凍った路面と落ち葉

路面凍結の条件は「0度以下」じゃない!プラスの気温でも路面ツルツルになるワケを気象予報士が解説

2023/12/11

朝晩の冷え込みが厳しくなって、そろそろ山沿いだけでなく平地に住んでいても路面の凍結に注意が必要な季節となってきました。

路面凍結のおそれがあるのは、最低気温が0度以下になるときだと思っていませんか?
じつは天気予報で示される「気温」の正体を知ることで、実際に目安にするべき気温がわかるのです。

今回は、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに、意外と知らない「気温」の裏側を教えてもらいます。

サンキュ!STYLE 取材班メンバー。気象予報士として講演・執筆を行うかたわら、野菜たっぷりの作り置き料理を...

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そもそも「気温」はどこの温度?

露場
気象庁が設置する気温計の例(筆者撮影)。

ふだん天気予報で「今日は都心で〇度まで上がりました」とか「明日の予想気温は〇度です」といった説明を何気なく聞く私たち。
でもその「気温」って、そもそもどこのどういう温度を指しているのでしょうか。

これは、気象庁が全国に設置した気温計が示す値が基準。
「今日は〇度でした」という説明の場合は、全国900カ所超ある観測地点において測っている気温が使われ、「明日は〇度の予想です」という場合は、それらの気温計で測ったとしたらこうなりそうだという予想になっています。

そして、こういった気温計は、地面から約1.5メートルの高さに設置するよう定められています。
つまりだいたい人が立っているときの首から顔あたりの高さですが、この「高さ1.5メートル」が路面凍結を考える上で重要になってくるのです。

一番冷えるのは

冬の日の雪で滑りやすい路面。
Iryna Kushniarova/gettyimages

朝晩冷え込む時間帯に外を歩いていると、一番冷えて感じるのは当然ながら足元です。
というのも、空気よりも地面のほうが冷えやすく、その冷えやすい地面に接している地面付近の空気の温度が、それより上の温度よりも低いため。

つまり、さきほど説明した気温計のある「高さ1.5メートル」よりも、足元付近の気温は低いことになります。
その差は、じつに2~3度。

ということは、たとえ天気予報で「明日の朝の最低気温は3度の予想です」と言われても地面付近が0度くらいになっている可能性があり、路面凍結のおそれがあるわけです。

心配なのは凍結だけじゃない!

倒れた葉で覆われた冬のフロスト
tbgrant/gettyimages

普段使う「気温」と地面付近の気温が2〜3度異なることで、0度を超えているときも路面凍結に注意が必要ですが、気をつけるべきことはほかにもあります。

大人であれば地面付近すなわち一番冷える場所に脚だけがあり上半身はそれより高い温度のところにあるわけですが、小さな子どもやペットなどは全身が一番冷える場所に近い状態。
大人が気づかないうちに体を冷やしてしまうこともあるのです。

「気温」の正体を知って冬も夏も生活に役立てよう

冬は通常の「気温」より地面付近が2〜3度低くなりますが、夏は逆に2〜3度高くなります。
地面付近は冬も夏も変化を大きく受けやすいためです。

このような差を知っていると、冬は突然の路面凍結に右往左往しなくて済みますし、夏はいつの間にかペットが熱中症!という事態を防ぐことができます。

特にこれからは地面付近の気温降下が激しい時季。
天気予報で表示される気温がプラスでも油断せず、「マイナス2〜3度」を目安に対策しましょう!

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。Instagramは「@megumi_kitchen_and_atelier」。
編集/サンキュ!編集部

 
 

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