銀行口座帳簿

小説『三千円の使いかた』著者の原田ひ香さんインタビュー「そもそもお金って使うために貯めるものですよね?」

2022/07/28

家計を節約してお金を貯めるのはなんのため?そもそも使うために貯めるものですよね?15年間毎号購入するほどの『サンキュ!』ファン、小説『三千円の使いかた』著者の原田ひ香さんにお話をうかがいました。

<教えてくれた人>
作家 原田ひ香さん
1970年神奈川県生まれ。秘書、専業主婦、シナリオライターを経て2007年に『はじまらないティータイム』(第31回すばる文学賞受賞)で作家デビュー。最新作『財布は踊る』(新潮社刊)は7月末発売予定。15年間毎号購入するほどの『サンキュ!』ファン。

『三千円の使いかた』(中公文庫刊 770円)

家計特集から着想を得た「節約」家族小説。夫の薄給、節約の挫折、老後の不安……それぞれの年代でお金の悩みを抱え、貯めようと奮闘する御厨家の女性たちの姿をちょっとだけご紹介!

お金と人生に不安がある登場人物たち

●私の結婚生活ってかわいそうなの!?

【長女】真帆(29歳 専業主婦)総貯蓄額 600万円
結婚6年目で消防士でイケメンの夫(29歳)、長女(3歳)がいる。1000万円を目標に月収23万円で月6万円貯蓄。友人からのある言葉にモヤッとする。

●節約のために実家の近くに戻ってくるって、なんか敗北?

【二女】美帆(24歳 会社員)総貯蓄額 30万円
IT関連会社に就職し都内の人気エリアで1人暮らし。食費は月3万~4万円。ふとしたことから一軒家を買おうと節約を始めたが失敗続き。

●すべての不調は更年期に通じる

【母】智子(55歳 専業主婦)総貯蓄額 100万円なかった(汗)
会社員の夫と2人暮らし。親友の熟年離婚をきっかけに貯蓄を見直し、残高にあぜん。更年期障害と、家事が一切できない夫との暮らしも悩みの種。

●孫に「年金が少し足りないのよ」とは言えない

【祖母】琴子(73歳 年金暮らし)総貯蓄額 1000万円
夫が他界して1人暮らし。結婚当初から家計簿をつけ続けている。月8万円の年金だけでは生活費が足りず貯蓄が減るのが不安で働くことを考える。

お金を使うことは自分を肯定することではないのでしょうか

marchmeena29/gettyimages

『サンキュ!』読者には、貯蓄したいのになかなかできなかったりお金を使うことに罪悪感があるという悩みが多いそうですね。でも私は、『サンキュ!』を読んでいる時点ですでにお金への意識が高い人だと思います。多少うまくいかなくても、お金への意識のあるなしで全然違うはず。
私もほぼ専業主婦だった30代の初めは「これでいいの?」と思いながらお金を使っていました。でも『サンキュ!』に出合って「こうやりくりすればいいんだ!」とわかり迷いが消えました。今も食費は『サンキュ!』のポーチで袋わけして管理していますよ。
今の時代、給料もなかなか増えず先が暗く見えても、いずれ社会は変わるし、真面目に努力する人には変化が訪れます。
だから読者の皆さんには明るい未来がきっと待っています。
お金は努力のちょっと後からついてくると思いますね。
小説にも書きましたが「節約は生きていることを受け入れたうえですること」だと思うんです。人はご飯も食べるし住む家も必要で、生きているだけでお金がかかる。お金を使うのは生きている証しだと受け入れないと、すべてが節約、節約となって心がすり減り貧しくなってしまいます。
本来お金は使うためのもの。
自分や家族が生きていることを肯定して楽しく使ってほしいですね。

何が不安か書いてみる。不安もちゃんと見えると前向きに向き合える

女性の手とメモ帳
Yulia Lisitsa/gettyimages

お金や老後のことを考えると私も不安です。それを解消するには、何が不安でいくらたりないかを書き出すのがいいと思います。
1日、1週間、1カ月、1年の支出や必要な金額を数字にして自分の目で見てみます。不安を見える化すると「どう対処する?」と考えて、働こう、節約しよう、家賃が安い所に引っ越そうなど、具体的に考えられて行動しやすくなります。
願望も書くとかなうって言いますよね。私も独身のころ、欲しい物ややりたいことをノートに100個書き出すことにトライしました。文章を書く仕事がしたい、お金を貯めたい、当時流行っていたアニエスベーのシューズが欲しいなど、「これが全部かなうんだ」と思って書くとワクワクしました。でも80個ほどで何も思いつかなくなって、仕方なくコロッケが食べたいと書いた記憶が(笑)。小さいノートだったので引っ越しで行方不明になってしまったのですが、今でもどこかにあります。
ノートに書いたことは半分くらいかないました。
お金も願望も書くことで整理され、不安だから貯めるのではなく「自分の望みややりたいことのために貯める」と思えたら、心が軽くなるかもしれませんね。

参照:『サンキュ!』2022年8月号「ストレスゼロで貯める」より。掲載している情報は2022年6月現在のものです。取材・文/神坐陽子 編集/サンキュ!編集部

 
 

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