「性欲が強いから」では説明がつかない!不倫男が2度、3度と不倫をくり返す理由
2020/12/22
2020年は複数の著名人による不倫報道が世間を騒がせました。なかには、二度目の不倫でお騒がせ……というケースも。一度不倫した男はまたやる、とはよく言われていることですが、なぜ不倫男は反省しないのか。数多くの不倫相談と向かい合ってきた、恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいます。
不可解で理解できない不倫男の“浮気心”
筆者は夫婦間の揉めごとに向き合う仕事をしています。その中でも妻側が殺気立った表情で現状を吐露する揉めごとが「不倫」。
不倫に関しては幾度となく書籍やコラムのなかで持論を述べており、何度も不倫を重ねる男性の面々にインタビューして本音を聞き出したり、不倫経験がある妻たちのアンケートをしたりと、あらゆる角度から取り組んでいます。
しかし、先に結論から言うと本記事のテーマである「なぜ不倫男は2度、3度と不倫をくり返すのか」について、明確な答えはありません。それだけ、不倫男の“浮気心”というのは不可解かつ多様なものなのです。
なのでこれからお話する内容も、すべて筆者なりに考えたり、調べたうえでの仮説が中心になります。
「性欲が強い」から不倫をくりかえすのか?
先日報じられた、元議員の再不倫報道。一度目は、妻の妊娠中の不倫ということで、もし不倫にランクがあるとすれば最高ランクに悪質な不倫でした。しかし、妻は離婚することなく困難な状況を乗り越え、「雨降って地固まる」になった……と周囲も思っていた矢先に出たのが、今回の再不倫報道でした。
不倫によって失うものの大きさは誰よりもわかっていたはずなのに、なぜ再び……夫婦仲の専門家をしても、これは本当に不可解でした。不倫のことを考えるうえで「性欲」の存在を無視することはできませんが、このケースを始め、バレても不倫をくりかえす男たちの存在は「性欲が強い」だけで説明が付くものではないと、筆者は考えます。
たとえば脳科学者の中野信子さんは『不倫』(文春新書)という著書の中で“不倫遺伝子”の存在を語っています。人は遺伝子によって貞淑型か不倫型に分かれ、その割合はなんと1対1!これが事実だとすれば、既婚者にとって不倫はもはや50%の確率で起きるものと、割り切るしかないのか……。
あるいは斉藤章佳さんの『セックス依存症』(幻冬舎新書)では、不倫をくり返す人には、病理が潜んでいる可能性があると解説。また、そういった男性の中には女性を支配することに優越感、所有欲を抱く人もいるとしたうえで、それらはねじれた“承認欲求”であると指摘しています。“多数の女性と性行為している俺”という武勇伝はいかにも昭和の香りがしますが、口にこそ出さないものの、令和の時代においてもそう考えている男性は少なくないでしょう。
不倫と思っていないからくり返す?グレーゾーン不倫の罪深さ
不倫に関しては知れば知るほど、調べれば調べるほど「不倫で奥さんを悲しませてはいけません。もう2度とほかの女性を好きになってはダメですよ!」という正論が、空虚な言葉に感じられてしまいます。
また、筆者が知るケースのなかには、夫だけでなくときには妻も、それが不倫かどうかはわかりかねる――言うなれば“グレーゾーン不倫”というものもあります。
グレーゾーン不倫を繰り返すKさんのケース
Kさんは昔からいわゆる女好きと言われる男性でした。結婚後も学生時代の友人女性と飲みに行ったり、職場の女性と2人きりでボーリングなどをしたりと、交友関係は派手。妻には「女友だちが多い」とオープンにし、悪びれることなく複数の女性と楽しい時間を過ごしていました。
また、オープンにされているからこそ、妻のなかは「一線は超えないだろう」という安心感がありました。しかしある日、その女性たちとキスまでしていることが発覚。「友達とキスしないでしょ」と詰め寄りました。
それに対してKさんは「ホテルへ行ってるわけじゃないから不倫ではない」と開き直り、女性たちと会うことをやめませんでした。
自分の不倫を“妻公認”と思い込んでいるJさんのケース
Jさんは妻とはセックスレスでサバサバした関係。あるとき「私はしたくないから外でしてきて」と言われたので、本当に不倫相手をつくりました。つまり、Jさんとしては、この不倫は“妻公認”という認識だったのです。しかし実際は、その事実に妻は苦しみ、筆者の相談所を訪れたのです。
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「キスとハグだけだから大丈夫」「妻公認だからいい」というグレーゾーンの不倫、皆さんはどう感じますか?筆者としては、どちらも男性の浅はかさだけが印象的ですし、前者はグレーでもなんでもありません。不倫は配偶者以外の異性と恋愛関係になり性的行為をする不貞行為ですから、確かにキスやハグは親密度を表す行為として法的には不倫と認められません。しかし、民法は婚姻に「平和の維持」を謳っていますので、パートナーが嫌がることを繰り返すのはNGなのです。
後者のケースは、妻の態度や発言に問題がないわけではありません。しかし、妻が発した“強がり”とも取れる言葉を、その言葉どおりに受け取って、不倫という重大な行為に走る夫は、あまりに浅はかです。そういった言葉が発せられた真意を探り、ともに考えるのが夫婦の務めであると筆者は考えます。
くり返される不倫、どう乗り越えればいいのか?
以上のとおり、ひと口に不倫と言っても、原因はさまざまなパターンがあります。遺伝子と脳がそうさせるのか、性依存の症状なのか、ただ妻への思いやりがたりないだけなのか……ひとつ言えるのは、くり返される不倫に対して怒りだけでぶつかっていては事態は好転しません。
怒りがおさまったら、どんな原因が絡み合っているのか、糸を解きほぐすように正面から向き合ってみましょう。場合によっては、専門家に意見を求めることもおすすめします。怒りを超えた話し合い(あるいは治療)を続けることで、ふたりの将来は軌道修正できるかもしれません。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。