【連載】書店員は、見た!「料理本の世界には、「ママ」がいっぱい!?」

2019/06/13

『サンキュ!』の取材でお会いしたYさん。書店の案内カウンターで働いています。毎日、本を探す人々から、さまざまな問い合わせを受ける日々。そのなかにある人間ドラマのあれこれをお伝えしています。

料理本の世界には、「ママ」がいっぱい!?

「なんとかママって人のレシピ本が欲しいんだけど……」というお問い合わせの多さよ。「なにママですか?」と聞いてみても、「何だったかなー、なんかこう、あだ名みたいな感じ」。

ご存じかな? レシピ本コーナーには『なんとかママ』があふれていることを。声を大にして言いたい。書店にいらっしゃるときに必要なのは、「ママ」のところジャナイヨー!! その上!! ママの部分は、いっそ忘れていい。上のところだけ覚えて!! これ大事。次のテストに出ます!!

一生懸命探してみたのに、お客さまがお探しだったのはなんとかママじゃなくて、てんきち母ちゃんだったりするんだから(惜しいぞ☆)。

さて、いつも漫画や小説を注文されていく、20代半ばくらいの常連の女性とお話ししていたときのこと。お客さまが、「私、すごく料理が下手なんです。レシピ本を見てもうまく作れなくて。前の彼からも『料理が下手すぎて結婚生活を想像できない』って言われてケンカになって、それが原因で別れたんです……」。

えええ!? そんな男とは別れて正解じゃない!? 料なんて、得意なほうが作ればいいじゃないの(怒)!!

もうすっかり吹っ切れて、これから料理を作れるようになろうと本を買っては、何度も失敗しているという彼女に、それならとレシピではなく、料理に関係する本をおすすめ。

1冊目は、『広告会社、男子寮のおかずくん』登場する料理もおいしそうなのですが、お仕事漫画としても楽しめる、二度おいしい漫画です。


そして、もう1冊は『スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件』。今や押しも押されもせぬ人気料理家(『サンキュ!』での連載も面白いですよね)のエッセイです。とにかく面白く、でもただ笑えるだけじゃない。彼女にしか書けない本だなと感服しました。

「これで、少し料理に興味を持てるようになるかも」とニヤリとして、お客さまはお帰りに。それから1カ月くらいたったある日。久しぶりにやって来た彼女は、「好きな人ができたんです~ バレンタインチョコ、生まれて初めて作ってみることにしました!」と、ウキウキとお菓子作りの本を買って帰りました。いつか、「なんとかママのレシピ本ありますか?」とやって来る日も近いかも? そのときは、ちゃんと料理家さんのお名前をメモして来てね(笑)!!


*個人情報が特定されないよう一部脚色しています。

Yのおすすめする本

『広告会社、男子寮のおかずくん』に登場するのは、毎日超多忙な西尾くん。週に一度男子寮で同期4人のおかずを作るから、あだ名はおかずくん。今日から作れる実用的なレシピも載っています。そのうえ登場する4人がイケメンです。『スターバックスで~』は、サンキュ!本誌の連載も人気の山本ゆりさんのエッセイ。共感と爆笑が交互にやってきて、最後まで飽きません。飾らない正直なところも素敵で、祖母エピソードも鉄板です!


<書店員Yさん>
日本海側の町にある書店に勤務。1男1女の母。小さな連載なのに、読者さんからの熱いコメントが多数届いて、感涙です!


イラスト/泰間敬視 文/書店員Y 構成/加藤郷子
『サンキュ!』2019年3月号より抜粋

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