授業の様子

生理による不調。ちゃんとケアしていますか? ちゃんと伝えられていますか? 中高生向けのプロジェクトがスタート!

2024/03/29

あなたは生理に伴う不調を、パートナーや子ども、周囲の人に伝えていますか?
当たり前のことなのに、なぜか″生理の話はしにくい″と感じている人は多いもの。異性に対してだけでなく、女性同士でも生理について語るのをタブー視する風潮はあるようです。

「これって、なぜだろう?」
改めてそう考えた経験のある人も、もしかしたら少ないかもしれません。でも、こんなふうに関心が低いままでいること自体が、女性の生きづらさにつながっているとしたら?

生理にともなう心身の不調やケア方法について知ると同時に、性に対する意識を少しずつ変えていこう――。そんな取り組みがいま、少しずつ広がっています。

明治とトイレ研究所が提供する、「生理」の特別授業

まもなく終業式を控えた3月中旬のある日、葛飾区にある区立中川中学校では、1年生の2クラスを対象に特別授業が行われることになりました。「生理について」と聞き、少々照れくさそうな表情で会場に入ってきた生徒たちもいます。

今回の授業の講師となるのは、「トイレ研究所」からやってきた加藤さんと高橋さん。「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていこうと活動している団体のメンバーです。

加藤さんは開口一番、こう話しました。
「なぜトイレ? と思った人も多いでしょう。じつは、WHO(世界保健機関)では、トイレと健康は非常に重要な関係があると提唱しています。いわゆる排せつ(排便、排尿、そして生理)が衛生的かつスムーズに行える環境はとても大切なんですね。だから僕たちは、排せつの一つ・生理について、いろいろな人と話し合える機会をつくり、悩みを抱えない環境をととのえたいと思っているんです」

この授業は、手軽においしく取りいれられる食品「明治 フェムニケアフード」を展開し、女性の心と体の健康に寄り添う明治と、トイレ研究所がコラボして開催したもの。フェムテックとはFemale(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービスをさしますが、「フェムニケアフード」は女性(Female)」+「ケア(Care)」+「食品(Food)」をあわせた明治の造語です。

生きるうえで切り離すことはできない、「性」について。もっとオープンで気負わず語れる世の中をめざして、明治はさまざまな取り組みを行っています。

「生理に伴う不調をがまんしないで」

さあ、授業の始まりです。
「生理に伴う不調をがまんしない」が本日のテーマ。まずは、クイズコーナーから。

「生理に伴う不調があっても、なにもしない人の割合は?」

①約15%  ②約45%  ③約75%


正解は②の約45%。2人にひとりが、生理の不調に対してなにも対処していないという結果でした。「つまり、がまんしている人が多いわけですよね」と加藤さん。


生理前や生理中に起こりやすい症状や重さは人によってさまざまです。とはいえ、※ある調査によると、18~19歳で症状があると答えた人は約8割、「困る、つらい」と答えた人は半数以上だったことがわかりました。
※日経BP 総合研究所調べ(2021年6月)

「″がまんするしかない”と思っている人も多いようですが、生理痛でつらいときはがまんする必要はないんです。鎮静剤を活用したり、親や保健室の先生などに相談してみてください。つらいときに、"つらい、しんどい”と伝えることで、心が軽くなる場合もあるんですよ」と高橋さんも話します。

じつは、これらの不調は、生活習慣の見直しで改善されることがあるのはご存じですか?
柱になるのは「食事」「運動・睡眠」「記録」の3つのケア。当たり前にいわれていることでありながら、実際はできていないケースも多いのです。

<試してみよう!>
1 食事は3食きちんと、バランスよく食べる。
2 ウオーキングなどの有酸素運動は生理前、中の不調を改善する。しっかり睡眠をとり、朝日を浴びることでメンタルも整い、睡眠の質も高まる。
3 自分の生理周期と不調の関係を意識・記録することで、症状が軽くなる場合もある。さらに不調の対策がとりやすくなる。

