【夏の「ママ友トラブル」事件簿】仲良しママ友からの「預かり」がきっかけでとんでもない災いに巻き込まれて
2024/08/23
夏休み、長期休みならではのママ友トラブルもあるそうです。「恋人・夫婦仲相談所」の所長で、過去には大規模ママ友サークルを運営していた経験もある三松真由美さんに教えてもらいました。
帰省する仲良しママ友から預かったのは…
子どもたちにとって楽しい夏休み。ママたちにとっては、お昼ごはんの手間や自由研究の手伝いなどで、ちょっぴり憂鬱な時期でもある夏休み。そんな夏休みは意外にママ友トラブルも起こりがちです。実際に起きた事例をご紹介しましょう。
アヤネさん(35歳 仮名)夫婦はどちらも東京23区内の出身。地方出身のママ友からは「じじばばの家に行くのに、交通費もかからず渋滞とも無縁でいいわねえ」とうらやましがられています。
一番仲良しのママ友は夫婦とも北海道出身で「冬は雪で大変だから、夏に両方の実家を回るの」と毎年お盆に帰省しています。
そんなママ友が昨年から飼い始めたのが柴犬のマサムネ。アヤネさんもママ友の家に行くたびに、室内でごろごろしているぽっちゃりしたマサムネに「かわいい♪」と癒されていました。
そして昨年、お盆帰省の3日前になってママ友がアヤネさんに頼み込んできたのが、マサムネのお世話。昨年預けていた近所のペットホテルが廃業してしまい、他も満室で預け先がなく、なんとか1週間アヤネさん宅で預かってもらえないか、という相談でした。
今まで犬を飼ったことがないアヤネさんでしたが、犬好きの夫や息子が「僕たちもお世話を手伝うから大丈夫」というので、ママ友のピンチに一肌脱ぐことを決心しました。
しかし、生き物は「見る」のと「飼う」のでは大違い。犬を飼ったことのないアヤネさんにとっては想定外のことが起こりまくったのです。
「僕たちが手伝う」と言っていた夫と息子は、早起きが嫌で早々に朝の散歩担当を放棄。夜明けとともに散歩の催促でワンワンと吠えだすマサムネを連れ出すのは、結局アヤネさんになってしまいました。そして柴犬は運動量が豊富でお散歩が大好きな犬種。アヤネさんをぐいぐい引っ張ってどんどん進み、疲れたから帰宅しようとリードを引っ張っても、抵抗してなかなか帰ろうとしません。
一度の散歩でアヤネさんはグッタリ。ほかの家事になかなか手がつけられず。そこがまずアヤネさんにとっては誤算の第一歩でした。
炎天下に強制外出、家の中はボロボロ…
さらに、お盆期間も通常どおり在宅勤務の夫が「取引先とWEB会議をする時に犬の鳴き声がするのは困るから散歩行って」と言い出し、アヤネさんは35度越えの猛暑の日中にマサムネを連れて家を出て、夫のWEB会議が終わるまで屋外で時間をつぶさなくてはならなくなりました。
ペットを連れて入れるカフェを探しましたが、歩ける範囲では皆無。公園のわずかな日陰を探してそこで時間をつぶしますが、木陰でも全身から汗が吹き出し、熱中症になりそうに。
また、夏の柴犬は換毛期でびっくりするぐらい毛が抜けます。ブラッシングを丁寧にして抜けた毛を取り除くようにしていても、気づくとフローリングの床にはマサムネの抜けた毛がどっさり積もっており、その掃除は必然的にアヤネさんの仕事です。
そのほかにも、いたずら盛りのマサムネは床にあるものは何でも興味津々で、おもちゃにしてしまいます。アヤネさんのスリッパ、夫が帰宅時に床に置いたビジネスバッグ、息子が出しっぱなしにしてあったゲームのコントローラー、部屋を這っていた電源コードなど、ありとあらゆるものがマサムネに噛まれてボロボロになりました。
ダイニングテーブルからうっかり落ちたティッシュボックスも、気づくとばらばらになり、中のティッシュが部屋中に雪のごとく舞い落ちています。
「この馬鹿犬、マジでむかつく!」とお気に入りのバッグに噛み穴をあけられてキレ散らかす夫を無視しながら、荒れ果てたリビングの掃除をして片付けるのもアヤネさんの仕事です。ブツブツ言いながら掃除する妻を見て夫は「君が悪いんだろ」と責め立てます。夫婦関係にも暗雲が立ち込めます。
ママ友の家で見たときはのんびりと平和的に寝そべる天使に見えたマサムネが、アヤネさんにとっては、今や全ての災いをもたらす狂気の悪魔にしか見えません。
ママ友の言葉と不誠実な対応に思わず涙…
マサムネに振り回される1週間を過ごし、やっと帰ってきたママ友にマサムネを引き渡すことができたとき、アヤネさんは心の底からほっとしました。
「お世話してくれてありがとう。うちのマサムネ、最高にいい子で、かわいかったでしょ」というママ友の発言に、「最低のトラブルメーカーだったよ」というわけにもいかず、あいまいにうなずいたアヤネさん。
「またお願いしていい?」と言われるも、はっきり断ることができず、ママ友とは距離を置くことにしたそうです。
お礼もお菓子の詰め合わせだけ。ペットホテルに泊めたらどれだけかかるのか計算してみてまたびっくり。
「わたし、いいように使われたみたい……もう二度と、安易に生き物を預かるのはやめる」
アヤネさんは、自分を責めて涙が出てきました。
困っているときに助け合うことはもちろん良いことではありますが、ママ友だからと言って安易に引き受けると大変なことになる、ということも覚えておきましょう。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。