夏の風物詩「積乱雲」、じつは冬も大発生していた!雨、あられ、雪、雷…全部盛りな冬の積乱雲を気象予報士が解説

2023/11/07

夏の間、ゲリラ豪雨や落雷など私たちの生活に影響を与え続けていた積乱雲。夏限定の風物詩と思いきや、じつは冬にも頻繁に出現しているのをご存知でしょうか。

冬の積乱雲はどこに現れるの?夏の積乱雲と違う注意点は…?

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、天気予報の見方がちょっと変わるかもしれない積乱雲の豆知識を教えてもらいます。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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冬の風物詩"すじ状の雲"

雲の衛星画像
日本海に広がるすじ状の雲(サムネイル写真を拡大したもの)。2022年1月18日の気象衛星画像を元に作成(画像提供:気象庁)。

毎年冷え込む時期になると、天気予報ではよく衛星画像で雲の様子を示しながら、「日本海にすじ状の雲が広がっています」などと解説をします。

この記事の冒頭写真にもなっている"すじ状の雲"は、例年11月ごろから3月ごろにかけて日本海によく現れるタイプの雲。日本列島と大陸の間に、まるで絵に描いたように白く細いすじが数えきれないくらい並びます。

衛星画像だと日本全体が入る画角、つまりかなり広い範囲を一度に見ているので、「細い長い線状の雲」が並んでいるように見えますが…、「線」を拡大して見ると、じつはモコモコとした丸っこい雲の集合体であることに気づきます。

雲のイラスト

つまり、「線」だと思っていたものは「点」の集まり。「点」の1つ1つが積乱雲(や一部は積乱雲ほど発達していない積雲)なのです。

太陽の光をとおさない雲

どんより曇り空

衛星画像は雲を真上から見た図なので厚みがわかりませんが、積乱雲はもともと背の高いタイプの雲で、かなりの厚みがあります。

もちろん夏の積乱雲のほうが発達が著しいものの、冬でも雲の底からてっぺんまで5kmほどの厚みがあることは珍しくありません。

ここまで分厚いと、雲が近づいた地域では日ざしがさえぎられ、どんより暗くなります。
そのため、秋から冬にかけて日本海側の地域では日照時間が非常に短くなるのです。

雨、あられ、雪、雷…冬の積乱雲直下は"全部盛り"

フロントガラスから見た道路上の危険な気象条件
Marcos Assis/gettyimages

夏の積乱雲も突然の雨や雷など注意が必要な現象を伴いますが、冬の積乱雲はさらにバリエーション豊かな天気変化を繰り広げます。

雨はもちろん、小さな氷の粒が降ってくるあられや、雪、さらにはそこに雷を伴うことも。

雪はこまかいパウダーのような粒がサラサラと降ることもあれば、湿った大粒の雪が降ることもありますし、強い風を伴って吹雪になることもあります。

しかも、雪なら雪、あられならあられがずっと降り続くわけではなく、短い時間で複数の現象がかわるがわる現れることもあって、めまぐるしい天気変化に。

冬の積乱雲はまさに"全部盛り"なのです。

冬の積乱雲はめまぐるしい天気変化に要注意

天気の変化。四季の違いの自然現象
SonerCdem/gettyimages

日本海に"すじ状の雲"が現れているとき、つまり冬の積乱雲がやってきているときは、日本海側を中心にとにかく速いテンポで天気が変わります。

ついさっきまで視界良好だったのが急に雪で前が見えなくなったり、粉雪だからと傘を持たずに出たら雨に変わって体をぬらしてしまったり。

交通事故や体調をくずす原因につながる天気変化になりがちです。

ふだん太平洋側で暮らす人は旅行などで日本海側へ行く際は注意が必要ですし、日本海側に住んでいて慣れている人でもシーズンのはじめはやはり事故が増えるので、いつもより慎重に車の運転をする必要があります。

衛星画像では美しいけど、油断大敵な冬の積乱雲。

今年もそろそろ"すじ状の雲"の登場が増える時期ですので、天気予報で「すじ状の雲が…」と聞いたら「冬の積乱雲に要注意!」と思ってお過ごしください。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。

編集/サンキュ!編集部

 
 

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