ずーっとゲームしかしない息子。その集中力、勉強に生かせないの?!親はどこまで口出しするべきなのか?
2023/09/23
勉強に対してやる気がない中1の長男にやきもきしている相談者はづきさん。前回に続き、アドバイザーの小村俊平さんから、声かけの工夫や高校受験への心構え、オンラインゲームへの対応にも、柔軟かつポジティブなアドバイスがありました!
息子自身も「勉強しないといけない」と思っている様子。彼なりに葛藤があるみたいです
はづき:勉強しないしテスト前も焦らない息子ですが、ふとしたときに「あの子は頭がいいんだよ」「なにげに勉強しているんだよ」と言ったりします。本当は自分でもやらなきゃいけないとわかっているのかもしれません。
小村:なるほど。そうかもしれませんね。
はづき:「じゃあ、ゲームの時間を1時間でも勉強にまわしたら」って言っちゃうんですが、「それができればやっているよ」と返ってきて、彼なりに葛藤があるみたいです。
小村:そうですか。
はづき:あまり言わないほうがいいのかなぁ。でも傍観しすぎて息子がのんびりしすぎても困るし…さじ加減が難しいですね。
小村:悩みどころですね。
はづき:それに私自身、焦りをコントロールするのが難しいです。うるさく言わずにやる気を持たせるにはどうしたらいいんだろうって、いつも悩みます。
小村:親の言いなりになりたくない年ごろですしね。親に勧められると興味があっても知らんふりして、あとでこっそり手に取るみたいな。
はづき:わかります。
小村:自覚はあるけど気乗りしないときに人に言われると、反発したくなることもありますね。今は「いつやるの」とプレッシャーをかけず、ゆったりと構えるといいかもしれません。
子どもが自覚しているなら、本人が「勉強しよう」と動き出すタイミングを待ってみよう
小村:そうはいっても授業態度は内申点に関わるので、親としては気になりますよね。
はづき:はい。「苦手な科目だと、ほんとイヤそうです」と先生からも言われました。
小村:勉強しなくてもいいから、態度だけ改めてくれたら。
はづき:そうなんです!息子は得意不得意を表に出しすぎるタイプ。「苦手でも嫌な顔をしないで、聞く姿勢だけでも見せよう」とさらりと言っても、「僕、できないから」とシャッターを下ろされちゃって。
小村:「やらなきゃ」と思っているけれどできなくて、その葛藤が態度に現れてしまうのでしょうね。
はづき:そうですね。
小村:でも息子さんが自覚しているなら、やはり本人が動きたくなるタイミングを待つのがいいかなと思います。
はづき:そこは親として反省しないとですね。
小村:いえいえ。
はづき:長女と比べてしまう部分もありましたし。息子はノートの取り方もひどかったり、提出物も出さない物があったり、もう少ししっかりしてほしくて。
小村:男の子あるあるです。中1は自分に出会う時期。身長だって10cm近く伸びますし、心もすごく変わりますから、今は自分の心身の変化に慣れることが大事だと思います。
はづき:はい。
小村:隣の子はこうだ、ではなく自分のペースをつかめるといいですね。
一番避けたいのは「勉強しなさい」と繰り返し言われて勉強嫌いになること。リカバリーが難しくなります
はづき:まだ先のことですが、高校受験も気になります。模試を受けると志望校の合格判定が出てくるじゃないですか。それを見るとちょっと焦ってしまって。本人は平然としていますが(笑)。
小村:高校受験まで時間があるから大丈夫ですよ。志望校があるなら「今やらないと、もうダメなのよ」じゃなくて、「今は合格ラインに届いていなくても、好きなことを楽しんで頑張っていれば、男の子はあと伸びするのよ」と言って励ましてあげましょう。
はづき:やってみます。
小村:一番しんどいのは、早くから「勉強しなきゃいけない」と繰り返し言われて勉強嫌いになるケースで、頑張ること自体に投げやりになってしまう。そうなるとなかなか復活しないんです。「親や先生がこんなに言ってくれたのに、自分は頑張れず期待に応えられなかった」と思うと辛いじゃないですか。
