自分を大切にすることから、健康と幸せ=フェムテックは始まる ~連載「はじめよう!フェムテック」vol.8

2022/01/05【 連載 】

2021年10月26日(火)から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』(毎週火耀~木曜 午後7時53分~58分頃)。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀総編集長と東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた3回分の内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

●パーソナリティー
伊久美亜紀 Aki Ikumi
大学卒業後、出版社3社の編集部を経て、1995年ベネッセコーポレーションに入社。『サンキュ!』編集長を長く勤め、現在はK&Fメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務める。バツイチ29歳の長女一人。

東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当する。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった31歳。

●ゲスト
板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく文化とウェルネスをテーマに取材し、各メディアで発信。ウェルネスの専門家との交流も広く、自らもさまざまなホリスティック療法を学ぶ。また、イタリアをこよなく愛し、イタリア各州の人々と食を取材した『イタリアマンマのレシピ』(世界文化社刊)を構成&執筆。旅、癒やし、健康、食をテーマにした政府機関や観光局のセミナー、企業イベントなどでスピーカーも務める。https://www.yumikoitakura.com/

まだまだ認知度の低い「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートした番組の第8週。ゲストは、トラベル&スパジャーナリストの板倉由未子さんです。「由未子とは四半世紀の付き合い。編集者を経て、ウェルネスという視点で世界各地の健康療法やスパを取材し女性の幸せと健康を見つめてきた、いわば、フェムテックのエキスパートです。彼女に会うと、ふと肩の力が抜けて、不思議とその日はよく眠れる。声のトーンやゆっくりとした話し方もあるけれど(笑)、人を癒やすパワーを彼女自身が持つているんだと思います」(伊久美)

【 Talk 1 】
■東島「板倉さんは、世界を巡っていらっしゃる中で、特に各地の伝統療法やスパに着目された旅をメディアで提案されていますが、スパにはどんな学びがあるのでしょう」

■板倉「旅をすると、この土地に暮らす人々は、どんなことに安らぎや幸せを感じているんだろう、と思います。特に女性の健康と幸せ、考えてみれば、各地のフェムテックを取材し続けてきたと言えるかもしれませんね(笑)。そして、ある時、“スパを訪れるとその国(土地)がわかる”と思ったんです。各地の名スパには、その土地の文化のエッセンスがあふれている。古来から継承されてきた健康療法に基づいたトリートメントがあり、インテリアは伝統工芸品で装飾され、その地で人々を癒やしてきたお茶が提供される。そして、スパで働くセラピストたちの立ち居振る舞いは、その地ならではの美しさが感じられます」

■東島「その土地で育まれた健康法や文化が、スパには凝縮されているんですね」

■板倉「そうなんです。土着文化で彩られたスパを訪れると、世界は広く、さまざまな考えや美しさがあるなぁと実感します。そして、スパをきっかけに、もっとその土地の文化や人々の暮らしを知りたいという知的好奇心も刺激される。スパを体験することで、まず心身が癒やされ、さらに土地への興味も広がるんです」

■伊久美「コロナ禍やさまざまな事情で、旅やスパへ行けない人も多いと思いますが、何か自分の可能性を広げるために、日々の生活の中でできることはあるかな」

■板倉「今まで行ったことがない場所を訪れたり、新しいコミュニティーに参加したり、懐かしい友人に再会したり。どれも、日常から離れて、異文化に触れるアクションだと思うんです。非日常に身を置いてみると、今、自分が置かれている情況や環境を客観視できて、新たな視点が生まれる。そうすると、日常をより快適に過ごすためのヒントも見つかって、心身にゆとりができると思うんです」

■東島「非日常に触れることで発想が広がって、日常がより快適になる。なんだかワクワクします。そして、おっしゃる視点でスパを訪れると、フェムテックを広げるためのたくさんのヒントが見つかりそうですね」

【 板倉Voice 1】

スパには、より快適に生きるためのヒントがある

スパには、各地で歴史とともに育まれてきた、よりよく生きる=ウェルビーイングの知恵があふれていて、それはフェムテックの推進にも通じるヒントとなる。コロナが収束して、自由に旅ができるようになったら、土地の文化が凝縮した空間という視点で、各地の名スパを訪れてみてほしい。スパでの滞在を通して、より充実感を味わえる旅になると思います。そして自分の心身の状態を打ち明けられそうな人や場所を見つけて交流してみることで、心地よい毎日を過ごすためのアイデアが見つかるはずです。旅やスパ、そしてフェムテックは、ハッピーになるためのアクションだと思うから。

【 Talk 2 】
■東島「板倉さんは、フェムテックは “ハッピーになるためのアクション” とおっしゃっていましたが、詳しく教えていただけますか」

■板倉「私は、まず、自分自身がハッピーでいることが大切だと思うんです。女性が幸せを実感していると、そのムードが周囲に広がって、場が明るくなるということがありますよね。例えばフェムテックのグッズ、吸水ショーツを使って快適に過ごせたり、好きな香りに包まれながらゆっくりお風呂に入ったり…。日常的に、一人一人が心地よい時間を楽しんでいれば、そのハッピーなムードはどんどん広がっていくから」

■伊久美「毎日忙しいのを理由に、ゆっくり自分と向き合えなかったり、自分の心地よさを置き去りにしがちなところがあるんですよね。私みたいな人はどうしたらいいんだろう」

■板倉「忙しいと、誰でもそうなりますね。ヒントになることといえば、名セラピストにお会いすると、必ずご自身のことをどう癒やしているのか、いつも伺っているんです。そこには共通点があるんです」

