劇団四季退団後は海外で舞台を経験し、帰国後は国内でミュージカルなどに出演。表舞台で華々しく活躍しつつも、結婚後は産後の激太りやワンオペ育児で孤立感を経験。元劇団四季のダンサー佐藤愛美さんが次にめざすステージとは?
■お話を聞いたのは……佐藤愛美さん(東京都 34歳)サンキュ!読モブロガー。高校卒業後、劇団四季に入団。退団後はイギリスのミュージカルに出演するなど、海外で舞台を経験。帰国後、ダンサー、モデルなどを経て現在はバレエスタジオ講師。夫と長男(2歳)の3人家族。
踊ることが大好きで18歳のとき劇団四季に入団
小さなころから踊ることが大好きだった佐藤さんが、バレエを始めたのは3歳のとき。本場の舞台を見たいと単身NYへバレエ留学したのは14歳のとき。そこでバレエ以外のエンターテインメントを見て感動した佐藤さんは、プロのダンサーになると決心。そして高校3年生のときに狭き門といわれる劇団四季のオーディションに合格し、入団後すぐにミュージカルの全国ツアーへの出演が決まるなど、とんとん拍子でプロの道へと進みました。
いざプロになると、その世界の厳しさや不条理さに愕然としたとか。「それまでは人一倍努力して、努力したら報われる世界でしたが、プロは違いました。寝た記憶もないほど自分にむち打ってステージに立ちましたが、ぷつっと糸が切れてしまったようにがんばりがきかなくなってしまったんです」
”燃え尽き症候群”のようになった佐藤さんは、その後劇団四季を退団。あらためて勉強し直そうとロンドンへ留学し、海外で「コーラスライン」などの舞台を経験します。08年に帰国後は、フリーのダンサーとなり、国内の多くの舞台に立ちました。
そんななか、大船渡の実家と実家の写真館が津波で流されたのは11年の東日本大震災のとき。「私は家を出ていて家族も無事でしたが、地元の友人が亡くなり、実家も思い出のものも流されました。この震災で社会貢献の大切さを痛感し、踊ることしかできない自分が人の役に立てることは何かと悩みました」
悩んだ末、自分の経験を伝えることで人の役に立とうと、舞台に出演しながらスタジオでのバレエ講師を始めます。
今までの経験を糧にして産後ママをサポートしたい
その後結婚、出産を経験。「夫は多忙で私はワンオペ育児。孤立感や不安感もあり体重が20kgも増え、元の体重に戻すまで2年もかかってしまいました」。赤ちゃんがいても働ける方法はないか?そう考えた佐藤さんは近所のバレエスタジオに「赤ちゃん連れOKのママバレエクラスを、私自身も赤ちゃん連れで開講するのはどうですか?」と直談判。それが採用され今に至ります。
「出産後しばらくは、今までのキャリアが途切れる不安や、華やかな舞台にいたのに挫折した過去が気になって、なかなか前を向けませんでした。でも今、ひとりの母として育児の大変さがよくわかるし、バレエやダンスの経験を生かせば、パーソナルトレーナーとして同じ立場の女性を心と体の両面からサポートできるのではないかと思うように。今の私にできることを、一つ一つ着実に、と考えています」
忙しい子育て中でもキレイでいるコツを日々考えています
妊娠後「食べつわり」がひどくて食べ続け、気づけば出産後に20kgも体重増。その後は食事と運動、日々の過ごし方の工夫で健康的な美しさをキープしている佐藤さん。忙しくてもキレイをキープするコツとは?
がっちり下半身は洋服で上手にカバー
「トップスはタイトめ、ボトムスはボリュームがあるものを選ぶのが、がっちり下半身を目立たせないコツ」。大事なのはメリハリ!
歩くときは足の親指に力を入れて
「歩き方しだいで、ただ歩くことが効果的なエクササイズに」と佐藤さん。「姿勢を正して両足の親指で地面を踏み締め、内ももを意識して真っすぐ歩きましょう」
朝はおなかいっぱい野菜を食べる
朝はたーっぷり、野菜とたんぱく質をとるのが習慣。「このメニューを全部食べたあと、まだおなかに入るようならパンも食べます」
スキンシップも兼ねて息子と体幹トレーニング
「ひざ下に子どもを乗せ、上体を起こして背中と太ももがVの字になるようにします」。体幹トレーニングとスキンシップの一石二鳥。
ワンオペ育児中はシートパックで時短
子どもが小さいうちは、効率重視の時短美容。「お風呂上がりにシートパック→クリーム→リップのみ。これでお肌がぷるぷるです」
パーソナルトレーナーになるには?
一対一でエクササイズやトレーニング、栄養指導などを行うのがパーソナルトレーナー。とくに公的資格は必要ないが、民間資格がいくつかあり、この資格を持っているとスポーツジムなどのパーソナルトレーナーとして採用されやすいほか、個人で開業し自宅などでトレーナーとして活動しやすい。民間資格としては、NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会が発行する「PFT認定」、NSCAジャパンが発行する「NSCA-CPT」などがある。いずれにしても資格や知識を得たうえで、現場で通用する実力やコミュニケーション能力を身につける必要がある。
参照:『サンキュ!』2月号「挑戦するわたし」より。掲載している情報は18年12月現在のものです。
撮影/大森忠明 構成・文/宇野津暢子 撮影協力/スタジオ3blooms