乳がんは日本人女性がかかるがんの第1位。今や誰にとっても身近な病気です。2025年8月に乳がんを公表した梅宮アンナさんは、その後も闘病生活について様々なメディアで発信。治療にかかるお金のことも率直に語る彼女に乳がんのリスクに備えるためのヒントを伺いました。
高額な治療の誘いもたくさんあった。でも納得して選んだのは「標準治療」
――がん保険は入っていましたか?
「たまたま6年前に2つ入っていて。貯金するよりよかったと思いました。がんと診断されたときの一時金100万円で入院費を賄えたのが心強かった。皆さんが今健康なら、保険の加入を検討してみてほしいです」
――給付金が受け取れれば、お金の面でも気持ちの面でも安心感が増しますね。
アンナさんは標準治療のみで自由診療は一切しなかったと聞きました。
「がんを公表した後、自由診療の誘いはたくさんありました。でも全部断って、美容のためのサプリメントさえ口にしなかった。標準治療で元気になった人をいっぱい知っているし、自由診療の中には根拠も曖昧なのに高額なものもあり、金銭面でも標準治療が妥当だと思いました。
抗がん剤も放射線治療もしんどくて何度も心が折れたけど、主治医の先生を信頼していたから、指示はしっかり守った。
そして、こうして元気になれました。
私はこれまで中身の濃い人生を歩んできたので、気持ちはもう80歳くらいの感覚なんです。ここで死んでも後悔はないの。だから、自分で納得して選んだ治療を信じよう。もしそれで治らなくても受け入れようと思っていました」
――アンナさんの覚悟に圧倒されます。今後はどう生きたいですか?
元気でいることも、私の役割だと思う
「私、自分の命はフィフティ・フィフティだと思って治療を始めたんですね。それで生かされたなら、役割を努めようと。だから、がんに生きる人を支援すると決めました。自分が元気でキレイいる方が説得力が増すと思うからそれも役割」
――治療中から意識されていましたか?
「病院って空気を重く感じがちなんです。
『私が色を入れよう!』と思って、蛍光カラーのマスクやパンツスタイルで通院したりしてます。蛍光カラーの私を見て引いちゃう人もいるけど、『梅宮アンナいた!』とか『治療中でも自由におしゃれを楽しんでいいんだ』とか、そんなことで、治療中の人が少しでも心がワクッとしてくれたらいいなと思っています」
Q がん保険には
どんな種類がありますか?
A 診断が降りると出る、
入院や通院で出るなど様々あります
がんと診断されたときに出る診断給付金と、通院や入院日数、手術に応じて出る給付金ががん保険のメジャーな保障。ほかにも抗がん剤や放射線などの各治療に対してお金が出るものや、先進医療や乳房再建に対する保障もあります。保障が多いほど保険料が高くなるので、自分にとって必要なものを見極めることが大切です
Q&Aマネー監修/深田晶恵(ファイナンシャル・プランナー)
Q 「標準治療」とは
なんですか?
A 科学的根拠に基づいた治療のこと。
多くの方に推奨されます
標準治療とは「現段階で最良の治療」と科学的に示され、多くの方に勧められる治療のこと。最先端の治療=最良の治療とは限りません。標準治療は健康保険が適用されますが、代替療法や民間療法などは適応になりません。検証中の新しい治療は、治験という形で受けることはできますが保険適応外となることが多いです。適応外の治療と適応の標準治療を組み合わせる場合、すべての診療費は全額自己負担(保険適応外)になります。
Q&A医療監修/島田菜穂子(ピンクリボンブレストケアクリニック表参道)
撮影/菊地史
記事は「サンキュ!」2025年11月号(9月25日発売)に掲載されたものから抜粋しています。内容は25年8月現在のものです