℃や30℃といった気温になってしまうと、対処しきれずに体の中心部分に近い温度(「深部体温」と言います)が上がりすぎてしまい、体に危険がおよぶのです。

気づきにくい「春の暑さ」

街を歩く女性

春にもうひとつ注意したいのが、暑さに気づきにくいという点です。
というのも、夏の暑さを想像してもらうとわかりやすいのですが、日本の夏と言えば、温度だけでなく湿度も高い“不快なむし暑さ”。ところが春だと、そこまで湿度が高くならないのです。

夏のむし暑さは、太平洋高気圧が運んでくる熱帯の空気に起因していますが、このむし暑い空気が日本まで届くのは、梅雨明けのあと。
つまり梅雨入り前の今の時期に気温が25℃や30℃に達しても、空気はカラッとしていて、そこまで不快感はありません。

不快感がないこと自体はうれしい話ではあるのですが、「なんだか外で過ごすのが気持ちいいな」と思って運動しているうちに、気づかないまま熱中症になってしまう…そんな危険があるのです。

季節先取りの暑さをうまく乗り切ろう

街を歩く女性

春に迎える「夏日」や「真夏日」の場合、日中はもちろん25℃や30℃まで気温が上がりますが、朝晩は暑いわけではなく、むしろひんやりするような気温であることがほとんど。
つまり、1日中暑さに対処しなければならないわけではありません。

そのため、あわてて半袖の服装を用意するよりも、長袖でいいので袖口や裾が開いた風とおしのよい服装を選ぶのがおすすめ。
春は気温が上がっても湿度はそこまで高くないので、風とおしさえよければ体感温度をかなり下げることができます。

また、体を冷やしすぎない水分補給も心がけましょう。
気温が高いからと言って氷をたくさん入れた飲み物ばかり取るのではなく、常温の飲み物や、緑茶よりも体を冷やしにくいルイボスティーなど、工夫して水分補給をするのがおすすめです。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。
編集/サンキュ!編集部

 
 

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