若いアジアのカップルの喧嘩を強調

煮込み料理はタイパが悪い!?夫婦間でも起こる「ジタハラ(時短ハラスメント)」の実情を夫婦仲の専門家が紹介

2024/09/29

夫婦のあいだにもさまざまなハラスメントが存在します。恋人・夫婦仲相談所の所長を務める三松真由美さんに実例と合わせて紹介してもらいます。

会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、We...

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夫婦間でも起きる「ジタハラ(時短ハラスメント)」とは?

世の中には様々なハラスメントがありますが、働き方改革が浸透した昨今は「時短ハラスメント(ジタハラ)」というものもあるそうです。

ジタハラとは、主に企業の上層部や上司から部下に対して行われるハラスメント。たとえば、残業をせずに定時で帰るように全社で決まっているのに、定時で帰宅できない業務量を部下に振る上司。それでいながら定時帰宅を強要し、結局部下は仕事を家でする「持ち帰り残業」になってしまう……こんなハラスメントが典型的なジタハラです。

若い世代では仕事で「タイパが悪いこと」に会議、紙の資料、通勤時間を挙げるかたが多いようですが、勤務時間内に丸く収まる仕事だけでは世の中うまく回りません。

「働き方改革」の掛け声は聞こえが良いけれど、実際の現場は定時退社では膨大な仕事をさばききれない…働く人に嬉しいはずの「時短」が、マイナス効果になっているという悲しい事例です。

そしてこのようなジタハラは、ときに夫婦間でも起きることがあります。

子連れでお出かけの準備が、ジタハラの温床に

妻は彼女の眠っている夫を非難
maroke/gettyimages

なみさん(仮名/30代)がストレスを感じているのは、子どもを連れたお出かけのとき。

「乳児を連れてのお出かけって、とにかく支度が大変じゃないですか。ミルクのための哺乳びん、哺乳びんケース、粉ミルク、水筒、紙オムツ、おしりふき、ビニール袋、おむつの準備、暑さ寒さに備えての着替えの服、スタイ、おもちゃ、タオル、抱っこ紐など…これだけを準備するのに、かなり時間がかかります。加えて自分の支度もしなきゃいけないとなると、出かけるまで1時間以上支度の時間がかかります」と、なみさん。

一方で、夫さんはさっさと自分の支度だけを完了して、いつもソファーでスマホいじり。一般的に男性のほうが身支度には時間がかからないのだから、赤ちゃんの支度をやってくれればいいのに「俺は何を持っていくかわからいから」と、しれっと拒否するのだそう。

そのくせ、「あと何分で出発できるの?」、「まだ支度しているの?予定していた電車に乗れないじゃん」、「女は支度に時間がかかるなあ」、「行動がのろいんだよ」と言いたい放題。

“俺は待たされている被害者アピール“をするだけで、1ミリも手伝ってくれないそうです。

「私に全部押し付けておいて、早くしろ、行動が遅い、などと言われ、心が折れます。お出かけがホント憂鬱です…」

妻に作業を押しつけておいて、せかす夫。これはまさに夫婦間のジタハラといえます。

煮込み料理にすらクレームのジタハラ夫

アジア人女性が料理をしている。
lielos/gettyimages

すずさん(仮名/30代)の夫は何をするにも「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」。

何かというと「タイパが悪い!」と夫がすずさんに文句を言いがち。例えば、家事においても優先されるのはタイパ。すずさんが時間をかけて作る煮込み料理に対しても「お前の料理はタイパが悪い。鍋で煮込むなんて時間も光熱費もかかってもったいない。煮込まなくたって、電子レンジでチンすれば肉なんか加熱できるだろ。」とダメ出しをしてくるのです。

「加熱するだけなら電子レンジでも可能ですが、肉がとろけるようなシチューは、いくら電子レンジで長時間加熱してもできないって、わかってないんです。タイパ重視っていうより、単なるケチでしょ!って思って、イラっとします。」と語るすずさん。

家事に求める過剰なタイパ。これも夫婦間のジタハラのひとつです。

音楽番組すら倍速視聴する夫

若いカップルはアパートで夜に映画を見て、ポップコーンを食べる
Milos Bjelica/gettyimages

はなさん(仮名/40代)は「夫と一緒に動画を見るのがストレスです」と言います。

「夫はとにかくせっかちで、TV番組の録画でも、動画配信サービスの番組でも、すべて2倍速で見ます。もちろん、ドラマや映画によっては字幕があるので2倍速でも問題なく見られるものもありますが、スポーツ中継などは大事なプレーが早すぎて目で追えないときがあります。ときには、音楽番組も2倍速で見ていて『これ、原曲と全く違うでしょ!」とつっこみたくなります。

もちろん、私ひとりで自分のスマホで見れば夫のペースに合わせる必要はないのですが、テレビ番組の録画や、動画をPCで再生してテレビにつないで大画面で見たいというときには、再生速度をどうするかでいつも揉めます。」

確かに、動画視聴の際の再生速度は人によって好みが違います。「普通の速度だとまどろっこしい」という人もいれば、「2倍速にすると、集中して見たり聞いたりする必要があるので疲れる」という人もいます。

しかし、「短時間で動画を見たい」という自分のスタイルをパートナーに強制するのは夫婦間のジタハラの一種と言えるでしょう。

ゆったりした老後のためにも心地よい時間の使い方を考えて

夫婦とは長い時間を一緒に過ごすパートナー。忙しい子育て時期が過ぎ去り、ゆったりとした老後は確実に訪れます。そこをどう、まったり生きてゆくか、仲良くなければ辛い老後になるでしょう。

「サッサと動いて」「時間の無駄っしょ」と小競り合いしているようでは先が思いやられます。

お互い心地よい時間の使い方ができるよう、一呼吸して言葉を選んでみてください。

 
 

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