長引く猛暑の影響で“秋バテ”する人が増加。おすすめの対策は!? ~連載『はじめよう!フェムテック』
2024/11/21
2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。
番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。
<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。32歳の長女一人。
●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった33歳。
<ゲスト>
●大久保 愛 Ai Okubo
漢方薬剤師、食薬アドバイザー。昭和大学薬学部生薬部植物薬品研究室を卒業後薬剤師に。その後、北京中医大学で漢方、薬膳、東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方、薬膳を始め、医療と美容の専門家として商品開発、ライティング、企業コンサルティングなどに携わっている。一方、食薬アドバイザーとして、年間2000人以上の女性の悩みに応えている。最新刊 『心と体がバテない食薬手帳2025』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も好評発売中。
認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。ゲストは、漢方薬剤師で食薬アドバイザーの大久保愛さんです。「昨年の12月以来のご登場となる大久保先生。毎回、漢方の観点を交えて、季節ごとに心身の健康をキープするための方法を教えていただいています。今回は、最近、“秋バテ”をしている人が多く、冬もだるさが残るとのこと。その対策について伺いました」(伊久美)
旬のものを食べることは◎。とはいえ食べ過ぎには要注意 !
■東島アナ「ゲストは漢方薬剤師で、食薬アドバイザーの大久保愛さんです。今回も漢方の観点からお話を伺います。今年は残暑が厳しかったですよね。夏バテどころか、10月、 11月も秋バテに要注意というニュースも耳にしました。まずは、この秋バテの症状について解説をしていただけますか」
■大久保「夏からの疲れを引きずっている人は特に感じやすいと思いますが、秋の気候は、朝と夜の気温差が大きいという特徴があります。そうすると、自律神経が乱れてしまうので、心の不調を感じやすくなったり、喉の気道が敏感に反応してせきが止まらなくなったりします。あとは、暑さも和らぐ日が多くなり徐々に肌寒くもなってきますので、水分摂取が夏に比べて格段に落ち、喉が乾燥したり、便秘に悩まされたりするかたもいます。便秘に伴って免疫機能が低下して感染症や花粉症などに悩まされるかたも増えてきます」
■伊久美「秋は、いろいろと危険なのですね。夏に比べて体のコンディションがよくなる時期でもありそうですけどね~」
■大久保「夏に比べると、外へ出掛けたくなるような気候になるので、元気でいたいですよね。ただ、秋というと、クリームやチョコレート、栗などのこってりしたお菓子の限定品に目が向いてしまいがちです。旬のものを食べようとして、そのようなお菓子ばかりを食べていると、腸内環境が乱れて不調が出やすくなります」
■伊久美「それは要注意ですね。“旬のもの=体によい”というふうに、みんな思っているじゃないですか。とはいえ、食べ過ぎはよくないということですね」
■東島アナ「なにか、秋バテの症状におすすめの対策はありますか」
■大久保「まずは、これから乾燥しやすい時期にどんどんなっていくので、こまめに水分補給をしてください。そのことが粘膜免疫を強化してくれるので、鼻や喉の乾燥する症状が軽減します。そして、湯船にしっかり入って血流をよくし骨盤内の臓器を温めて、その機能が低下しないようにすることですね。あとは、睡眠の質を上げることはなかなか難しいかもしれませんが、睡眠時間をしっかり確保すること。寝る時にレッグウォーマーや腹巻きを着けたりして、適度に体を温めてあげることも大事だと思います」
■伊久美「私は、よい睡眠がなかなかとれていないと感じているのですが、なにかよい方法はありますか」
■大久保「日中の過ごし方の結果として、よい睡眠がとれたりとれなかったりすると思うので、まず不眠の原因を知るために、スマートウオッチなどを付けてみてはいかがでしょう。どのような日中の過ごし方をした時に、睡眠のスコアが高くなったかを数値化するのがおすすめです。そしてどのような行動が自分に合っているのかを知ることです。
例えば)
*寝る〇時間前に入浴をするのが自分にはよい
*夜寝る前はダウンライトにする
*携帯の電源を切って遠くに置いたらよく眠れた
*朝日を浴びたら、その日はよく眠れた
など、睡眠に関してできることはたくさんあるので、片っ端から試して睡眠時間を数値化し、客観的な評価をしていくとよいと思います」
■伊久美「なるほど。ありがとうございます。昼間の過ごし方がよい睡眠に直結するわけですね。まずは身近なことから試してみます」
■東島アナ「大久保さんの“行動パターンを数値化して分析する”ということが、食薬の面にも生かされているかもしれませんね。どうしても毎日のこととなると食事は大事ですが、先ほどおっしゃっていた“旬のものでも、摂り過ぎには注意”ということで、“こういうものをこのくらい摂るとよい”というようなアドバイスがありましたら教えてください」
■大久保「秋から冬にかけて腸内環境が乱れ、便秘やコロコロ便になるかたが多いので、生野菜で換算して1日に両手のひらで3つ分くらいをとっていただくのが理想です。その内訳はキャベツなどの淡色野菜を二つ分、緑黄色野菜を一つ分です。全部で350gぐらいが推奨されているので、大体の目安としていただけたらと思います。そして、旬のものというと、きのこがおいしくなってくるので、いろいろな種類のものを摂ってください。これから冬至まで、日照時間がどんどん短くなると、太陽の光によって増えるビタミンDの生成やセロトニンの分泌が少なくなります。その結果、免疫の低下や自律神経の乱れが生じます。腸内環境はビタミンDや食物繊維の摂取に依存するので、両方を摂れるきのこ類は大事なのです。また、秋においしくなる根菜類も腸内環境を整えてくれます」
■伊久美「調理法は自由ですか」
■大久保「はい。“きのこや根菜類を摂る”と、とりあえず考え、便がスルっと出る感覚が毎日継続しているかどうか注目していただけたら、過不足はないと思います」
■東島アナ「それが秋バテや冬のだるさへの解消にも繋がるということですね」
■大久保「そうです。あとは、味覚が濃いものに慣れてしまいがちなので、昆布や干ししいたけなど、だし汁になるような干物をたくさん使うことで、腸内環境だけでなく、味覚も整えていくとよいと思います」
■伊久美「先ほど教えていただいた、両手のひらに三つ分の野菜に混ぜたりしてもよいですね」
■東島アナ「まずは自分の体と向き合ってみて、なんとなく不調を感じている、というかたは今回大久保さんがお話した食生活を試してみてはいかがでしょうか。もっと詳しく知りたいかたは、大久保さんの新刊『心と体がバテない食薬手帳2025』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)もご覧くださいね」
●次回も、漢方薬剤師で食薬アドバイザーの大久保愛さんをゲストにお迎えします。
合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」
【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にニッポン放送でオンエア。お聴き逃しのかたは『radiko』のタイムフリー機能で、放送1週間後までお聴きになれます。
●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/
●撮影/寿 友紀