夫婦関係の専門家が警告!「ダブル不倫」によって引き起こされる4つの重大なリスク
2023/09/17
数ある不倫報道のなかでも、ショッキングなものとして報じられがちなダブル不倫。著名であればあるほどダブル不倫によって失うものは大きいですが、一般人の我々にとっても既婚者同士によるダブル不倫は多方面に大きな影響を与えます。
今回はそんなダブル不倫の恐ろしさについて、「恋人・夫婦仲相談所」の所長で、昨今話題になることが増えた“PTA不倫”に関する取材も数多く行っている三松真由美さんに解説してもらいました。
ダブル不倫の怖さ1:割り切り不倫なので抜け出しにくい
「結婚=日常」であるのに対して「不倫=非日常」。
比べてみれば、非日常のほうが、楽しいのは当たりまえです。さらに不倫には、秘密を共有するドキドキや、いけないことをしているというハラハラもありますから、興奮度はさらに高まります。筆者は不倫当事者の話を聞くことが多いですが、誰しも「ダメなこととはわかっているけれど、一緒にいるとこの人が一番好きと思ってしまう」と言います。麻薬のようなものです。
しかしどちらか一方が未婚の場合、大抵は未婚のほうがこの「非日常」のはかなさに気づきます。不倫相手と楽しい時間を過ごしたあと、相手は妻子(夫子かもしれない)のもとに帰り、そこで何事もなかったかのように家族に囲まれて過ごしている。家族のバースデー、クリスマス、運動会などの行事は絶対優先。
一方で、自分は一人誰もいない部屋に帰ってくる。優先されることはゼロ。刹那的な喜びをむなしく感じるようになるのはしょうがないこと。
そんな日々が続くと、未婚者のほうは将来に不安を抱き、自分が貴重な時間を未来のない行為に費やしていることに気づきます。そしてその気づきが、不倫関係の終わりにつながっていくことが少なくありません。
「あなたが離婚してくれないなら別れる」という展開です。
しかしダブル不倫はお互いに、温かく安全な「我が家」があり「家族」もいます。いざという時には帰る場所があるため、「非日常」という火遊びをなかなかやめられないという側面があるのです。
罪の意識も「お互い結婚しているから平等」。未婚女性、既婚女性両者と不倫経験があるA氏に聞いたところ「既婚者は結婚を迫らないし、お互い今を楽しめるからラク。割り切り不倫です」と言いました。あきれた意見に聞こえますが、そういう男性もいるということです。
ダブル不倫の怖さ2:被害者が多い
ダブル不倫は未婚者との不倫よりも関係者が多く、自分の配偶者だけでなく、不倫相手の配偶者も被害者になります。
また、双方が既婚者ということは、未婚者との不倫よりも双方に子どものいる可能性も高くなります。お互いの子どもたちももちろん被害者です。よくドラマの公式サイトに人物相関図が出てきますが、もし不倫に陥りそうになったら、自分中心の相関図を描いてみてください。
「自分の親が別な異性と特別な関係を持っている」という事実を、子どもたちはどう受け止めるでしょうか。思春期以上の年齢の子どもたちなら、多少なりとも性に関する知識を持っているはず。自分の親が他人とそういう関係であるという事実は、かなりショッキングなことです。
たとえ離婚を回避し、夫婦関係が元さやに戻ったとしても、子どもたちが受けた影響は消えません。
もちろん、不倫から離婚につながるようなことがあれば、さらに子どもたちへの心理的、経済的な影響は大きなものになります。そして子どもたちは不倫相手と再婚となった場合をネガティブに想像し、不安が膨らみます。
スリリングな非日常が、より多くの人を傷つけ、その将来にマイナスの影響を与えてしまうのがダブル不倫なのです。
ダブル不倫の怖さ3:複雑で高額な慰謝料
関係者が多いということは、謝罪する先も多く、複雑になり、慰謝料も膨らむことが考えられます。単純に自分の配偶者に慰謝料を請求される可能性だけでなく、相手の配偶者から慰謝料を請求される可能性もあります。
不倫相手も同様に2方向から慰謝料を請求されることになるため、仮にダブル不倫同士がどちらも離婚し、再婚をしたとしても、双方が経済的に重い枷を抱えている可能性も出てくるわけで、それが新しい生活に大きな影を落とすことも考えられます。
ダブル不倫の怖さ4:仕事や社会的信用の失墜
戦前の日本の刑法には「姦通罪」が存在していたため、配偶者のある者が別の異性と性交することは犯罪でした。現在の刑法に姦通罪はありませんので、不倫は犯罪ではなく、懲役や罰金などの刑罰を科されることはありません。
しかし、不倫が民法上の「不法行為」に当たる場合は、民事上の責任を追及されることになります。ラブホテルから出てくる二人の写真をスマホで押さえられていたらどうなる?「ホテルでカラオケ歌っていただけです」など通用する世の中ではありません。“見え透いた嘘をつく薄っぺらい人”のレッテルも貼られます。
民事上の影響だけではなく、社会的信頼を失うという側面が大きな影響を及ぼします。会社員のように正規雇用されている場合「不倫をしたら解雇」という会社はないでしょうが、不倫にまつわるゴタゴタが会社に伝われば、居づらくなり、環境を変えるために転職せざるを得ないことになるような事例もよくあります。
また、自営業の場合は会社員以上に個人の信頼に基づいてビジネスが成り立っている場合が多く、不倫行為がその信頼を大きく損ね、結果として様々な取引を失ってしまう可能性が十分考えられます。そして、仕事や社会的信用を失うことは、そのまま経済力を失うことにつながり、日々の生活にも影響必至。
「割り切り不倫」など安易に考えてはダメ!ダブル不倫は破滅の第一歩
相手が既婚だろうが未婚だろうが、不倫にはリスクがあります。しかし、今回の例に挙げたように慰謝料が膨らむ可能性が高いダブル不倫は、経済的なリスクがより深刻です。
ハマると抜け出しにくい。被害者が多く、経済的・社会的なダメージも大きい。これがダブル不倫の恐ろしさです。
一時的な感情に流されて舞い上がってしまうのではなく、自分が手にしているもの、失うかもしれないものを立ち止まって考えてみることが大切です。
「割り切り不倫」など安易に考えてはいけません。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。