世界的に見て、日本のフェムテック事情は遅れている!?~連載『はじめよう!フェムテック』

2025/01/24

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。32歳の長女一人。


●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。「はじめよう!フェムテック」を機に女性の健康や幸せについてさらに考えるようになり、知識のアップデートを心がける34歳。

●北 奈央子 Naoko Kita
愛知県出身。早稲田大学大学院で人工骨の研究に携わり、医療機器メーカーに就職。主に外資系医療機器メーカーのマーケティングとして新製品や新治療の開発に携わる。「医療・健康」「女性」「自分らしく」をキーワードに、医療者と一般の人々をつなぐ役割をしたいと考え、2016年4月より女性のヘルスリテラシーの研究をスタート。研究する中で、「言いづらい」、「行動しづらい」といった女性の健康に関する悩みを実感し、それらを解決するために株式会社「ジョコネ。」を設立。「徹底的に女性目線」でサービスを提供している。 NPO法人 女性医療ネットワークの理事も務める。著書に『女性がイキイキと働き続けるためのヘルスリテラシー」(セルバ出版)がある。プライベートでは一児の母である。 https://joconne.com/


認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。株式会社「ジョコネ。」代表の北 奈央子さんです。「今回は、具体的にサミットで話題を呼んだサービスや製品について伺いました。世界的に見て、日本のフェムテック事情は少し遅れているなぁと感じてしまいましたが、追いついていきたいですね!」(伊久美)

“女性主体の〇〇が進まない”という日本の現状

■東島アナ「ゲストは、株式会社ジョコネ。代表の北 奈央子さんです。前回に引き続き、北さんが取材された、2024年9月にボストンで開催された “ウィメンズ ヘルス イノベーション サミット”の模様について伺います。このイベントには世界中から600名以上が参加され、グーグルやヒューレットパッカードなど、医療関連の会社以外も参加されていたということでしたね」

■北さん「はい。注目度の高さに私もびっくりしました」

■東島アナ「他にもスタートアップ企業20社が、自社のサービスや商品の紹介を行ったということでした。具体的に話題になったものについて教えていただけますか」

■北「2部門に分けて審査が行われたのですが、デジタルヘルス・フェムテック部門で優勝されたのは、産後ケアサービスを行うフローリッシュケアという会社でした。妊娠中から産後までのサポートをする専門家・ドゥーラが医療チームに入って、お母さんたちをサポートしていくというサービスなのです。ドゥーラとお母さんをマッチングするというのは多くのかたが想像できるかと思うのですが、この会社のすごいところは、実際にドゥーラが医療チームに参加することで、医療のアウトカムがきちんと改善されることをデータで示し、医療保険にこのサービスを盛り込んだという点が評価されていました」

■伊久美「医療保険に! それは画期的ですね」

■北「そうなのです。そのためには、きちんと医療費を削減することを証明しないといけないので一段階大変になるのですが、そこをしっかりクリアして、社会の仕組みとして医療保険でカバーされるようにしたことが素晴らしいですよね」

■東島アナ「実際にこのサービスの活用で、いろいろとよいデータも出ているのですよね」

■北「はい。妊娠中の入院が38%、産後うつが57%減少しました。妊娠中からお母さんに寄り添ってサポートしてくれるかたがいることは、非常に重要である証しだと思います」

■伊久美で「妊婦さんは孤独で心配も抱えているから、ドゥーラの存在は貴重ですよね」

■北「そうですね。妊婦さんは、社会から孤立しているように感じているのですよね」

■伊久美「ドゥーラは、日本だと助産師さんのお仕事にも似ているのでしょうか」

■北「重なる部分もありますが、助産師さんの仕事は医療ですが、ドゥーラは家事などもサポートしていただけます。アメリカでは助産師さんもいながら、ドゥーラも別にいらっしゃいます」

■伊久美「日本でもドゥーラが活動されていると思いますが普及率は低いですね。どうしても費用が高くなってしまいますので、保険が適用されるとすごくよいですね」

■東島アナ「続いて、どのようなものが注目されましたか」

■北「医療機器で、バイオニールズ社が開発した新しい乳がん検診の方法で、エックス線ではなく光を使い、乳房を挟んだりもせずに検査を受けられるのです」

■伊久美「あのつらい痛みを経験しなくてよいのですね! 受診する上で、心理的なハードルも低くなりますね」

■東島アナ「その他はいかがでしょう」

■北「女性の大きな健康課題として骨粗しょう症があると思いますが、ボーン ヘルス テクノロジーズという会社が、骨粗しょう症の少し手前、骨減少症に対処するウエアラブルデバイスを開発されていました。デバイスをベルトのように腰につけて振動を与え、骨の状態をチェックできるというものです。運動したりして、骨に刺激を与えることは、とても重要ですから」

■伊久美「これは、まだ日本で発売されていないのですよね?」

■北「そうです。日本は骨粗しょう症のかたが非常に多く、この会社のCEOのかたもそのことを認識されていたので、日本を大きなマーケットとして注目していると思います」

■東島アナ「医療機器部門で優勝されたのは、どのようなものだったのでしょうか」

■北「ヴェノーバ テクノロジーズ社が開発したホルモンを使わない避妊のデバイスです。日本は女性主体の避妊具がすごく少ないのですが、女性が使える避妊具は、アメリカでは注目度が高いです。子宮頸部にデバイス置くことで避妊ができます。日本でもIUDやIUSといって、子宮の中にプラステックのデバイスを置いておくと、そこから女性ホルモンが出て避妊ができるものがあります。今回のデバイスはホルモンを使いたくない方が多いアメリカの女性には非常に注目されました」

■伊久美「女性主体の避妊具が、欧米には多いのですね」

■北「はい。日本が少ないのだと思います」

■伊久美「社会課題の違いなのでしょうか」

■北「そう思います。やはり医療機器、避妊具、薬はどうしても承認取得のハードルが高いので、日本では、なかなか女性主体の避妊具の導入は進まないようです」

■伊久美「この番組で、“女性主体の〇〇が進まない”という話は、結構話題になりますよね」

■東島アナ「そうですね。今お話を伺って、ホルモンを使わない避妊のデバイスというその響きだけで、“未来がやってきた”と感じましたが、国が変わればそれは自然なことでもあるのですね。日本も世界から取り残されないようにしたいですね」

■伊久美「今回お話を伺って、なんとなく日本が遅れていることを再認識してしまったのですが、これから追いつけますか」

■北「日本には、素晴らしいテクノロジーがあるので、タッグを組んで追いついていきましょう! 」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にニッポン放送でオンエア。お聴き逃しのかたは『radiko』のタイムフリー機能で、放送1週間後までお聴きになれます。

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

 
 

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