妊娠中から知っておきたい「未熟児養育医療制度」の対象者、申請方法を解説

2019/02/18

生まれてすぐに入院養育が必要な赤ちゃんが、指定の医療機関で治療を受けることになったとき、その医療費をサポートしてくれる「未熟児養育医療制度」。

対象となるケースや申請の方法について、社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんに詳しく教えてもらいます。

「未熟児養育医療制度」とは?

体の発育が未熟な状態で生まれた赤ちゃんは、すぐにNICU(新生児集中治療室)などに入院し、治療を受けなければならないことがあります。

医師が「入院養育する必要がある」と認めた赤ちゃんが、指定の医療機関で入院・治療を受けることになった場合に、その医療費の全額または一部を自治体がサポートしてくれるのが「未熟児養育医療制度」です。

未熟児の入院養育では、高度な医療や手厚い看護に加え、入院も長期にわたるケースが多く、どうしても医療費が高額になりがちです。

「未熟児養育医療制度」は、そんな金銭面での不安を支えてくれるとても心強い制度といえるでしょう。

「未熟児養育医療制度」はどんなケースで対象になる?

「未熟児養育医療制度」の対象となるのは、生まれてすぐに入院養育の必要があると医師が認めた赤ちゃんです。具体的な基準は下記のとおり。

①赤ちゃんの出生時の体重が2000g以下
②生きていく力が非常に弱く、次のような症状のいずれかが認められる赤ちゃん
 □けいれん、運動異常
 □体温が34度以下
 □強いチアノーゼなど、呼吸器・循環器の異常
 □嘔吐(おうと)を繰り返すなど、消化器の異常
 □強い黄疸(おうだん)がある

ただし、上に挙げた症状が見られても、自治体によっては制度が適用されないこともあります。

また、「未熟児養育医療制度」の対象となるのは0歳児のみで、出生日から1歳の誕生日の前日までが助成期間となっています。

「未熟児養育医療制度」はどんな手続きをすればいい?

「未熟児養育医療制度」が適用されることになったら、住んでいる市区町村の担当窓口や、保健センターなどで必要書類をもらい、早めに申請手続きを行いましょう。

申請に必要なものは次のとおりです。

□養育医療費給付申請書
□養育医療意見書
□世帯調書
□申請者と赤ちゃんの健康保険証

養育医療費給付申請書と世帯調書は申請者が記入し、養育医療意見書は医療機関で記入してもらいます。

健康保険証は、対象となる赤ちゃんのものが必要です。赤ちゃんが誕生したらすぐに健康保険の加入手続きを行いましょう。

また、自治体によっては赤ちゃんを扶養する人の所得証明書などが必要な場合もあります。

申請方法や提出期限は自治体によって異なるので、詳しくは住んでいる市区町村の担当窓口などでしっかり確認してください。

まとめ

「未熟児養育医療制度」は、未熟児として生まれた赤ちゃんとその家族を支援してくれるとても心強い制度です。

妊娠中の人は万が一の場合に備えて、今のうちから住んでいる自治体の「未熟児養育医療制度」の助成内容をしっかり理解しておくといいですね。

教えてくれたのは・・・

井戸美枝さん

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、経済エッセイスト。講演やテレビ、ラジオなど多数のメディアを通じて、ライフプランや資産運用についてアドバイスを行う。著書に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)など。

取材・文/有馬未央(KIRA KIRA)

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