鼻を覆う女性が1組の臭い靴を抱えている

靴や靴下を脱いだときの足の臭い「しっかり洗っていても臭う場合は病気の可能性も」足が臭ってしまう原因と対処法を医師が解説

2024/12/27

靴や靴下を脱いだとき、自分の足の臭いが気になったことはありませんか。ブーツを履く機会も多いこの時期、足の臭いの原因やケアの方法を知っておいて損はありません。

足の臭いに関する詳しいお話を、たかはし皮膚科クリニックの院長・理事長である髙橋謙氏に聞きました。

Q.足が臭くなる原因にはどのようなものがありますか

足の臭いは、人間の皮膚に存在するさまざまな細菌の繁殖と、それらの細菌が足の表面にあるたんぱく質を分解する際に発生する物質が原因で起こります。

エクリン汗腺という汗をつくる組織が多くある手掌(しゅしょう:手のひら)や足底は、湿潤な環境が保たれやすいところです。靴や靴下を履くことにより高温多湿な状態が維持されると、細菌がたくさん繁殖して臭いが発生しやすくなります。

また、(足の裏の)皮膚は圧力負荷がかかると角質層(皮膚の一番外の層)が増殖します。その増殖した角質層や、剥がれ落ちた角質のたんぱく質に細菌が繁殖することでも、足の臭いは発生します。

病気が原因で足が臭うこともあります。考えられる病気には水虫(足白癬(あしはくせん))のほか、水虫によく似た紅色陰癬(こうしょくいんせん)、点状角質融解症(てんじょうかくしつゆうかいしょう)や、汗疱(かんぽう)及び異汗性湿疹(いかんせいしっしん)があります。

これらの病気では炎症・水疱後に起こる皮剥けが臭いのもとになります。水虫の場合、患部から出るジュクジュクした滲出液も高たんぱくであるため、足の裏が細菌が繁殖しやすい状態になり、臭いにつながります。

Q.足が臭くなりやすい人の特徴にはどのようなものがありますか

次のような人は、足底が細菌が繫殖する高温多湿な状態に保たれる傾向にあり、足が臭いやすいと言えます。

・汗をかきやすい子ども
・手足によく汗をかく人
・よく運動をする人
・仕事で1日中靴を履いて歩き回る人

運動など激しい動きでは、足底への負荷による角質層の増殖と、たくさんの発汗が同時に起こることも、臭いの原因となります。

Q.足の臭いを予防・抑制するためにできるセルフケアはありますか

彼女の足を洗う
Reimphoto/gettyimages

まずは、細菌が繁殖しない・しにくい環境を作ることが大切です。

靴の履きっぱなしを避ける、靴などは連日同じものを履かない、インソールを定期的に洗ってしっかり乾かすなどの対策ができます。

靴下をきちんと履くことも、足の臭いの予防・抑制に有効です。靴下に水分が吸収され、湿気が飛んで細菌が繁殖しにくくなります。抗菌加工をしてある靴下の着用や、抗菌作用のある市販のクリームなどの使用もいいでしょう。

足をきちんと丁寧に洗う、足底の角化したところを軽石など専用の器具を使って削るのも有効です。ただし、足底を削るときに刺激を加えすぎると軽度の炎症を生じ、角質が過剰に作られ蓄積する過角化(かかくか)を進めてしまう可能性があります。力を入れすぎないように行いましょう。

Q.ケアをしていても足が臭ってしまう場合、考えられる病気はありますか

ケアをしていても足が臭ってしまう場合、先述した水虫、紅色陰癬、点状角質融解症、汗疱・異汗性湿疹などの病気であることが考えられます。

紅色陰癬、点状角質融解症、汗疱などは症状が軽いため放置されたり、罹患していても気づかなかったりすることも多いです。

水虫、汗疱性湿疹は自分でも気づかない程度の軽傷から、強いかゆみを伴ったり、水疱がつぶれて痛みを伴ったりするものまであります。

Q.足の臭いで病院にかかる目安はありますか

足の臭いのほかに自覚できる症状があれば、それが受診の目安といえます。たとえば臭いのほかに、赤み(炎症)・痒み・かさつき・水疱などがあれば病気の可能性があり、受診すべき状態です。

しかし、他の症状がなくても臭いが気になった時点で受診していただくのがよいと思います。足の臭いの原因が病気でなくとも、対処できる制汗剤、病院・クリニック専用のシャンプー類などで対処できるケースもあるからです。

足の臭いは皮膚にからんだものが大多数なので、不安なことがあれば皮膚科を受診しましょう。

教えてくれたのは・・・

髙橋謙 院長

1999年大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭に様々な疾患を診られるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。専門科に割り振れない、様々な疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。日常診療に加え、研修医・医学生への指導にも当たる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修を行う。その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研鑽を積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。現在は1日当たり80~130人の患者さんの診療にあたっている。

取材/文:山名美穂(Instagram「@mihoyamana」)
編集:サンキュ!編集部

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