コロナ禍で“夫婦円満”が増加していた!夫婦円満の秘訣の新スタンダードを専門家が実例と合わせて解説
2021/02/23
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う生活様式の変化は、「コロナ離婚」「コロナ不倫」といった“夫婦の危機”も生み出すことになった……と、多くの人は考えているかもしれません。しかし、実情はちょっと違うようです。
夫婦円満の新スタンダードについて、恋人・夫婦仲相談所の所長である三松真由美さんに解説してもらいました。
コロナ禍が夫婦の絆を強めた!?じつは増えていた夫婦円満
新型コロナウイルスが私たちの生活に影響を及ぼすようになって1年以上が経ちますが、皆様の夫婦関係への「コロナの影響」はいかがでしょう。
婚活支援サービス「パートナーエージェント」を運営するタメニー株式会社が2020年10月に20~49歳の既婚男女に対して行った調査によれば、「コロナ禍以降、夫婦の関係に変化がありましたか?」という問いに、25.2%の人が「関係が良くなった」と回答。一方で、「関係が悪くなった」と答えたのは12.6%にとどまりました。
同じような調査を「いい夫婦の日」にちなんで明治安田生命が同時期に行っており、こちらでも20代~50代の既婚男女に、夫婦関係へのコロナ禍の影響を聞いています。それによれば、同じ質問に対して「仲が良くなった+どちらかといえば仲が良くなった」は19.6%、「仲が悪くなった+どちらかといえば仲が悪くなった」は6.1%でした。
昨年春の緊急事態宣言当初は、外出自粛や休校・休園、また急なテレワークの導入やマスクや消毒液など日用品の不足など生活が大きく変わったストレスから「コロナ別居」や「コロナ離婚」の危機が声高に叫ばれました。
実際に私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」にも「家の中で24時間夫と一緒なのが耐えられない!」という相談が多く寄せられました。しかし時間の経過とともに、“withコロナ”の生活を受け入れ、新しい日常を作っていこうかの気分になってきたのかもしれません。「しかたないよね」という気分が定着し、それがプラスに転じて「寄り添ってゆこう」という柔軟で弾力のあるマインドが芽生えてきたのでは……と思うこの頃です。
そこで今回は、withコロナ時代の夫婦円満の秘訣について解説していきます。まずは、筆者が聞いたいくつかの実例を紹介。
参考
「コロナを機に家事分担を見直しました」(麻耶さん・35歳 仮名)
「今までは『洗濯と掃除は夫』『食事の支度は私』など、それぞれ担当を決めて別々に作業をしていましたが、家にいる時間が長くなったので“家族で一緒にやる”機会を増やしました」と話す麻耶さん。
例えば、洗濯ものを干したり、乾いたものをたたんだりするのは、幼稚園児の息子も入れて3人で一緒にやる。誰が上手にたためるか、ゲーム感覚で楽しんでいるそうです。
とくに料理の面で“一緒にやる”ことによる効果は大きかったと話します。
「コロナ禍当初は、1人で3食を毎日作ると思うと料理が辛くて、不満になっていました。『あるものでいい』って言われても、持ち帰り惣菜でも、インスタント食品でも、なんやかんや手がかかりますし、冷凍食品を温めたりするのだって、結局私なのかよ……って思ったし、取り皿やコップは洗うわけだし。そこで正直に『家族の食に関する時間を減らしたい』と相談したんです。その結果、夕飯のおかずを夫と私がそれぞれ1品ずつ作ることを始めました。負担が大きかった料理も、分担してもらえると『いままで作ったことのないメニューに挑戦してみようかな』とゆとりを持って取り組めるようになってきました」
小さな不満を持っている場合は「これくらい私が我慢しなくちゃかな」と思い込まず、正直に相談して二人で解決する。その大事さがわかるエピソードですね。小さな不満は積もってゆき、ある日爆発する。筆者はそんな夫婦を何組も見てきました。
「2人の趣味を生かして、家の中で楽しめることを工夫」(絵舞さん・27歳 仮名)
「海外旅行のために働いて、貯蓄をがんばっていた」という絵舞さん夫婦は、コロナ禍で一気に目的をなくし、夫婦の会話量が激減しました。
