夏のだるさを解消するためにしていることが、実は逆に疲れを助長させているかも。これ以上、疲れを溜めこまないためにも、早めの対策をとりたいものです。というわけで、疲労回復のプロに、夏に体が疲れる7つの原因とその解消法を聞いてみました。
原因1:目覚まし時計・スマホのアラームで起きる
→脳を音で驚かせて起きるのはNG。
体は本来、目が覚めてすぐ元気に動くものではありません。大きい音で脳を驚かすのは、無理やり体を起こすような状態。朝から〝自律神経〞を乱すので、一日中だるさを感じてしまう原因になります。
【疲れないためには……】
テレビの音量を小さめに設定して、起きたい10分前につくよう予約。寝室にテレビがない人は、携帯電話のアラーム音を、耳ざわりのいい快適な音楽に設定するのでもOK。ニュースや音楽など「気になる情報」が耳に入ると、脳からゆっくり目覚めることができ、体に負担をかけずに起きられます。
原因2:寝冷え防止のため、エアコンはタイマーで消す
→室温が高いと質の悪い睡眠に。
体力を回復する上質な睡眠に必要なのは、深部体温(体の内側の体温)を下げること。しかし、室温が高いと上手に体温が下げられず、寝汗をかいたり、夜中に目覚めたり、しっかり脳が休まらないため疲れを取ることができないのです。
【疲れないためには……】
エアコンは25〜27℃に設定し、タイマーで切らず、朝まで室温に変化をつけないことが大切。質のいい睡眠なら、5時間程度でも充分に体力は回復できます。
原因3:ガッツリ食べる
→胃の中を消化するのも体にとっては重労働。
食べたものを消化するために胃が働くのは、体にとって運動をしているような状態。無理をしてカロリーが高いものを食べたり、量を増やしたりすると、その分、体にも負担がかかるのです。
【疲れないためには……】
油ものは控えましょう。食事をしっかりとることは大切ですが、食欲がないとき=疲れているときに、消化に負担がかかる油ものを食べる必要はありません。むしろ、食べたいもの=体が欲しているものを選ぶことが体力回復につながります。
原因4:体力をつけるために体を動かす
→夏は何もしなくても体力を消耗しています。
温度変化が激しい夏は、体温調整のために体の調子を保つ〝自律神経〞を活発に動かします。普通に生活しているだけで運動しているような状態なので、無理な運動は体に負担をかけるだけです。
【疲れないためには……】
積極的にのんびり過ごすことが大切。自律神経は、集中したり、緊張したり、ストレスを感じることでも乱れ、体に負担がかかります。実際に運動しなくても疲れるので、体は必要以上に動かさないことが元気に過ごす秘訣です。
原因5:紫外線対策は、日焼け止めだけ
→ 紫外線は、肌だけでなく目からも体内に侵入します。
角膜に紫外線を感じると炎症作用が起こり、脳が活発化。それが自律神経を乱すために、体にも負担がかかってしまうのです。
【疲れないためには……】
6~9月は紫外線量が多く、地面からの照り返しも激しい季節。外出の際は、日焼け止めだけでなく、サングラスをかけて目を守って。
原因6:毎晩湯ぶねにつかっている
→必要以上に汗をかくと体に負担。
熱いお湯につかって汗をかくのは、脳に刺激を与え、寝つきを悪くさせる原因に。昼間大量の汗をかく夏は、夕方以降は汗をかかない工夫をすることが体力回復に必要です。
【疲れないためには……】
お風呂に入るのもだるいし面倒だと感じるときは、相当疲れがたまっているサイン。ぬるめのシャワーで、汗を流すだけでもOKです。
原因7:お酒を飲んで眠る
→アルコールが残った睡眠では疲れは取れません。
アルコールを飲むと眠くなるのは、脳が麻酔にかかったような状態になるためです。たとえ少量でも、無理やり体を動かない状態にさせて眠るようなことなので、睡眠で体力は回復されません。
【疲れないためには……】
質の高い睡眠のために、アルコールは寝る3時間前、コーヒーや紅茶などのカフェインは5時間前までに飲むのが◎。寝汗の補充に、寝る前に水を150ml飲むのもおすすめです。
夏の疲れやだるさは、脳がこれ以上無理させないようにするサイン。夏こそ積極的にのんびりすることが大切です。
●教えてくれたのは……
・梶本修身さん
疲労、睡眠研究の第一人者。「東京睡眠・疲労クリニック」院長。最新医学に基づいた疲労回復についての著書の出版やテレビ出演など、多岐にわたり活躍中。
参照:『サンキュ!』9月号「「疲れない体」と「イライラしない心」のつくり方」より。掲載している情報は18年7月現在のものです。監修/梶本修身 構成・文/出下真紀 編集/サンキュ!編集部
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