「パートナーと金銭感覚が合わない」「気づけば自分ばかり我慢している」そんなモヤモヤを抱える人は少なくありません。お金の価値観が違うと、節約の方向性も話し合いの温度感もズレやすく、ストレスにつながりがちです。
そこで今回は、FP2級保持・元銀行員で、“がんばりすぎない家計管理”を実践しているライターしばが、夫婦の金銭感覚のギャップを埋めて「協力家計」をつくるためのコツを4つ紹介します。
家計を整えたいかたや、夫婦で協力しながらお金を管理したいかたに役立つヒントをまとめたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
夫婦のお金の価値観が合わない…その理由とは?
夫婦の間で「お金の使い方や貯め方の感覚が合わない」と感じる人は少なくありません。たとえ夫婦であっても、育ってきた環境や収入状況、安心できるラインが違えば、家計管理への温度感や方向性にズレが生まれるのは自然なこと。
とはいえ、「うちは合わないから仕方ない…」と諦める必要はありません!
じつは、多くのズレは性格や相性の違いではなく、お金に関する“情報を共有できていないこと”から起きています。つまり、情報を見える化し、同じ土台で話せるようになるだけで、金銭感覚のギャップはぐっと縮まりやすくなるのです。
夫婦の金銭感覚のズレを解消!FPが教える「協力家計のつくり方」
ここからは、夫婦の金銭感覚のズレをやわらげるための具体的なコツをご紹介します。
どれも今日から試せるシンプルな工夫なので、「夫婦で協力しながら家計を整えたい」と思っているかたは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1. 家計簿アプリで収支を共有する
収支の共有は、協力して家計を整えるためのいちばんの土台。
家計簿アプリを使えば、「誰が・いつ・いくら使ったのか」を事実ベースで確認でき、夫婦で同じ情報を見ながら話し合えるようになります。
手書きの家計簿は続けやすい反面、ほかの人と共有しにくいのが難点。
その点、家計簿アプリなら、
・その場ですぐに入力・確認ができる
・自動連携で手入力が苦手でも続けやすい
・「どれくらい使っているか」を“感覚”ではなく“数字”で共有できる
といったメリットがあり、いそがしい家庭でも取り入れやすい方法です。
支出が見える化されると、「誰が何を使ったの?」と責める必要がなくなり、「どうしたらもっと家計が使いやすくなるかな?」と前向きに相談しやすくなりますよ。
2. 「財産目録表」で資産を共有する
お互いの資産状況がわかると、家計の全体像がクリアになり、日々の不安がぐっと軽くなります。
そのためにぜひ取り入れてほしいのが「財産目録表」です。
財産目録表とは、
・預金・投資・保険などの“プラスの資産”
・住宅ローン・カードローンなどの“マイナスの資産”
をひとつにまとめて、家庭のお金を棚卸しするための表のこと。
現在の資産が一覧で見えるようになるので、「どれくらい備えがあるのか」を夫婦で正しく把握できます。
更新は年1〜2回でOK。
・将来のライフプランを立てやすくなる
・「何があってもいっしょに乗り越えられる」という安心感が増える
といった効果が得られます。
資産を共有しておくことで、過度な節約に走ったり、理由のわからない不安に振り回されたりすることが減り、夫婦で協力しやすい土台が整いますよ。
3. 口座ごとの目的を書き出して共有する
口座を複数持っている場合、どの口座のお金を何に使うのかが曖昧になりやすく、夫婦間で「勝手に引き落とされた!」などの誤解が生まれやすくなります。
そこでおすすめなのが、各口座に“目的”を設定することです。
たとえば、
・A銀行:生活費用
・B銀行:教育資金用
・C銀行:住宅ローン支払い用
といった具合に、口座ごとに役割を決めておきます。
こうすることで、「このお金は使っていいのか迷う」といった不安が減り、使い方の判断がしやすくなります。
また、目的が明確になることでムダづかいが減り、夫婦で協力して家計を管理しやすくなるのが大きなメリットです。
4. 今後のライフプランを定期的に話し合う
家計管理では、日々の収支だけでなく、中長期の方向性がそろっているかも大切です。
将来の教育費や転職・キャリアの方向性、老後の暮らしなどについて、夫婦で方向性を共有しておくことで、日々の家計判断がブレにくくなります。
おすすめなのは、年に1回ほど「最近どう考えている?」と軽く話し合う場を設けること。
具体的には、たとえば、
「結婚10年目には家族で旅行に行きたい」
「転職やキャリアの方向性はどう考えている?」
「老後は一軒家に住みたい」
といった、ざっくりした希望や計画を共有するだけで十分です。
こうした話し合いを通じて、日々の支出の優先順位や貯蓄の方向性が自然とそろい、夫婦で協力して家計を管理しやすくなります。
まずは小さな一歩から!少しの工夫で「協力家計」をつくろう
協力して家計管理ができている夫婦には、いくつかの共通点があります。
・家計の情報を見える化している
・一方に負担を集中させず、役割を分散している
・支出や貯蓄の状況を“事実ベース”で話し合う習慣がある
・将来のライフプランについて定期的に話し合っている
金銭感覚のズレは、価値観の違いだけが原因ではなく、必要な情報が共有されていないことから生じることが多いものです。
夫婦は「ひとつのチーム」。
情報を共有し、話し合う仕組みをつくるだけで、自然と協力して家計を運営できる環境が整います。
まずは小さな一歩から始めて、夫婦で協力しながら家計を管理できる仕組みをつくっていきましょう!
■執筆/しば
FP2級・元銀行員のライター。がんばらない家計管理と“仕組みでまわる暮らし”をテーマに、家計・子育て・暮らしの記事を執筆中。二児の母。Instagramは@shi_ba_1106
編集/サンキュ!編集部