「コロナ前はまとまった休暇を2人で合わせて取って海外旅行をしていました。現地にいるあいだはもちろん、旅行の前後も、とにかく会話のネタには困らなかったんです。うちのPCは旅行情報で満杯です。旅行を軸に夫婦の仲は親密になっていってたんです」
しかし、コロナ禍によって海外旅行はいつできるかわからない状態に。「目的というか夢がなくなった」絵舞さん夫婦は、気分が沈むことが増え、なんのために仕事や生活を頑張ればいいのか……と生きる目的すら失いそうになりました。
「昨年春夏は、本当に夫婦の会話がなくなったんです。イライラしてすぐ口喧嘩になるし。そこで『これではいけない』と夫婦で始めたのがオンラインの英語レッスンです。コロナが落ち着いて海外に行ったとき、ホテルでなくショートステイさせてもらうことを目指しています。新しい夢が見つかった気がします」
それぞれがオンラインでネイティヴと会話レッスンをするだけでなく、家にいても旅行中に見たてて“日本語禁止デー”も実施。「Peel the apples!(リンゴの皮をむいて!)」などの言葉が飛び交っているそうです。
「英語オンリーだから、伝わらないときは2人で必死に身振り手振りで会話。お互いのポンコツな英語に爆笑しちゃうことも。SNSで会ったことがない海外の人とも繋がり、いつかおうちに泊めてもらうのを楽しみにするようなりました」
2人の趣味を中断させずに、その先を考える。あえて家の中でプチイベント開催。参考になりますね。
「おうち時間が長いからこそ、1人の時間を大事に」(泉美さん・48歳 仮名)
在宅勤務によって、夫がずっと家にいる状態がストレス―ーという妻も多いです。泉美さんもそのケース。
「中学生と高校生の息子2人と在宅勤務の夫、そして私の4人が、ずっと家にいた昨年春の緊急事態宣言中は、家族全員がイライラしていました。とくにふだんは帰りが遅くてあまり家にいない夫が在宅勤務で日中も家にいるので、反抗期の息子たちと何かにつけて小競り合い。夫が息子たちに理不尽に怒っているのを見て、私も夫に冷たくしてしまったり……狭いマンションの中では全員分の個室がなく、“一緒にいる”ことがただただストレスでした」
「1人になりたい」と思っていた泉美さんが家で見つけた“個室”はバスルームでした。家族が全員入った最後に、お気に入りの入浴剤を入れて、スマホや本、時にはマッサージオイルやトリートメントグッズを持ち込み、2時間ぐらいゆっくり入浴していました。
「睡眠時間は減りましたけど(笑)、1人になれる時間で自分のイライラをリセットできました。心に余裕ができると『夫も、家の中に居場所がないと感じているんだろう』とか相手の気持ちを思いやることができて、穏やかに接することができてきましたね」
1人時間で自分の気持ちのゆとりを確保したら、パートナーの気持ちを想像する。まず自分を癒すリセット力も円満な夫婦関係維持に必要なことです。
コロナ禍では険悪夫婦になっている場合じゃない!
三者三様のコロナ禍における夫婦円満への過程をご紹介しました。
麻耶さんの夫みたいに協力的じゃない!絵舞さん夫婦のようにエンタメに2人で参加するようなラブ度はうちにはない!バスルームでゆっくりする元気すらない!
……という夫婦もいるでしょう。そういう場合は「では、Withコロナ時代に夫が(妻が)家出したら自分はどうなる?」と想像力をフル稼働させてください。
生活面、感染予防面、子どもへのコミット面、あらゆるシーンで心細くなり、今より数倍は不安な状態が続くでしょう。いまが非常事態であることを自覚し、そんなときこそ夫婦の結束力を強化しなければいけません。険悪夫婦になっている場合ではないのです!
コロナ禍の夫婦ラブ度アップのカギは、各夫婦の個性を把握し、息抜きができる状況を作り出せるかです。自分に息抜きする余裕がないなら、夫にイライラのリセット力を持ってもらうのもいいでしょう。少なくとも、夫婦のどちらかは相手にやさしくなれます。これはまさに”技術”。意識して行動しないとできないことです。
皆さん独自のラブ度アップの技術を見出してみてください。最悪の状況に対応するしなやかさを持つ夫婦でいるために、技術を武器にしましょう!
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。