病気の女性と男が彼女に話し

「おまえ」と呼ばれるのはモラハラか?夫婦間のモラハラを考える

2021/05/30

著名人の夫婦間問題を報じる際などにも使われ、広く知られるようになった“モラル・ハラスメント(モラハラ)”という言葉。

三松真由美さんが所長を務める恋人・夫婦仲相談所にも、モラハラに関する相談は少なくなく、夫のモラハラが原因で別居や離婚に踏み切った、という事例は枚挙にいとまがないそうです。

今回は夫婦間モラハラについて、三松さんに解説してもらいました。

「おまえ」と呼ばれることに恐怖を感じ……

梨奈さん(仮名/35歳)は横浜・山の手育ちのお嬢様。小学校から大学まで女子高に通い、男の兄弟もいないため男性との接触はほぼ父親だけという環境で育ちました。

そんな梨奈さんが職場結婚をした相手は、鹿児島生まれ鹿児島育ちのザ・九州男児です。“九州男児”と聞くと“酒飲みで豪快”な人物像をイメージする人も多いと思いますが、梨奈さんの夫はその逆。温厚で家事を積極的に手伝ってくれる人でした。

ただ、ひとつだけ夫に対して悩んでいることがありました。ケンカになった際、夫は梨奈さんに対して「おまえ」と呼ぶことがあったのです。生まれてこのかた「おまえ」などと言われたことがなかったため、最初に言われたときにはショックで泣いてしまったそうです。

しかし、その悩みを夫に言うことはありませんでした。そのため、夫はケンカしたことで梨奈さんが泣いたのだ、という理解をして「おまえ」が原因だとは夢にも思っておらず、その後もケンカのたびに「おまえ」を連発。梨奈さんは「これはモラハラなのではないか」、と考えるようになってしまったのです。

そこである日、勇気を出して「“おまえ”と言われることが怖い」と話をしたところ、言われた夫はとてもとても驚いたそうです。

自分の両親や家族は当たりまえに使っている言葉で、それを発することになんの違和感や意図もなかったと。「これからも言葉の認識の違いが起こるかもしれない」と話し、梨奈さんには気になることがあったらすぐに言ってほしいと言ってくれたそうです。

モラハラの疑いに対して「自分が悪いから……」と考えるのはNG!

リビングルームのクッションに顔を埋めるうつ病の女性
takasuu/gettyimages

このケースでは、妻に対してモラハラをしている意識は夫になかったのでしょう。しかし、梨奈さん自身が「モラハラではないか?」と悩んでいたのは事実です。

人は育った環境が違えば、ものの捉え方も千差万別です。梨奈さんの場合は相手の言葉づかいに不安を覚えましたが、筆者の知人には夫が“しゃべらない”ことが許せず離婚を決意した人もいます。

つまり、「これはモラハラだ」と自分が感じれば、それは相手が意識してなくても“モラハラ”になるということ。だからモラハラの疑いに対して「“私が悪いから”そんなことが起こったのだ」と納得したり、「自分の態度を変えればこんなことは起こらなくなるはずと」と反省する必要はないのです。

一方通行では成り立たないモラハラ改善

夫婦とはいえ別の人間である以上、自分が正しいと思うこと、当たりまえだと思うこと、嫌だと思うことがぴったり一致するなんてことはありえません。だから、自分だけが努力するのも、相手だけが努力するのも間違いです。モラハラ改善は一方通行では成り立ちません。もし、“モラハラ夫”と思ったら、率直に自分の感じたことを相手に伝えてください。

梨奈さんのケースのように相手が聞く耳持つか、それともよけいに怒りを示すか……もし、怒りがエスカレートするなら夫婦の関係性を見直す必要がありです。

縁あって夫婦となった2人。でも、人は日々変わりますし、取り巻く環境も変わります。出会ったころの2人でい続けることなどないのです。お互いの変化をいいものとして受け入れて前を向くために、モラハラ疑惑が生じたら早めに対応してください。

なお、どうやっても相手の態度に改善が見られなかったり、あるいは「モラハラをやめて」と直接伝えたりすることがむずかしい場合は、日付と状況をメモしておくことをおすすめします。離婚まで発展する場合、やはり弁護士さんに判断してもらうことになるので、そのときメモは有力な証拠となります。


◆監修・執筆/三松 真由美さん
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

 
 

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