女性が健康で若々しくあるために不可欠な“骨盤底筋トレーニング” ~連載『はじめよう!フェムテック』
2023/10/05
2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。
番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。
<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、レタスクラブの編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人
●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった32歳
<ゲスト>
●丸山真理子 Mariko Maruyama
東京都出身。産婦人科専門医。関西医科大学卒業後、神奈川・東京の産婦人科勤務を経て2019年1月に中央区・八丁堀にEASE女性のクリニック開院。2022年2月イーズ病児・病後児保育室、イーズファミリークリニック本八幡開設。5歳と6歳の母。https://ease-clinic.jp https://ease-motoyawata.jp/
まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第2フェーズ。ゲストは前回に続き「EASE女性のクリニック」 院長の丸山真理子さんです。「今回は、女性の健康維持に欠かせない骨盤底筋群のトラブルについてです。私は初めて聞いた言葉でしたが、普通に生活しているだけでは強化されない筋肉なので、意識して鍛える必要があるのだそう。先生に、具体的なトレーニング方法について教えていただこうと思います」(伊久美)
女性の40%が体感している“尿もれ”。改善のカギは“骨盤底筋群”にあり
■東島アナ「先生にお伺いしたいのは、骨盤底筋群のトラブルについてです。女性の健康と非常に密接な関係があるということなのですが、詳しく教えていただけますか」
■丸山「骨盤底筋群というのは、腰骨あたりから下にある内臓を支えているいくつかの筋肉やその周りの組織全体を指します。上は背骨まで、横は腹横筋、下は太ももの内転筋まで繋がっています。もともと、動物の歴史の中で、人間や猿人類になって二足歩行をするようになってから獲得したもろくて弱い部分で普通に座ったり、歩いたりしているだけでは鍛えられない筋肉です。意識して鍛えることが重要なのです」
■東島アナ「骨盤底筋群が不調になると、どのようなことが起きるのでしょうか」
■丸山「“骨盤底筋群”の筋肉はなにもしなければ、必ず徐々に薄くなり衰えていきます。それに加え、便秘になったり、太ったり、女性の場合は妊娠や出産でも骨盤底筋に強い重力がかかり、筋肉が薄くなったりして、壊れていたりします。そうすると、支えていた内臓の位置、主には膀胱、直腸、子宮などの位置が下がって、臓器脱という病気になったりします。軽い症状だと尿もれ、入浴後にお湯が漏れるなどの不快感などがあります」
■伊久美「私は50代なのですが、同年代の仲間と飲み会をしていると、突然、“あっ!”と言う友人が、結構います(笑)。友人たちは、“特にトイレへ行くことを我慢していたわけではなかったのに、尿もれしたことがショックだった”と言っていました。そういうことって、よくあるのでしょうか」
■丸山「はい。くしゃみをしたり、大きな声を出して笑ったりすると、お腹に力がかかります。もともと骨盤底筋群は重力に耐えるためにあるので、骨盤底筋が弱くなっていると、重みに耐えられなくなり、尿意のコントロールが難しくなることがあります。女性だけでなく男性も骨盤底筋群は、常に意識して鍛える必要があります」
■伊久美「例えば、おへその部分を意識するなど、何かポイントはありますか」
■丸山「女性は、肛門と膣を締めるようにして座ること。重たいものを持ち上げる時にも、引き締めながら持ち上げることです」
■東島アナ「お腹の奥底、いわゆるインナーマッスルを意識して、ぐっと力を込める感じでしょうか。この動作を、1日に何回くらい行うとよいですか」
■丸山「1日に30~50回、3カ月間、毎日頑張ってトレーニングするのが、骨盤底筋体操の一般的な治療プログラムです」
■伊久美「30回くらいなら、そんなに時間もかからないですよね~(笑)。早速、毎日の習慣にしていこうと思います!」
もっと自身の体調について気軽に相談できる場があれば、心も体も健やかに
■東島アナ「先生のクリニックでは、 引き締まった若々しい体づくりのためのサポートも行っているそうですね。加齢や出産が原因と思われる、相談しづらい体の悩みにも寄り添い、気軽に骨盤底筋群を鍛えるマシーン “フェミゾン・プラス” も監修されたと伺っています。どのようなマシーンなのでしょうか」
■丸山「服を着たまま座るだけで、骨盤底筋群が強化されるマシーンです。運動ができないかたや、仕事や子育てでジムへ行く時間がないかたにおすすめです」
■伊久美「私は先生の無駄のない引き締まったお姿を拝見して、クリニックでマシーンを体験してみたいと思いました。写真を見ると、一見、ちょっとした背もたれがついているカラフルな普通の丸椅子のようですが、座るだけで鍛えられるのですよね」
■丸山「いわゆるEMS※を使ったマシーンなのですが、強い磁気で体の奥深くまで高い周波数が届く装置になっています。一度座っていただければ、ぐいぐい筋肉が鍛えられていることを実感できるはずです」
※HI-EMS(高強度収束電磁波):高強度の電磁波を生成し、特定の周波数とパルス幅に調整して収束し、収束された電磁波は皮膚と脂肪組織を貫通し、深部の筋肉組織に直接作用し、筋肉を強制的に収縮させる方法のこと。
■東島アナ「クリニックやサロンへ通うほかに、家で行えるトレーニングは、何かありますか」
■丸山「骨盤底筋体操というのは、古くからある治療法なので、一度ネット動画などで検索をしてみてください。“ケーゲル体操” という言い方もされています。ただ、骨盤底筋は見えない筋肉なので、骨盤の筋肉がそもそも少ないかたは、自分で鍛えている実感が湧きにくいのが現実です。骨盤底リハビリテーションや骨盤底外来など、フェミゾン・プラスが設置されている医療機関などにご相談いただければと思います」
■伊久美「やはり、継続が重要ですよね。先ほど教えていただいた、肛門と膣の引き締め体操も、合わせて行うとよさそうですね」
■丸山「はい。筋トレですから、家でのトレーニングと、サロンやクリニックで座って鍛えることを、交互に組み合わせて行っていただくのがいいと思います」
■東島アナ「女性の健康維持に大切なアドバイスをたくさんいただいてきましたが、先生は、フェムテックを通じて今後、働きやすい社会、女性の幸せな社会になるためには、なにが大切だとお考えですか」
■丸山「女性自身が、もっと自分の体について興味をもって、正しく知ることが必要です。ご自身の体調について、カジュアルに話ができるような社会づくりも大切だと思います」
■伊久美「丸山先生は、常に“カジュアルに”といってくださり、寄り添ってくださる先生だなぁと感じましたし、いろいろと勉強になりました。ありがとうございます!」
合言葉は「はじめよう!フェムテック!」
●フェミゾン・プラスに関するお問い合わせ:EASE女性のクリニックhttps://ease-clinic.jp
●次回のゲストは、84歳のジャズシンガー、マスミ・オーマンディさんです。
【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!
●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/
●撮影/寿 友紀