マイホーム購入で最大30万円!「すまい給付金」は入居後早めに申請を

2019/02/15

マイホームの購入は、一生に幾度もない大きな買い物。納得できる物件を慎重に選びたいところですが、購入のタイミングに頭を抱えている人も少なくないのでは。

今回は、住宅購入時の消費税負担を軽減してくれる「すまい給付金」について、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝先生に詳しく教えていただきました。

「すまい給付金」とは?

「すまい給付金」は、消費税が5%から8%へ引き上げられたことをきっかけに実施されるようになった制度です。

消費税が上がると、住宅を購入する人の負担が大きくなり、購入をためらう人やあきらめる人が増えてしまいます。そこで、購入する人の負担を緩和する目的で、国からすまい給付金が支給されるようになりました。

「住宅ローン減税」とは違うの?

「すまい給付金」と同じく、住宅購入に関する国の助成制度として「住宅ローン減税」があります。この住宅ローン減税は、税金を控除するものなので、収入が低い人ほど効果は小さくなる仕組み。

すまい給付金はそれを補うもので、収入が低い人ほど、もらえる額が多くなります。すまい給付金と住宅ローン控除は併用できますが、それぞれ別の手続きが必要です。

給付金の対象者・住宅の条件は?

「すまい給付金」がもらえるのは、マイホームを購入した人で、次の条件をすべて満たした場合です。

□返済期間5年以上の住宅ローンを借り入れたか、ローンを組まずに現金で住宅を取得した50歳以上の人
□床面積が50㎡以上
□収入が一定以下の人
□21年12月31日までに居住している

「床面積50㎡以上」とは、登記簿に記載されている床面積が50㎡以上であることが条件です。実際の登記簿の面積は、広告に記載されている面積より少し小さいことも多いので、住宅を購入する前にしっかり確認を。

中古住宅を個人から買うなど、消費税が非課税の場合は給付の対象外となります。

給付金はいくらもらえる?

「すまい給付金」の額は、購入した住宅の金額に関係なく、申請する人の収入に応じて決まります。ここでいう「収入」とは、いわゆる「額面収入」ではなく、「都道府県民税の所得額」のこと。引っ越し前の市区町村の役所で「個人住民税の課税証明書」をもらって確認をしましょう。

給付額の計算方法

次の計算式に数字を当てはめると、給付額がわかります。

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[給付基礎額]×[持分割合]=[給付額]
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「給付基礎額」は、都道府県民税の所得額によって決定します。また、住宅を取得した時期の消費税率が8%の場合と10%の場合とで給付基礎額が異なるので、下の表を参考にしてください。

「持分割合」とは、住宅の持ち分を誰かと共有している場合、それぞれの持ち分がどれくらいの割合になるのかを表すもの。登記簿に「2分の1」などと記載されているので、確認してみましょう。持ち分を共有していれば、配偶者でも給付金を受け取ることができます。

例)住宅を購入したAさん夫婦はいくらもらえる?

3000万円の新築戸建を購入したAさん夫婦。次のような条件の場合、「すまい給付金」はいくらもらえるのでしょうか。

<Aさん夫婦の条件>
●収入・・・・・・夫の年収420万円/妻は専業主婦で収入なし
●持分割合・・・・・・夫4分の3/妻4分の1
●住宅を取得したときの消費税率・・・・・・8%

①上の表(消費税率8%)を見ると、夫の収入・都道府県民税の所得額に応じた給付基礎額は30万円です。
先ほどの計算式に当てはめると、
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給付基礎額30万円×持分割合3/4=給付額22.5万円
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②専業主婦の妻に収入はないため、こちらも給付基礎額は30万円です。
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給付基礎額30万円×持分割合1/4=給付額7.5万円
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③夫の給付額と妻の給付額を合わせると、
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夫22.5万円+妻7.5万円=夫婦の給付合計額30万円
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つまり、Aさん夫婦は30万円の住まい給付金を受け取ることができます。

申請方法と届け先

「すまい給付金」の申請は、住宅を取得した人が、実際に入居したあとに手続きを行います。
申請から給付されるまでの流れは次のとおり。

【1】必要書類を準備する
□すまい給付金の申請書
□住民票の写し(個人番号(マイナンバー)が記載されていないもの)
□不動産登記における建物の登記事項証明書・謄本
□個人住民税の非課税証明書
□工事請負契約書または不動産売買契約書
□住宅ローンの金銭消費貸借契約書 ※住宅ローンを利用している場合
□振込先口座が確認できる書類(通帳のコピーなど)
□施工中等の検査実施が確認できる書類(a〜cのいずれか)
 a.住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書
 b.建設住宅性能評価書
 c.住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書
□フラット35S基準への適合が確認できる書類 
 ※住宅ローンを利用しない場合(a〜cのいずれか)
 a.フラット35S適合証明書
 b.現金取得者向け新築対象住宅証明書
 c.長期有料住宅建築等計画認定通知書

【2】必要書類を提出する
「『すまい給付金』申請係へ郵送」もしくは、「『すまい給付金』申請窓口へ持参」することで、申請手続きを行うことができます。

申請窓口は全国各地にあるので、国土交通省すまい給付金ホームページで、自宅から近い場所を調べてみましょう。

【3】給付金が振り込まれる
申請書類を提出してから約1.5カ月〜2カ月後に指定口座に給付金が振り込まれます。

申請期限は、住宅の引き渡しを受けてから1年(当面の間は1年3カ月)以内とされています。提出書類が多いので、事前にすまい給付金ホームページで確認するか、窓口に問い合わせるなどして、申請の準備をしっかりしておきましょう。

まとめ

19年10月には消費税が10%に引き上げられることが決まっています。マイホームのような大きな買い物を検討している人は、購入のタイミングにも悩まされますよね。

ですが、国としても住宅購入を促すために、「すまい給付金」をはじめ、さまざまな助成制度を打ち出しています。マイホームを購入する際は、このような制度をしっかり理解して、賢く利用できるようにしましょう。

教えてくれたのは・・・

井戸美枝さん

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオなど多数のメディアを通じて、ライフプランや資産運用についてアドバイスを行う。著書に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)など。

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

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