熱中症対策には、水分だけでなく塩分もとりましょう…最近よく聞くようになったフレーズで、たしかに塩分の重要性もわかりますが、そういえば日本人って塩分とりすぎって言われていなかったっけ?と心配になりますよね。
実際のところ、水分や塩分をどうとればよいのか、自分にあっている方法は…?気象予報士・防災士・食育インストラクターの資格を持つ植松愛実が、上手な水分補給の方法を解説します。

塩分が入っている飲み物にも違いがあった!
塩分を含む飲み物と言えば、ポカリスエットやアクエリアスなど種々のスポーツドリンクや、オーエスワンなどの商品名で知られる経口補水液など、いろいろありますよね。それぞれ味わいや甘さなどが異なるので、好みで選べばいいかな…と思っていませんか?
じつは、見た目は似たような半透明の液体であるこれらの飲み物、塩分がけっこう違うのです。たとえばスポーツドリンクなら塩分濃度0.1%台のものが多いですが、経口補水液は約0.3%。3倍ほども異なるので、使いみちを分けなければならない、ということになります。
熱中症になる「前」に経口補水液はNG!
近年は経口補水液の認知度が上がってきたことで、熱中症対策に飲む人も出てきているのですが、経口補水液は熱中症になる「前」に飲むものではありません。実際に各メーカーの商品説明にも、脱水症になってしまったときや脱水をともなう熱中症のときに飲むよう書いてあって、つまり熱中症になった「あと」に飲むべきなのです。
もし、熱中症になっていないふだんの状態から経口補水液を飲み続けてしまうと、塩分のとりすぎになってしまいます。熱中症になる「前」には、水やお茶、スポーツドリンクなどを使いましょう。
朝食あり&デスクワークならスポーツドリンクも不要!?
さきほど、経口補水液を日常的に飲むのは塩分のとりすぎ…と説明しましたが、じつは経口補水液より塩分濃度の低いスポーツドリンクですら、塩分のとりすぎになるパターンも。というのも、そもそも私たちはふだんの食事から、けっこう塩分を摂取しているからです。
そのため、たとえば毎日ちゃんと朝から3食をとっていて、しかも汗をかく作業や仕事をしない人であれば、お茶や水を飲めばOK。和食なら味噌汁や卵焼き、梅干しなどに塩分が入っていますし、洋食でもパンやベーコン、ウインナーなど塩分を含んだ食品ばかりです。
ちなみに、一般家庭でつくられる味噌汁の塩分濃度は、だいたい0.8~1.0%。食事からとれる塩分って、あなどれない量ですよね。ただ、朝食をあまり食べない人や、通勤だけでもかなり汗をかいてしまう人は、やはりスポーツドリンクなどで塩分を補給してください。
正しい水分・塩分補給で夏を乗りきろう
塩は私たちの体に不可欠でありながら、多すぎても害があり、上手につきあっていきたいもの。最近は水分補給の手段に選択肢が増えているので、自分にあった正しい方法を選んで、年々厳しくなる夏を乗りきっていきたいですね。
■執筆/植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。
編集/サンキュ!編集部