今は元気に働けていても、病気や失業、住宅ローンに老後資金など、人生100年時代の昨今、「お金にまつわる危機」(お金クライシス)にいつか直面する可能性も。「おひとりさま」のいざという時に慌てない!お金戦略をFPが解説します。

<教えてくれた人>: ファイナンシャル・プランナー 畠中雅子
教育資金や老後資金などについてのアドバイスが好評。『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)など...
<プロフィール>
Cさん(40歳 関東在住)1人暮らし
年収(手取り) 480万円
年貯蓄額 80万円
総貯蓄額 300万円
▲新卒で就職した会社から、自分のやりがいを重視して転職。現在、正社員として勤務
地方出身者のCさんは、大学進学と同時に上京。大学在学中は親からの仕送りとアルバイトで生活していたので、やりくり意識が自然と身に付きました。転職後の仕事にやりがいを感じて、夢中になっているうちに40歳に。後悔はないけれど、「一生、おひとりさまかも」と思うと、お金の不安が募ります。
“万が一”を、想定しまくろう!おひとりさまCさんのお金クライシスがわかる人生グラフ
【1度目のお金クライシス】50歳 ステージ1のがんが発覚!入院時の保証人を身元保証会社に頼る
入院する際には治療費などの支払いを保証する連帯保証人と、万が一の場合に対応をする身元引受人が必要になります。頼める人がいない場合は、民間の身元保証会社などに有料で依頼することに。
【2度目のお金クライシス】54歳 通院しやすい働き方に変えて収入が減少
がんは寛解しましたが、引き続き治療や定期的な検査が必要なことと、体調を考慮して、会社に時短勤務を申請。その分、収入が減り、住宅ローンの返済もあり家計が大ピンチ!
【3度目のお金クライシス】65歳 要介護になったらおひとりさまは自宅での介護生活は厳しい
要介護認定を受けると、公的介護保険の介護サービスが受けられます。要介護の状態にもよりますが、おひとりさまだと、訪問介護サービスやデイサービスなどを利用しても、自宅で最期まで介護生活を送るのは難しいかも。
おひとりさま家計が今できるお金戦略
面倒くさがらずにiDeCoで老後資金を殖やそう
夫婦は、2人とも健在のうちは、2人分の年金を受け取れますが、おひとりさまは1人分だけ。節税効果のあるiDeCoを利用して、公的年金以外に自力で老後の生活費に備えるのが安心対策です。
万が一、働けなくなる可能性に備えて、「就業不能保険」への加入を検討しよう
おひとりさまは、自分が働けなくなったときの負担が大。病気やケガによる長期の入院や、在宅療養で働けない状態が継続したときに給付金がもらえる「就業不能保険」を検討するのもアリ。
おひとりさまだと公的介護保険の給付だけでは足りないことも
民間の「介護保険」も視野に入れよう
要介護・要支援に認定され、介護サービスを受ける場合でも、身近で世話をしてくれる親族がいないおひとりさまの場合、公的介護保険内の介護サービス※だけでは不自由を感じることも。民間保険会社の「介護保険」を検討するのがおすすめ。
※要介護度別に1カ月当たりに利用できる介護保険サービスの上限額が決まっています。上限額を超えて介護保険サービスを利用すると全額自己負担に。限度額内でサービスを利用する場合は、自己負担は1割程度
「老後をどう過ごしたいか」を早めにイメージしておこう
今の住まいに住み続けるのか、高齢者施設に入所するのか、地元に帰るのか、地方移住もアリなのか……など、自分の老後ライフの計画を立てましょう。
親の介護は、親の資産で賄うのが前提!自分の人生に集中しよう
親の介護費用は、親の公的介護保険給付と親の預貯金で賄うのが基本。介護施設の入所手続きなどをサポートするのはアリですが、お金の支援はナシ!
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 畠中雅子さん
教育資金や老後資金などについてのアドバイスが好評。『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)など、著書は70冊超。
※この特集に掲載した情報は25年4月18日現在のものです。情報は変わることがあります。
参照:『サンキュ!』2025年7月号「人生100年時代のお金戦略」より。監修/畠中雅子 構成/出下真紀 取材・文/村越克子 編集/サンキュ!編集部