今、助産師が中心となって女性を支援する活動が広がっている~連載『はじめよう!フェムテック』

2024/05/16【 連載 】

2021年10月から、ニッポン放送でスタートした番組『はじめよう!フェムテック』。ベネッセコーポレーションとかます東京の共同企画で、今、社会的なムーブメントになりつつある「フェムテック」を、さまざまな角度から取り上げています。パーソナリティーは、おなじみの伊久美亜紀さんと東島衣里アナウンサー。この連載では、毎週オンエアされた内容を、ギュッとまとめてお伝えします。

番組ではフェムテックに関する、あなたの職場や家庭などでの問題点やポジティブな試みなどを募集いたします。ニッポン放送『はじめよう!フェムテック』宛にメール(femtech@1242.com)でお送りください。

<パーソナリティー>
●伊久美亜紀 Aki Ikumi
ライフスタイル・プロデューサー、企業コンサルタント。大学卒業後、『レタスクラブ』編集部、ハースト婦人画報社を経て、1995年~2022年までは、ベネッセコーポレーション発行のメディア総編集長として『たまひよ』『サンキュ!』『いぬのきもち・ねこのきもち』など年間約100冊の雑誌・書籍・絵本の編集責任者を務め、2023年に独立。31歳の長女一人。

●東島衣里 Eri Higashijima
長崎県出身。大学卒業後、ニッポン放送に入社。現在は「中川家 ザ・ラジオショー」(金 13:00~15:30)、「サンドウィッチマン ザ・ラジオショーサタデー」(土 13:00~15:00)などの番組を担当。最近、女性の健康、そして幸せについて友人と語り合うことが多くなった33歳。

<ゲスト> 
●島田真理恵 Marie Shimada
東京都出身。聖路加看護大学(現聖路加国際大学)学士、修士を修了。2005年には、昭和大学で医学博士号を取得する。10年間の助産師経験を経て大学教員となる。2011年から上智大学総合人間科学部看護学科教授に就任。2019年から2023年まで日本助産師会会長を務める。

認知が広がりつつある「フェムテック」を推進して、女性だけでなく社会全体の幸せを目指したい!という意気込みでスタートしたこの番組。今回のゲストも日本助産師会の前会長で、上智大学総合人間科学部看護学科教授の島田真理恵さんです。 「みなさん、日本では助産師さんの資格を取得できるのは女性だけだということを知っていましたか!? その他、助産師さんの幅広い役割について、私たちが知らないことがまだまだあるようです」(伊久美)

日本では、助産師は女性だけに認められた国家資格

■東島アナ「ゲストは引き続き、日本助産師会の前会長、上智大学総合人間科学部看護学科教授の島田真理恵さんをお迎えしています。出産において、助産師さんの介助は国によって異なるそうですが、日本ではどのような特徴があるのでしょうか」

■島田「昔は、自宅での出産も多く、お産する女性の母親、祖母、姉妹、地域の女性たちが、出産を助けていましたが、現在では、出産の場が自宅から病院や診療所などに移ったので、出産の際に誰がケアをするかは各地の文化・風習によって違います。一般的には、お産の経過中は、24時間いつでも助産師が支援しています」

■東島アナ「なるほど。日本では、女性だけでなく、男性も助産師さんになれるのでしょうか」

■島田「日本では、助産師は女性だけに認められる国家資格になります」

■伊久美「そうなのですね! 男性は助産師さんになれないのですね」

■島田「“今の世の中で?” と思われるかたも多いかもしれませんが、現状、法律で決まっています」

■伊久美「先生は、この現状について、どのように思われていますか」

■島田「ヨーロッパなどでは、男性助産師もいます。ただ、その場合、助産師は産婦人科医師に近い役割になります。お産の経過中は、パートナーがいるところで、妊産婦さんの経過を把握したり、パートナーに対しどんなケアをするべきかをアドバイスしています。ただ日本では、女性がパートナーの立ち会いを望まない場合も少なくないです。また、出産の支援を地域の女性たちや家族の女性たちが行っていた歴史から、女性が介助するという考え方が浸透しています。ですから、まずはケアを受ける側の女性が“男性助産師についてどう考えるのか”というところから、議論をしていく必要があるのではないかと思っています」

■東島アナ「産婦人科医師は、男性もいらっしゃいますよね」

■島田「はい。産婦人科医師は、さまざまな診察や検査をしています。ただ日本の場合、男性の医師がお産を担当する場合には、女性看護師もしくは助産師が必ず女性のそばに立ち会うことが決まりになっています」

孤立や貧困に悩む女性にも、助産師は寄り添っている

■東島アナ「以前、特別番組にご出演いただいた時にも話題に上りましたが、さまざまな理由で孤立や貧困状態になってしまったり、若くして妊娠してしまったりする女性がいます。このような問題に関しても、助産師さんの力がますます必要になってくると思われますが、いかがでしょうか」

■島田「国においても、子育ての支援と同じく女性の健康支援や、女性の貧困や若年妊娠といったさまざまな課題について、対応策が講じられつつあります。そして、それら政策を理解しながら、積極的に活動を行っている助産師もいます。ただ、国や地域の支援が始まったといっても、予算規模が少ないことや社会全体に孤立や貧困に悩む女性がいるということが、十分に理解されていない場合もあり、活動に困難があるというのも事実だと思います。さらなる社会からの支援や理解が必要だと感じています」

■伊久美「前回、ライフサイクル全般をサポートすることが助産師さんの役割だと教えていただきましたが、孤立や貧困に悩む女性に寄り添っていらっしゃる助産師さんも多いのですね」

■島田「そうですね。助産師だけではなく医療職や福祉士職、多職種のかたと連携しNPO法人を立ち上げて、妊娠や出産、女性特有の疾患に遭遇した場合に、助産師が中心となって支援するといったことも行われています」

■伊久美「妊娠や出産に関する知識が必要な時に、助産師さんがサポートをしてくださるということは、あまり知られていないですよね」

■島田「そうですね。まだまだ助産師の役割に関する認知度は低いことが課題だと思っています」

■伊久美「社会全体、メディアも含め、いろいろな立場や役割のかたがチームとなって、女性の支援を行っていく必要がありますね」

合言葉は「はじめよう!フェムテック!!!」

●次回も上智大学総合人間科学部看護学科教授、島田真理恵さんをゲストにお迎えします。

【番組インフォメーション】 『はじめよう!フェムテック』は、毎週・土曜日15時50分~16時にオンエア。聴き逃しは『radiko』で(※首都圏にお住まいのかたは放送後1週間)お聴きになれます!

●記事まとめ/板倉由未子 Yumiko Itakura
トラベル&スパジャーナリスト。『25ans』などの編集者を経て独立。世界を巡り、各地に息づく心身の健康や癒やしをテーマとした旅企画を中心に、各メディアで構成&執筆。イタリア愛好家でもある。伊久美さんとは28年来の付き合い。https://www.yumikoitakura.com/

●撮影/寿 友紀 

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