■伊久美「名セラピストさんたちに共通する自らを癒やす方法、興味がありますね~」

■板倉「1日のうちのほんの20~30分でも、自分が本当に心地よいと思える時間をつくっているそうです。その時間は、すべきことをいったん放置して、邪魔されない環境の中で、自分が好きなことに没頭する。例えば、美しい音楽を聴いたり、好きな香りに包まれがらお風呂に入ったり、思いっきりダンスをしたり、人それぞれ、その日の気分で、五感が喜ぶ時間を過ごすということ」

■伊久美「意識的に自分を癒やす時間をつくるんですね。フェムテックを広げる立場の私としては、トライしてみたいな!」

■東島「そうですね! まさに心の健康につながるお話ですね。自分の体なのになんだか表現できない不調というのは改善できるのでしょうか」

■板倉「病気ではないけれど、理由がわからない不調、いわゆる“未病”と呼ばれている症状に悩んでいる人は多い。そういう体の不調も、たどってみると精神的なストレスや忙しすぎる生活が原因だったりしますよね」

■東島「確かに、精神的なストレスによって、不調や病気が生じる事例も増えていますね。一日の中で、自分を癒す時間を意識的に設けるというアクションは、フェムテックが目指す健康と幸せな社会への入口になりそうですね」

【 板倉Voice 2 】

意識的に自分のための心地よい時間をつくる。それがフェムテックの始まり

日々、ノルマやミッションに追われていたり、失敗してしまったことや悲しい思いを引きずりそうになるときでも、毎日、自分を癒やす時間をつくることができれば、デトックス&リフレッシュできる。心のエナジーチャージは、体の健康につながる。心と体は表裏一体です。日々、心身共に、日常的に快適さを感じられる人が増えていけば、フェムテックが目指す、総じて幸福な社会へと近づいていくはず。

【 Talk 3 】
■東島「世界を巡って、スパから各地の健康法や文化を知るというお話を伺いました。たくさんの国や地域を訪れていると思いますが、特に印象的だった場所はありますか」

■板倉「非常にユニークだと思ったのは、マレーシアの東海岸ですね。マレーシアは、主にマレー・中国・インド系の人々が暮らす多民族国家なんですが、東海岸は、イスラム教を信仰するマレー系の人々が多く暮らしている地域です。彼らには“子孫繁栄”を人生の大きな目的としてきた歴史があります。そのため、スムーズに子づくりをかなえるための男女別健康プログラムというのが、代々家庭に継承されているんです!」

■伊久美「ヘぇ~! 初めて知りました。例えばどういう?」

■板倉「女性だったら、初潮を迎えてから閉経に至るまで、年代ごとに行う健康法があるんです。例えば、出産後はこういう布でおなかを巻いて引き締めるといいとか、毎月、月経後には、この薬草を使って陰部をケアするなど、“おばあちゃんの知恵”のような教えが、各家庭や村で言い伝えられています。そして、土地のスパでは、その知恵からインスピレーションを得て考案されたトリートメントが行われているんです」

■東島「子どもの頃から子孫繁栄のための健康法を耳にしながら、成長していくんですね」

■板倉「それも女性にだけ、男性にだけ教えるのではなく、家族全体や村全体に、いわば常識としてですね」

■伊久美「例えば月経関連のことも、お父さんや兄弟も巻き込んで共有するんですね。理想的だな~」

■板倉「あちらは、40歳くらいの女性で、平均して4~5人の子どもを産んでいます。そして、婦人科系のトラブルや病気を抱えている人は少ない。若い頃から、子宮をケアする習慣があるから不調にも気づきやすく健康な状態をキープできるんでしょうね」

■伊久美「少子化社会と言われている日本とはだいぶ違う。世界には知らないことがたくさんあって勉強になりますね~」

■東島「家庭内でも、各自の成長や老化の過程を共有できて、代々伝わる知恵も授かることができるのは安心です。それに、心身共に長く健康でいられそうですね」

【 板倉Voice 3 】

子孫繁栄を重んじてきたマレーシア東海岸に学ぶフェムテック

さまざまな国や地域を訪れてきた中で、最もフェムテックを推進するヒントがありそうな地域は、マレーシアの東海岸。子孫繁栄という目的をかなえるために考案された、王家秘伝の婚礼前トリートメントプログラムでは、男性は新陳代謝の促進、女性は子宮を温め、血の巡りをよくすためのケアが盛り込まれ、その内容は庶民にも広まっている。そして、土地の名スパでは、その伝統療法からヒントを得たトリートメントを体験できる。この地域に住む人々が若々しく活力にあふれているのは、一生を健康に過ごすための知恵が老若男女に共有され、実践されているから。この地域をはじめ、世界には、健康をかなえるためのさまざまな伝統的なアイデアがあり、日本においても活用できるものもたくさんある。私はトラベル&スパジャーナリストとして、日本の健康な社会をかなえるために、微力ながら、今後も世界各地の文化とウェルネスの魅力を伝えていきたいと思っています。

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!」

●次回は、伊久美総編集長と東島アナウンサーの2022年最初のトークです。

【番組インフォメーション】
『はじめよう!フェムテック』は、毎週・火曜日~木曜日の19時53分~5分番組です。火曜日:ニッポン放送をキーステーションに、全国19局ネット、水曜日・木曜日:ニッポン放送をキーステーションに全国27局ネット、で放送中。聴き逃したかたは、お住まいのエリアのradikoでもお聴きになれます!

撮影/寿 友紀

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