はづき:はい。
小村:だから中1や高1のときに一番大事なのは、勉強を嫌いにさせないこと。「勉強は大事だよ」とフラットに伝えながら、好きなことを起点にやる気や興味を伸ばしていきましょう。
長時間のオンラインゲーム。息子の友だち関係もあるし、親はどこまで制限をかけるべきか、迷います
小村:あとは生活習慣を崩さないことだけ心がけるといいと思いますよ。
はづき:野球部に入っていて朝練もあるので、今のところ大丈夫そうです。
小村:素晴らしいじゃないですか。
はづき:ただ、ゲームを1日中やっている日もあって…。土曜日の夜は友だちからゲームのお誘いが来て、「〇時までね」と言うんですが、音を消してこっそりやってたりします。
小村:それも「男の子あるある」です。
はづき:息子は「ほかの子は夜中の3時までやっている」と言い訳するけど、それはOKできないし…。
小村:人間関係がからんでくるから難しいですね。
はづき:そうなんです。「ダメなものはダメ」と伝えていますが、友だちづきあいも大切だし、「ダメ」で通していいのか迷いもあります。
ルールより「こうしてくれたらうれしい」と、お母さんの気持ちを伝えるほうが効果的かもしれません
小村:「ルールだから」という伝え方が響かない子もいます。お話を聞いていると真面目で家族を大事にする息子さんのようなので、「こうしてくれたら助かるしうれしい」と、お母さんの気持ちを伝えるほうがいいかもしれませんね。
はづき:なるほど…!そこも言い方ひとつですね。
小村:夜のゲーム時間も「うちはこういうルールだから」より「私が気になって眠れないから」という言い方のほうが響くと思います。
はづき:視点を変えてやってみます。
小村:息子さんは、友だちとオンラインでつながって宿題をしたりしますか?
はづき:いえ、してないです。
小村:そういうやり方も手ですよ。ネットでつながることは、遊ぶだけじゃなくて勉強にも使えます。苦手な教科や面倒でやる気が出ない宿題も、友だちと一緒だったらできたりする。「歴史は助けられるから数学は助けてよ、って言ってみたら?」と勧めてみてもいいかもしれませんね。
はづき:はい。子どもの耳にポジティブに響くよう、自分の見方や言い方を変えてみたいと思います。
小村:それにしても、はづきさんは息子さんとよくコミュニケーションして、いい関係を築いていらっしゃいますね。
はづき:ありがとうございます。部活や学校のことはよく話してくれますね。全然しゃべらないというお母さんもいるけど、うちはそうじゃないなって。
小村:一番大事なことができていらっしゃるし、息子さんは好きなことがあるから、何も心配いらないですよ。
はづき:相談に乗っていただいて、自分の視点が変わった気がします。それにやっぱりあせっていたなって。
小村:あせる気持ちは、私もよ~くわかりますよ。
はづき:周りから情報も入ってくるし、長女や同級生と比べていた部分もあるので、「この子はこの子」という気持ちで見てあげなきゃと、改めて思いました。
小村:はい。
はづき:「そうしてくれると私がうれしい」という伝え方は、親だからこそできることですよね。それを子どももうれしいと感じるなら、お互いにとっていいことだと思いました。
小村:そうですね。今回の悩みはすぐに結果が出ることではないので、気長に構えていただいて。時期が来ればきっとやる気になるから、息子さんを信じて見守ってあげるといいと思いますよ。
親の適切なサポートは必要だけど、最後は子どもを信じて見守ることは、子育てにおける永遠の処方箋なのかもしれません。小村さんの「ルールで押すより母の気持ちを伝える」という新たな角度からの提案に、はづきさんも何かをつかんだ様子。悩み相談をきっかけに、はづきさんや息子さんに何か変化はあったでしょうか?次回、その結果をお届けします。
イラスト/髙栁浩太郎 取材・文/神坐陽子 企画/サンキュ!コメつぶ編集部