怒っている夫の絶叫と妻の叫び

夫が「裸の写真を撮らせて」迫ってきて…夫婦間の「ラブハラ(ラブハラスメント)」に要注意!

2024/08/25

「モラハラ(モラルハラスメント)」を初め、夫婦のあいだにはさまざまなハラスメントが潜んでいます。今回は「ラブハラ(ラブハラスメント)」について「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに解説してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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ラブハラとは?

ラブハラとは、恋愛に関する話題で相手に精神的苦痛や不快な思いを与えるハラスメント。セクハラ(セクシャルハラスメント)やモラハラともかかわりが深く、「自分の恋愛や結婚などの価値観を相手に押し付ける行為」と定義されています。

わかりやすいのは、職場や学校で交わされる恋バナのシーンで出てくるような

「彼氏(彼女)いないの?」
「え、誰とも付き合ったことないの?」
「なんで結婚しないの?」
「相手が見つからないのは探す努力をしてないからだよ」
「一人じゃ人生つまらないよ」
「20代のうちに恋人を作るべきだよ。紹介しようか」

などの会話。なにげない会話に見えて、今の時代ではアウトの領域に入ります。

彼氏、彼女を作ることや結婚を強制したり、シングルでいる人を見下したり哀れんだりする「カップル至上主義」「恋愛至上主義」的な発言もこれにあたります。

これがさらに進んで

「最近色っぽくなったけど彼氏でもできたの?」
「彼女ができないのはお前がだらしないからだ」
「もっと痩せないと結婚できないよ」

といったところまで踏み込んでくると、これはもうセクハラ、モラハラの領域になってきます。

夫婦の愛はこうあるべきの「べき思考」に追い詰められる夫

笑顔で話すアジアの男女
kazuma seki/gettyimages

このように一般的には他人に対して行われることが多いラブハラですが、じつは夫婦間でも起こることがあるので要注意。

スタジオミュージシャンのシンタさん(仮名 37歳)は、8歳年下の妻と半年前に結婚したばかり。元はバンドを組んでライブ活動もしていたシンタさん。バンドの大ファンだった妻からの猛烈アピールに押されて結婚したそうです。

「ウチのバンドの中では俺がビジュ的にも一番地味でモテなかったんですが、なぜか妻は僕をめちゃくちゃ推してくれて、差し入れやプレゼントも最初からすごかったんです。まあ、その当時、特定の彼女もいなかったし、嫁の実家が資産家で“太い”のも正直、魅力的でした。

向こうの両親も、俺が売れないミュージシャンと知った後も『シンタさんは好きなことをやっていていいのよー』みたいに言ってくれたし、これはラッキーと思って交際3カ月で結婚を決めたんですけど」

妻からの猛プッシュで結婚したシンタさん、新婚半年で幸せの絶頂かと思いきや、妻からのラブハラスメントに悩んでいました。

「嫁は『夫はこうすべき』『夫婦の愛はこうあるべし』という“べき思考”にこり固まっていて、それを俺に押し付けてくる。例えば…

・朝起きたらまずおでこにキスをする
・出かける前と帰ってきたあとは、家にいる方はお見送りとお出迎えのために玄関に出て、ハグと軽いチークキスをする
・道を歩くときは必ず夫が車道側で妻をエスコート。そして妻の荷物は夫が持つ
・店に入るときは夫がドアを開けて妻を先に通す“レディーファースト”を徹底
・寝室では妻が眠りにつくまで夫は必ず腕枕をする

…など、まだまだたくさんあります。

こういった妻の『愛情表現ルーティン』を守らないと、めちゃくちゃ不機嫌になるんです。遅刻しそうなときは玄関先で悠長に『お見送りルーティン』をするより、1秒でも早く出られるように靴をそろえてくれておいた方が数倍嬉しいかも」

シンタさんがミュージシャン仲間にこのような話をしても「愛されていてイイっすね~」「のろけてんじゃねえよ」と冷やかされるばかりで、なかなか理解してもらえないとのこと。

愛情表現は自然と湧き出るものであって、それを強制されると一種のハラスメントになるという事例と言えるでしょう。

裸の写真を欲しがる夫、要求はエスカレートして…

青と赤のライトで照らされたジャケットを着て携帯電話を持っている男。スマートフォンで警察を撮影する男の概念
klebercordeiro/gettyimages

コトハさん(仮名 29歳)も、夫との「愛情表現のすれ違い」に悩むひとり。

「最初に驚いたのは、私の裸の写真を撮りたいと要求されたことです。『30歳を過ぎたり、子どもを産んだりしたあとは体の線が崩れるから、今のうちにきれいな君を残しておきたい』とか、結婚以来ずっと言われ続けていました。

あまりにしつこいので「後ろ姿のシルエットだけね」と言って、できるだけベッドルームを暗くして撮らせてあげました。『きれいだ』『最高だ』とすごく褒めてくれて喜んでいたのですが、その写真を夫はスマホに入れているのです。そして時々LINEで『電車の中でコトハの体を眺めていると、ムラムラしてくる』とか言いながら、エッチ系なスタンプとかを連打して送ってきます。

私はどっちかというと性的には淡白な方なので、そんなキモい表現にドン引きしています。それよりも、電車の中で画像を見ていたら、横から誰かに見られるんじゃないかという方が心配で」

最近では夫の要求がさらにエスカレートしてきて、「夫婦の行為の様子を動画に撮りたい」と言ってきているのだとか。コトハさんが「恥ずかしい」とか「嫌だ」とか拒否をすると、「夫婦が愛し合うのがなぜ恥ずかしい」「拒否するのは俺のことを愛していないからか」などと言って、二人の議論がいつまでも平行線になってしまうということでした。

「夫に対しては『画像や動画問題』以外には不満もないし、別れたいとか、別れるつもりがあるわけではありません。愛されている証拠なんだと理解もしています。
でも、『リベンジポルノ』みたいな例も世の中にはありますし、将来のリスクを避けるためにできるだけ画像や映像でプライバシーにかかわるものは残しておきたくないんです。でも『あなたに将来、リベンジポルノで動画をさらされると嫌だから』なんて言ったら、夫を傷つけることになりますし、どうやって彼の過剰な愛情表現を受け入れて、折り合いをつけるのか、解決方法は見つかっていません」

自分の想いをぶつけることではなく、相手を尊重し思いやることが「愛情」

「愛情」をどんな物差しで測るのか?どうやって愛情を「表現」するのか?

一人一人の考え方は違いますし、カップルの数だけ「答え」は異なります。

まずは相手の想いを受け止めつつも、我慢をしすぎず、自分の感じた違和感をどのように伝えていくのかをしっかり考えていきましょう。

「愛情」とは自分の想いを相手にぶつけることではなく、相手を尊重し思いやることであるという原点を二人で一緒に確認し、認め合うことが夫婦間のラブハラスメントの解決には必要です。100%認めることができずとも大丈夫。

お互いが数%すり合わせるだけで、ずいぶん気持ちが楽になります。その数%が高くなればなるほど、夫婦仲良し度も高くなる。

そう思えば、毎日ご機嫌で過ごすため、すり合わせに取り組めるはずです!

 
 

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