11月22日には「いい夫婦の日」。ひとくちに「いい夫婦」と言っても、その形は時代によって異なるもの。「恋人・夫婦仲相談所」を運営する、三松真由美さんに、令和のいい夫婦像について解説してもらいます。
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昭和、平成、令和と「いい夫婦」の形もどんどん変わっていった
語呂合わせ記念日の中でも、高い知名度を誇るのが11月22日のいい夫婦の日。公式サイトによれば、11月22日をいい夫婦の日と提唱し始めたのは1988年(昭和63年)だそう。
そこから今年で36年。昭和、平成、令和と「いい夫婦」の形もどんどん変わってきたと感じます。
昭和の夫婦の並び方は「縦一列」
夫婦の関係を男女の並び方に例えると、昭和の夫婦は夫が前、妻が後ろという一列の縦並び。
「夫唱婦随」「黙って俺についてこい」という、男性が女性をリードする形が一般的でした。いい夫婦の日に合わせて、明治安田生命が行っている「理想の有名人夫婦」を尋ねるアンケートでも、2006年(平成18年)時点の総合1位は三浦友和・山口百恵夫妻。絶頂期に仕事をきっぱりやめて寿退職。その後は表舞台には出ずに、家事育児と裏方で夫を支える百恵さんの生き方は、当時、大絶賛されました。ラストコンサートでマイクをステージに置くシーンは「仕事を辞めて、夫と幸せになる」という信念が感じられ、専業主婦になりたい女性たちが増えたことと推測されます。
三浦友和・山口百恵さんの結婚は1980年、まさに昭和時代の「理想の夫婦」。
それが、26年たった2006年のアンケートでも1位を獲得。そしてその後2020年に殿堂入りするまで15年間1位をキープし続けたのですから、好感度が化け物すぎます。
いかに日本人のDNAに刺さる夫婦像だったのかがうかがえる結果です。
平成の夫婦の並び方は「横一列」
2006年(平成18年)の「理想の有名人夫婦」アンケート総合第1位は「昭和カップル=三浦友和・山口百恵」であったことは既に触れましたが、同アンケートの総合第2位は唐沢寿明・山口智子夫妻でした。
このカップルは20代の結果では3位、30代では1位、40代では3位にランクイン。若手及び女性からの支持が厚いのが特徴でした。驚くことに、そこから17年たった2023年の調査でも、この夫婦は総合3位にランクイン。実は殿堂入り級の「理想の夫婦」なのです。
1995年(平成7年)に結婚した唐沢寿明・山口智子夫妻は、まさに平成を象徴するカップル。二人の関係性は夫婦対等で、どちらかが前に立つというより、フラットな横並びの姿が思い浮かびます。
さらにお二人は、結婚式も新婚旅行もなし。子どもを持たない人生を自ら選択、とその当時からするとかなり先進的なロールモデルでした。そろそろ結婚30年を迎える現在も「理想の有名人夫婦ランキング」上位に入っているのですから、時代のほうがやっとこの二人に追いついてきたのかもしれません。
令和の夫婦は「並ばない」
昭和は縦一列、平成が横一列、という夫婦の並び方は、令和に入ってどう変わったのか?
「もはや夫婦は並ばない」というのが筆者の実感です。
安住紳一郎アナのような「別居婚」、宮沢氷魚・黒島結菜さんのように「事実婚」。そのほかにもゲイやレズビアンカップルの同性婚や、女子サッカー選手だった元女子と女子が結婚したトランスジェンダー婚。さらには推しキャラと結婚する「二次元婚」まで、もはや「夫婦」という漢字が不適合に思えるほど、カップルの形は多様です。
そしてカップルを構成する二人は、どちらかに合わせて「並ぶ」のではなく、それぞれが自分らしい場所に立ち続ける。その場所は離れているかもしれないけれど、二人はちゃんと「つながっている」。これが「令和のいい夫婦」の在り方だと感じます。
各種アンケートを見る限り、まだまだ一般的には「横並びの平成スタイル」が「理想の夫婦像」の中心ですが、今後日本国内でも同性婚が認められるようになれば、「理想の有名人夫婦」のランキングに同性婚カップルのランクインも、十分あり得ます。
スイスの医師で作家のマックス・ピカートはこう言いました。
「結婚は、夫によって、または妻によって創り出されるものではなく、逆に夫と妻が結婚によって創られるのだ。」
令和に生まれる新たな結婚の形が、どんな「新たな理想の夫婦」を創り出していくのか、今後が楽しみですね。