【9月のアクション】日本の「ジェンダー平等」の現実を知ろう。世界と比べてどう?
2020/08/31
世界が抱えるさまざまな課題を地球に暮らす私たち皆で解決し、サステナブル(持続可能)な社会をつくろう。「SDGs(エスディージーズ)」とは、地球の明るい未来をつくるための約束。SDGsを考えるきっかけになる、今月のアクション「ジェンダー平等を実現しよう」をご紹介します。
◎What's SDGs◎
国連が定めた、地球の明るい未来のための17の目標。
「貧困をなくそう」「不平等をなくそう」「地球温暖化など気候変動への具体的な対策をしよう」など、これからの世界が解決すべき17の目標。2030年までの達成をめざしています。
日本の「ジェンダー平等」の現実を知ろう。世界と比べて、進んでる?遅れてる?
<ナビゲーター>
金子由美子さん
一般社団法人"人間と性"教育研究協議会代表幹事。埼玉県内公立中学校養護教諭を務めた後、子ども・若者自立支援組織の理事の他、多数の理事を務める。雑誌や新聞、講演などで、思春期の悩みや性教育についても発信。『自立クライシス』(岩波書店)など著書多数。
SDGsのテーマの1つが「ジェンダー平等」。ジェンダーというとむずかしいイメージがありますが、簡単にいうと、社会的に当たり前とされていた男性と女性の役割を見直し、個性を尊重することを意味します。下の表にあるように、日本での男女の平等は153カ国中121位と、世界から大きく後れを取っています。
男性、女性という性差によって、社会的にも男の子らしく、女の子らしくと無意識に性別の違いで決めつけて考えることを 「ジェンダーステレオタイプ(性役割的偏見)」といいます。就職で男女差別があったり、家庭で「家事はママ、外で働くのはパパ」というのもジェンダーステレオタイプです。男性も女性も関係ない、一人一人の個性を尊重して、家庭や社会で役割を担うこと。それがだれもが自由に生きられる未来へとつながっていきます。
日本は先進国中最下位の121位
世界の男女格差ランキング
経済、政治、教育、健康の4つの分野で世界の男女格差を数値化。2019年の日本の順位は153カ国中121位。先進国では最下位で、特に政治や経済への女性参画が進んでいません。
※『Global Gender Gap Report 2020』世界経済フォーラム(WET)より
育児休業をとった男性(※1)は6%(※2)
育児休業取得率
イクメンが増えているといわれていますが、男性の育児休暇取得率は2018年度でわずか6.18%。女性の82.2%と比べると大きな差があり、育児の男女格差が課題と言えます。
※1 配偶者が出産した男性がいた事業所に占める男性の育児休業者
※2 厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査」より
【8月のアクション】「ジェンダーステレオタイプ」って?チェックしてみよう。
無意識に男の子は、女の子は、「こうあるべき」と思い込んでいることはありませんか?自分の中の「ジェンダーステレオタイプ」をチェックしてみましょう。
□男の子は黒いランドセル、女の子は赤いランドセル
□出産祝いは男の子の服は青、女の子の服はピンク
□力仕事は男の子、料理は女の子に任せる
□「男のくせに泣かないの」とか「女々しい」などと言ってしまう
□女の子には「あまり出しゃばらないで」と思っている
□男の子は理科が得意、女の子は国語が得意だと思っている
□男の子のおもちゃは車、女の子には人形を買う
□運動部のマネージャーは女子にやってもらいたい
【あなたのジェンダーステレオタイプ度は?】
□の数が0~2=ジェンダーへの偏見は少ない
3~5=ややジェンダーへの偏見あり
6~8=ジェンダーへの偏見の度合いが強い
大人にも、こんな「ジェンダーステレオタイプ」が……
子どもたちにジェンダー平等を理解してもらうためにも、ママやパパなどの大人が持つ、男女の役割へのジェンダーステレオタイプがないか、もう一度考えてみましょう。
□主人・奥さんという言葉に抵抗がない
□子どもが小さいうちは母親がそばにいるべき
□妻は仕事をしていても、家事や子育ての手抜きはダメ
□教育や家庭内の重要なことは父親の意見が優先
□子どもの担任との連絡は母親の役割
□台所は妻(女性)の城
親子で読みたい!ジェンダー平等を知る本
<幼児~>
「レッド あかくてあおいクレヨンのはなし」¥1,500
(マイケル・ホール作・上田勢子訳/子どもの未来社)
だれもが本当の自分の色を探していることと、ありのままの自分で輝くために大切なことを教えてくれる一冊。
<小学生~>
「パパのカノジョは」¥1,700
(ジャニス・レヴィ作・クリス・モンロー絵・もん訳/岩崎書店)
典型的な母親像とはちょっと違う、シングルのパパのカノジョ。主人公の女の子が戸惑いながらも心を開いていく。
<幼児~>
「あっ!そうなんだ!性と生」¥2,000
(浅井春夫 他/エイデル研究所)
子どもには一人一人違う個性がある。幼児期から始めておきたい性の学びを、子どもや大人にわかりやすく伝える。
<小学生~>
「知ってる?LGBTの友だち マンガ レインボーkids」¥1,400
(手丸かのこ漫画・金子由美子監修/子どもの未来社)
性の多様性を表すレインボー(虹)。漫画で「レインボーな友だち」を理解できる。
<中学生~>
「大人になる前のジェンダー論」¥1,500
(浅野富美枝・池谷壽夫・細谷実・八幡悦子/はるか書房)
性別にこだわりながら、友達づきあい、セックス、恋愛、家族、などのテーマで大人になるための知識を得る。
サンキュ!STYLEライターがチャレンジしました
<チャレンジャー>
サンキュ!STYLEライター ひいろあいこさん(東京都 39歳)
真愛ちゃん(小3)、大智くん(年長)、愛乃ちゃん(0歳)
フルタイム勤務ですが、現在3回目の育休中。「大人も子どもも楽しめる」をテーマに旅やお出かけ情報を発信。
パパとママの家庭での役割について、子どもたちとあらためて話し合ってみました。
家族の役割を娘が描いた絵。パパもママも協力するのが当たり前と理解してくれているよう。
絵本の「レッド」を気に入り、何度も読む子どもたち。個性を大切にする気持ちが伝わります。
ぬいぐるみが好きで「青」が好きなお姉ちゃん、ミニカーが好きで「赤」が好きな弟。
男女の違いや役割を親子で話してみました
家族でのパパとママの役割を話すところから子どもたちとジェンダーについて話してみました。「男の子だから、女の子だから」と決めつけないで、差別のない自由な世界にしたいね、と親子で感じることができました。
参照:『サンキュ!』2020年10月号「地球のために、親子で今日からできること」より。掲載している情報は2020年8月現在のものです。取材・文/工藤千秋 イラスト/macco 編集/サンキュ!編集部
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