人生は100年!と言われるけれど、生涯楽しく豊かに暮らすためには、今から「お金戦略」を立てていくことが重要。住宅ローン、教育費、老後資金……、人生で直面する可能性がある「お金にまつわる危機」(お金クライシス)を知って、いざという時に慌てないためにも今からお金戦略を立てよう!子ども2人で共働き家計を例に、襲いくる三度のお金クライシスをFPが解説します。

<教えてくれた人>: ファイナンシャル・プランナー 畠中雅子
教育資金や老後資金などについてのアドバイスが好評。『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)など...
<プロフィール>
Aさん(35歳 関東在住)
夫(35歳)、長女(6歳)、長男(3歳)の4人家族。結婚9年目。
夫年収(手取り) 450万円
妻年収(手取り) 現在は0円
年貯蓄額 100万円
総貯蓄額 380万円
▲育児が落ちついたら再び働く予定
夫婦ともに20代後半で結婚。妻29歳のときに第1子を出産。育児休業を取得し、1年後、30歳で復職。共働きに戻り、世帯年収が増えたので、ペアローンを組んでマイホームを購入。32歳で第2子を出産。育児休業を取得したが、0歳児と3歳児の子育てが大変過ぎて職場復帰を断念(涙)。
子ども2人×共働き家計Aさんのお金クライシスがわかる人生グラフ
【1度目のお金クライシス】31歳 5000万円の新築戸建てをペアローンを組んで購入
「夫婦の年収を合わせれば5000万円のローンも可能」と融資担当者に勧められて購入。頭金を500万円入れたので総貯蓄額が150万円に激減。金利上昇リスクを考えて、35年固定金利を選択。
【2度目のお金クライシス】47歳 第一子が関東の私立大学に進学した場合、進学費用は総額500万円。多子世帯以外は「給付型奨学金」の対象外に
返済不要の奨学金をもらえるのは、年収の目安で380万円程度まで。3人以上の子どもがいる多子世帯や私立理工農系学部への進学は、所得制限が緩くなりますが、助成は一部のみ。
【3度目のお金クライシス】60歳 定年後も、住宅ローンが未完済
夫婦ともに31歳のときに35年ローンを組んだので、60歳定年時にあと6年、返済期間が残っています。共働きで繰り上げ返済して、返済期間を短縮するつもりが、妻が退職したので計画が狂いました。
子ども2人×共働き家計が今できるお金戦略
片方が退職・収入減になる可能性を見越して
【住宅ローンは夫婦別に組む&MAX借りない】
夫婦別々にローンを組んで妻の借入額を少なくしておけば、妻の収入が減っても負担を軽減できます。また「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違うので、ギリギリまでローンを組むのはNG。
30代世帯なら、投資を活用して
【NISA×児童手当で教育費を備えるのも◎】
夫婦ともに30代と若い分、投資のリスク許容度が高めです。NISAを利用した積み立て投資でお金を殖やす手もアリ。その代わり児童手当は自動入金サービス※などを利用して、家計費とは別の口座でしっかり貯蓄。
※自分が保有する口座から、毎月、決まった金額を指定する他の銀行に自動的に入金するサービスで、一部のネット銀行で扱っています
住宅ローンの金利を固定から変動に借り換えて……
【月返済額が減った分を繰り上げ返済に回す!】
金利の上昇リスクが気になりますが、変動金利が固定金利を上回るにはまだ時間がかかります。固定から変動に借り換えて月返済額を減らし、差額分を貯めて、繰り上げ返済に回しましょう。
または、変動金利に借り換えたら……
【月返済額は変えずに返済期間を短縮する手も!】
まずは、今借りているローンを固定金利から変動金利に借り換え。月返済額は変えずに、金利の低い変動にすると、元本返済分が増えるので返済期間が短縮できます。利息を節約して、早く完済するのも◎。
<教えてくれた人>
ファイナンシャル・プランナー 畠中雅子さん
教育資金や老後資金などについてのアドバイスが好評。『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる』(すばる舎)など、著書は70冊超。
※この特集に掲載した情報は25年4月18日現在のものです。情報は変わることがあります。
参照:『サンキュ!』2025年7月号「人生100年時代のお金戦略」より。監修/畠中雅子 構成/出下真紀 取材・文/村越克子 編集/サンキュ!編集部