引数。自宅で議論をしている男女。

「妻のことが心配なんです、もっと人として成長してほしい…」モラハラ夫が妻に向ける「歪んだ本音」

2024/10/23

夫婦間トラブルのなかでもとくに深刻で、DVやネグレクトなどさまざまな問題にもつながることが多いモラハラ。

最近では、被害者の声をさまざまなメディアを通じて目にすることが少なくありませんが、意外と見聞きすることがないのが、モラハラをしている側の声。

モラハラをしている側はどんな風にパートナーのことを思い、自分のことを認識しているのか?

今回は、「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんの元に寄せられた相談の中から「妻のことが心配なんです」と相談してきた、ある夫の声を紹介してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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「妻の将来を本気で心配しています」と語る夫の歪んだ愛情

自己紹介で「普通の公務員です」と名乗ったセイイチさん(仮名/35歳)は、短めに整えられた髪と黒フチのメガネが、いかにも真面目そうな印象でした。2歳の男の子のパパで、「子育てもしっかりやってます」と言います。

相談では、セイイチさんが自分の妻にどんな思いを持っているのか、という点から聞いてみました。

――セイイチさんは奥さんに対してどのような感情を持っていますか?

「大切に思っています。世界一妻のことを愛していると思います。だからこそ妻のことをとても心配しています。もっと人として成長して、幸せになってもらいたいんですよ。

たとえば言葉づかい。妻は『マジで』とか、下品な言葉をときどき使います。女性として品がないですよね。あとは、身だしなみも心配になることがあります。胸元の空いた服を着ることがあるので、そんなときは『ほかの男を誘うつもりなのか?』と注意します。僕はふしだらな女がもっとも嫌いですから」

――言葉づかいや服装以外で、奥さんの気になる点はありますか?

「妻にはだらしないところがあって、部屋の中が片づいていなかったり、洗濯ものがきちんと畳まれていなかったり、人として基本的なことができていないところがあります。そこは僕的には直してほしいと思っているので、指摘をして、都度やり直してもらいます。

ときには僕の指摘に従わずに言いわけをすることがあります。『子どもの世話に手がかかった』とか『生理前で体調が悪いとか』。そういう嘘つきな態度がいちばんよくないと思いませんか?」

――なぜ嘘と断定できるのでしょうか?

「理論的な説明ではないからです。因果関係があることを理論的に説明して証明できるなら、納得します。僕だって鬼じゃないですからね。無理難題を押しつけているわけではありません。でも妻の論点に矛盾があれば、そこは正します。大体は口から出まかせの言いわけなので、きちんと説明できませんね。たいてい最後は『もう、わかってもらえないからいい』とか言いながら、一人でブチ切れて、泣いてごまかしたりしています。

注意されるということは、自分の至らない点に気づき、学ぶチャンスをもらったわけですから、指摘に感謝する素直な態度でないといけません。この点を妻には早く学んでほしいと思います。このままでは妻の将来が案じられると、僕は本気で心配しています」

――妻の人格を否定しているとは考えませんか?

「人格否定なんてとんでもない。妻を愛しているから、大切にしているからこそ、今のままではダメだと思い、心配するんです。僕が妻を導いてあげる必要があるんです」

モラハラ夫が愛しているのは妻ではなく自分自身

モラハラ夫が愛しているのは妻ではなく自分自身

最後まで「僕は妻を愛している」→「愛しているから妻を心配している」→「心配だから注意し、教え、導くのだ」という姿勢をくずさなかったセイイチさん。

しかし、彼の口から出てきた妻を表す言葉は

「品がない」「最低」「ふしだら」「だらしない」「言いわけをする」「嘘つき」「いい加減」「ブチ切れる」「素直じゃない」「今のままではダメ」など、彼女の人格や言動を否定するネガティブな言葉ばかり。そして繰り返される自分の正当化と「妻を教え導く」という上から目線。

おそらく本人は、自分がモラハラをしていると自覚はないのでしょうが、発言はまさにモラハラ夫の思考そのものです。

重箱の隅をつつくようなこまかい指摘、話を聞かず認めようとしない姿勢、自分が絶対に正しいという不遜な態度に、妻側は相当メンタルを痛めつけられていることが想像できます。

この発言から学べることは「君のことを愛している」「君のためを思って言っている」などの「愛情の押しつけ」「価値観の押しつけ」には要注意!ということです。

本当に相手を愛しているなら、相手のありのままを大切にする、思いやりのある言動が見られるはずです。「愛している」という対象が、実は妻ではなく自分自身であるのがモラハラ夫。

「愛」という言葉に騙されず、ぜひ第三者に相談をしてみてください。結婚生活は永遠に続きます。日々の重圧感が積もってくればメンタルを壊してしまいます。「私のことを思って言ってくれてる」と毎回、思い込まないことです。

ちなみにセイイチさんには、「次回、お二人でいらしてください」と伝えました。再訪はまだですが。

 
 

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