ヘルプマークをつけている人へのインタビュー「うれしかった言葉」とは?

2019/07/07

電車や町で「+とハートの赤い札」をつけている人を見かけたことはありませんか?このマークは、ヘルプマークといって、助けが必要な大人と子どもが身につけるマークです。つけている人に出会ったらどう接すればいいのでしょうか。また、どのような言葉をかけてあげるのがよいのでしょうか。ヘルプマークを実際につけている人とそのご家族に話を聞きました。

ケース1 パニック障がいでヘルプマークをつけている

<話を聞いた人>
Iさん(41歳)/東京都
小6の男の子、小4の女の子のママ。パニック障がいを発症して6年。自宅療養中に片づけに目覚め、通信教育で整理収納アドバイザー2級、1級の資格を取り、整理収納アドバイザーに。趣味は部屋の模様替えとプチDIY。

うれしかった言葉 「大変なのね。頑張ってね」

6年前に突然パニック障がいを発症し、2年前からヘルプマークをつけているIさん。「発作が起こると、急降下して墜落する飛行機に乗っているような、すさまじい恐怖感と過呼吸、全身のしびれと硬直に襲われます」。

狭くて人が多い電車内は特に苦手で、ここからすぐに出ないと発作が起きるかもしれないという強い不安を感じます。「座席で目を閉じていれば平気とか、スマホを見て気を紛らわせていればなんとか大丈夫とか、日により対処法が違います。」
 
一方、マークをつけることでやさしく声をかけてもらったり、ときには、席を譲られることが増えたとも。「マークを見て、『大変なのね』とか『頑張ってね』と言ってくれる人がいると知り、ほっとしました。いつも恐怖感と隣り合わせで暮らしているから、あたたかい言葉が心に沁みます。このマークがもっと広く知られて、困っている人が迷いなくつけられるようになってほしい。そして、マークをつけている人に、周りの人が自然に心を向ける世の中になったらいいなと思います」

ヘルプマークをつけ始めたきっかけは?

子ども2人と電車で移動中にパニック発作になりかけました。外出先で発作が出たとき、一緒にいる人の不安を少しでも軽くするためにつけるようになりました。

つけてよかったことは?

「心身に何らかの困りごとがある」という事を、周りの人にそれとなく伝えられることです。「私にできることはある?」と言ってもらえることも、ときどきあります。

労災事故のけがとPTSDでヘルプマークをつけている

<話を聞いた人>
Nさん(42歳)/大阪府
会社員。現場担当として機械保守を担う。仕事中に転落事故に遭い、2年が経った現在も休職し治療中。趣味はギターを弾くことで、好きなアーティストは長渕剛。妻(40歳)と長女(小2)の3人家族。

嬉しかった言葉「お兄ちゃん、大丈夫か?」

Nさんは2017年の春、仕事中に深さ5mのパイプの底に転落して全身を骨折。レスキュー隊に救出されました。けがの後遺症に加え、事故時の恐怖に伴うPTSDを発症。現在も治療中のNさんの奥さんに話を聞きました。

「夫のぱっと見は、いかにも元気な〝大阪のお兄ちゃん〞なんですが、今も全身に何十本ものボルトが入っていて、いつも激しい電流が走っているような痛みと不快感があるといいます。特に損傷がひどかった左半身は人の気配があるだけで痛みや恐怖を感じるそうなので、通院時、混んでいる電車内では左側に人が来ないように細心の注意を払っています。通院に付き添えればいいのですが、私が毎回仕事を休むのは難しくて」。
 
夫婦ともに目いっぱいな日々のなか、N(妻)さんはヘルプマークを知ります。「以前の夫なら『いらんわ〜』と言いそうなところ、『こんなんあるんや』と早速リュックにつけていました。口には出さないけど、今も1人での外出は不安なんだと思います」。
 
駅で具合が悪くなってうずくまっていたとき、通りすがりの人に「大丈夫か?」「手伝おか?」と言われたことがあったとか。「そのときはしんどすぎて何も答えられなかったそうですが、今も夫は声をかけてもらったことに、とても感謝しています」

つけ始めたきっかけは?

ショッピングモールの階段の踊り場でヘルプマークのポスターを見た妻が、詳細をスマホで検索。役所にもらいに行き、治療のために通院する、夫に渡したことがきっかけです。

つけてよかったことは?

ヘルプマークの裏に妻の電話番号が書いてあり、夫に不測の事態が起こっても精神的にいつも近くにいる、と思える安心感があります。お守りのような存在です。

ヘルプマークをつけているのは、年配の人だけではありません。困りごとは十人十色ですが、多くの人にとってうれしい助けがあります。私たちにできることを考えてみませんか。

参照:『サンキュ!』7月号「ヘルプマークを知っていますか?」より。掲載している情報は19年5月現在のものです。撮影/小田垣吉則 取材・文/宇野津暢子 編集/サンキュ!編集部

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