夫婦仲の専門家が警告!「子どもがいるから営みができない」は放置すると大変なことになる
2021/01/31
子どもがいる家庭でおきがちなセックスレスのケースについて、恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。
子どものことが気になってセックスレスに……
夫婦がセックスレスになってしまうきっかけはいくつかありますが、よく相談を受けるのが「産後セックスレス」。原因は出産後のホルモンバランスや慣れない子育ての負担で性欲ゼロになり女性側が拒否するというパターンと、「母」になってしまったことでエロチックな対象に見えなくなり男性が拒否するというパターンに大別されます。
しかし、この産後セックスレスにはもうひとつ、「男女ともに性的な欲望はあるのに、営みをしにくい環境にあるからできない」というパターンもあります。実際に産後セックスレス状態という方に聞いてみるとこんな声が聞かれます。
親子川の字でセックスレス<Sさん・25歳>
1歳半の子どもを真ん中に親子3人、川の字で寝ています。産後ずっとセックスレスです。「まだ小さいし、寝付いたら起きないよ。ここでも大丈夫」と夫に言われるのですが、もし目を覚ましたらどうしようと思うと、その気になれません。夫には申し訳ないですが「無理」と拒否してしまいます。
赤ちゃんの添い寝で夫婦別室に<Iさん・30歳>
赤ちゃんが生まれて、寝るときは夫婦別室。私は赤ちゃんと添い寝をしているのですが、ときどき夜中に寝室の夫から「こっちに来てしようよ」と誘われます。熟睡しているところを起こされるのは不快ですし、しかもわざわざ部屋を移動してまでしたいわけでもないし……面倒なので寝たふりをして無視しています。
子どもの寝言がトラウマに<Mさん・28歳>
子どもとは同じ部屋ですが布団は別。だから、大丈夫だろうと思って以前はときどきしていました。でもあるとき、ふたりとも下着を脱いで「いざっ」というタイミングで、2歳の娘がいきなり「ママ―」っと声を上げ、心臓が口から飛び出るほどビックリしました。結局、寝言だったようで目を覚ましたわけではなかったのですが……それ以来、怖くてできません。
子どもがいても営みを継続する夫婦たちの工夫とは?
パートナーに対して性欲のある人、ない人さまざまですが、いずれにしろ「営みができる場所とタイミング」が適切に見つからないことが、産後セックスレスを生む一因であることがわかります。
では、この問題をどんな風に解決したらよいのでしょうか?同じ問題を乗り越えた先輩ママふたりの工夫を紹介します。
「子どもが寝たら、すぐに別の部屋へ移動しています」と話すのは真菜香さん(仮名・27歳)です。
「夫婦の寝室に子どもも一緒に寝ているので、移動先はだいたい和室。押し入れに予備のマットレスが1枚あるので、ちょっと固いですがその上で。あとはソファーの上という時もあります。汚れないよう、かならずバスタオルを敷きますよ。
夏場はお風呂場もいいですね。部屋と違って多少声を出しても大丈夫なのと、鍵がかかるので安心です。と言っても子どもはまだ小さいので鍵をあけることはないですが、気分の問題。でもやっぱり、短時間になりますね。子どものことが気になるから、終わったらちゃっちゃと寝室に戻ります」
もうひとりの恵里佳さん(仮名・33歳)は「うちはズバリ、託児とラブホ利用です」とのこと。
「欧米では、子どもがいても夫婦だけのお出かけは普通にあって、ベビーシッターさんとかに留守のあいだ、子どもを預けたりしていますよね。そこで夫に、託児の提案をしました。とは言えシッターを雇うのは難しかったので、まず第一の選択肢が実家。実家に預けられない場合は、時間単位で一時預かりしてくれる施設を利用しています。夫婦でラブホで2時間しっかり楽しみます……。『えー、エッチのために子どもを預けるなんてなんだか後ろめたくないの?』という人もいますが、映画やショッピングで2時間留守にするのも、ラブホで2時間留守にするのも同じですよね。あ、もちろん、出かける理由は『夫婦で映画を見に行く』ということにしてますよ。夫の実家は“映画好きな夫婦“と思ってるでしょうね(笑)」
セックスレスの先延ばしをすると取り返しがつかなくなる!
人によっては「そこまでしなくても……」と思うかもしれませんが、「いまは子どもが小さいから、そのうち落ち着いたら……」というセックスレスの先延ばしは、夫婦仲の専門家として絶対におすすめできません。
セックスレスの解決を先送りをしていると、十分に夫婦の時間が取れるようになったときには、取り返しがつかない状態になっていることがほとんどです。
筆者はセックスレス歴20年以上のかたがたの相談を幾度となく受けますが、あの手この手のアドバイスをしても、100%改善させるのは難しいです。そして筆者の経験則では、現在30代で「子どもがいるから」を理由にセックスレスだとしたら、子どもが独立するころになってもセックスレスですし、その後もずっとセックスレスと思ったほうがいいです。
こう言えば、なかには「子どもが独立するころは50歳。もうその年齢ならしなくていいでしょ?」と“50歳で営みは卒業”を主張する人もいますが、甘い考えです。「なぜ50歳で卒業って決めるんですか?」と逆に問い返しています。
人の性への欲求は株価のように上がり下がりするものなのに、なぜ50歳でストップすると言い切れるのか。51歳で夫がムラムラしたら、さてどうする?ちなみに筆者の営みの定義は挿入射精がすべてではありません。
詳しくは以下記事などをご参照ください。
子どもの手が離れたり、家を巣立ったりしたあと「夫に女性として見てもらえない人生だった」と急に寂しくなり、もんもんと更年期を迎える女性を何人も見てきました。女性としての不満と、老いに対する不安を抱えて長い老後を過ごすことは苦しいものです。
いま「子どもがいるからセックスレス」で悩んでいる人は、それを逆境ととらえましょう。逆境を2人でなんとか打開していく――その姿勢が50歳以降の夫婦関係にプラスのエッセンスになります。
「逆境を利用して、制約のある環境をむしろ楽しむ」
というポジティブスタンスこそ、老後が長い現代における”新しい性活様式”となっていくと筆者は考えます。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。