自分でできる3つのケア

男女混合のグループワーク。それぞれの立場の意見を考える機会に

続いて、生徒4人が男女混合で一組になり、自由に意見を交換する「グループワーク」が始まりました。質問に対して、AかBかのどちらを「自分」で選び、その理由を発表し合います。正解はなく、重要なのはみなが話し合い、考えを深めていく過程にあるといいます。

最初の質問は、「友だち(クラスメイト)が生理痛だということを(A)言ってほしい? (B)言ってほしくない?」です。生徒たちの回答は、AとBがほぼ半々に分かれました。Aは圧倒的に女子生徒で、Bは男子生徒が占めています。

A(言ってほしい)と答えた人の理由
・友だちなら共有しておきたい。
・なにかあったらフォローや協力をしてあげられる。
(ただし、「女子どうし」に限るといったつけ加えも)
・事情を知っていれば「仕方ない」と思えるかも(男子生徒談)

B(言ってほしくない)と答えた人の理由
・聞いたところでどうしたらいいか分からない。
・(男なので)興味がない
・知りたくない、言われたくない
という、生理に対するそれぞれの素直な気持ちを回答していました。

これらを受けて加藤さんは、「人それぞれに、いろいろな考えがあると思います。ただ、″たいしたことないでしょ″と決めつけてしまうのはどうでしょう。伝えることで、知っておくことで、なにかが変わるかもしれませんね」とまとめました。

グループワークの様子
グループワークのようす。AまたはBと書かれたカードを手に、一人ひとりが自分の意見を自分の言葉で表現します。

次の質問は、「(今回のように)男女いっしょに生理について話し合う」ことの是非について、(A)賛成か(B)不賛成で答えます。これも、意見が二分しました。

A(賛成)と答えた人の理由
・両方の意見を取り入れると理解が深まると思う。
・将来、妊娠・出産を経験するときのために、男女ともに知っておくべき
・恥ずかしがることではない。

B(不賛成)と答えた人の理由
・恥ずかしいし、気まずい
・知る必要ある(知らなくても別にいいでしょ)?
・親ともそんな話をしないから

「いろいろな意見がでましたね。生理痛でつらいから助けてほしいという人もいれば、放っておいてほしいという人もいる。大事なのはおしつけないこと。それにふれられただけでも、意味があるのだと思います」(加藤さん)

「生理」について男女オープンに語り合う経験をとおして

今回の授業で、はじめて男女交えて生理について話し合った生徒たち。こんなふうにオープンに語り合えた経験をとおして、性への意識も変わってくるかもしれません。実際、授業を終えて退室する際も、授業前に漂っていたなんとなく気まずそうな雰囲気は消えていました。
 
じつは、子どもたちへの性教育は昭和時代からあまり変わっていないともいわれています。誰もが悩みやつらさを抱えることなく過ごせるようになるためにも、私たち大人世代が、古いしきたりや思い込みを捨てるときが来ているのかもしれません。

授業を終えて…

葛飾区立中川中学校
目々澤校長

「この特別授業の話がきたとき、二つ返事でお受けしました。″試験に出るから“ではなく、性教育を自分たちひとりひとりの問題と考えて学んでほしい、目の前の相手を大切にしてほしいという思いがありましたから。今日がその第一歩。今後は保護者にも性教育について学べる機会をつくっていきたいと思います」

目々澤校長

保健体育担当
久保田教諭

「学期末、クラスの結束が高まったこのタイミングで授業を行えたのは、とてもよかったです。グループワークで自分自身の言葉で話す生徒たちの姿を見て、今後この手法をぜひ取り入れたいと思いました。今日学び、考えたことは必ず、生徒たちの″生きる力″になるはずです」

保健体育担当教諭

提供/明治

関連するキーワード

 
 

PICK UP ピックアップ

TOPICS 人気トピックス

RECOMMEND