9月こそ要注意!熱中症での搬送数が一昨年から昨年で3倍以上に!?「withマスク」でも秋バテしない3つのニューノーマル

2020/09/14

暦のうえでは秋。とはいえ、9月中旬になっても厳しい暑さが続きます。それに加えて、まだまだマスクが手放せない日々…。「今年の秋はかなり要注意! 熱中症になりやすいので油断は禁物」。こう指摘するのは、元アスリートで順天堂大学スポーツ健康科学部教授の鯉川なつえ先生です。今秋を元気に過ごすための「ニューノーマル」を伺いました。

「酷暑×コロナ」後の9月後半、蓄積された疲れは体と心に

猛烈な暑さと新型コロナウイルスの流行拡大で、今年は多くの人にとって「いつもと違う夏」だったのではないでしょうか。子どもたちも夏休みが大幅に短縮。大人も帰省や旅行を楽しめる状況ではありませんでした。
暑い夏に小休止をとって、気分をリフレッシュするのが夏休み本来の役割ですが、今年はそれが難しかった人も少なくないでしょう。いつもと違う行動をしなくてはならない、ルーティンができないということは実は大きなストレスに。9月後半は、猛暑による体の疲労はもちろん、精神的なダメージも蓄積している時期なだけに、体調管理は重要です。

秋口ほど熱中症に注意を。そのわけとは?

朝晩は過ごしやすくなるけれど、また思い出したように暑さが戻ってくるのがこの時期。体が徐々にクールダウンされていくなかで、また暑さに適応しないといけなくなるのです。これは体への大きな負担となります。

実は、9月に熱中症になる人は多く、昨年9月は全国で9532人の人が熱中症で救急搬送されています(※)。ちなみに、2018年9月は2811人でしたから、3倍以上です。増加の理由は多々考えられますが、日本の気温自体が年々上がっていることも影響していると思われます。

さらに、9月は台風の影響も。台風のあと高温になると、湿度が高くなります。人の体は汗をかき、それが蒸発していくときに体の熱を奪って体温を下げるわけですが、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、深部体温を下げることができません。高温だけでなく多湿の状態も熱中症のリスクを高めます。熱中症への注意はまだまだ必要なのです。

秋バテしない!withマスク時代に気をつけたいこと

季節の境目のゆらぐ天気のなかでも、マスクをしながらの生活は続きます。秋バテ&秋の熱中症にならないよう、気をつけたいポイントを3つお伝えします。

【注意ポイント1】深部体温
ヒトは汗の蒸発に加え、呼吸によっても体の熱を放散させています。暑い時期にマスクをしていると、暖かくしめった呼気を吸うことになりますから、深部体温は上がりがち…。
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密にならないところでは、マスクをはずし、外の空気を体に入れましょう。マスクを「人がいないところでは外す」から、「人がいるところでする」という発想の転換も必要かもしれません。

【注意ポイント2】のどの乾き
マスクをしていると、マスクの中の湿度が高いため、のどの渇きを感じにくくなります。さらに、飲みものを飲むとき、「マスクを外す」というワンステップが必要になりますから、つい水分摂取を怠りがちに。とくに、子どもや高齢者はもともと皮膚の温度センサーの感度が高くありません。遊びやスポーツに夢中になって、気づけば体の水分が不足しているという状態になりかねません。
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水筒などを常に手元に用意し、意識的かつ手軽に水分を補給できるようにしましょう。


【注意ポイント3】呼吸数の増加と浅い呼吸
マスクをしていて息苦しさを感じるとき、それは軽い酸欠状態。マスクによって空気が十分入ってこないため、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなっている可能性があります。具体的にいうと、胸での呼吸(胸式呼吸)が中心となり、深くまで空気をとりこむ腹式呼吸ができなくなっている状態です。
胸式呼吸では交感神経が優位になり、腹式呼吸では副交感神経が優位になります。深呼吸で深く息を吸い込むと気持ちが落ち着くように、副交感神経が働いているときはリラックスできます。言い換えると、マスクによって呼吸数が増え、呼吸が浅くなっているということは、高い緊張が続いている状態なのです。
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マスクを外して、深呼吸する時間を意識的につくりましょう。


※「2019年9月の熱中症による救急搬送状況」(消防庁)より。

■記事監修・・・

順天堂大学スポーツ健康科学部 教授
鯉川なつえ先生

福岡県生まれ。高校時代に陸上競技を始め、1990年のインターハイでは3000mで高校日本新記録を樹立。順天堂大学に進学後も数々の好成績を収め、ユニバーシアード日本代表として活躍。2019年より現職。同大陸上競技部女子監督を務める。2014年より女性スポーツ研究センター副センター長に就任。

 
 

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