大豆をたくさんとっても女性ホルモンは増えない!?女性ホルモンのホント・ウソ
2021/05/21
私たち女性の体にとって大切な女性ホルモン。これまで"なんとなく"聞いたことがあるウワサは一体どこまで正しいのでしょう?変化する体と前向きにつき合っていくためにも、正しい知識を身につけておこう!
<教えてくれた人>
産婦人科医・医学博士 対馬ルリ子先生
58年生まれ。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座院長。NPO法人「女性医療ネットワーク」を設立し、600名の女性医師・医療従事者と連携。よりよい女性医療の実現に注力。
美容家・オーガニックスペシャリスト 吉川千明さん
59年生まれ。90年代よりオーガニックコスメと植物美容を日本に広げたナチュラルビューティーの第一人者。対馬ルリ子ライフクリニック銀座で「更年期カウンセリング外来」を担当。
女性ホルモン塾®全面監修
対馬先生と吉川さんが2002年から20年近くにわたり運営している健康講座。40代以降の人生を元気で豊かに過ごすために、心と体のすべてにかかわる女性ホルモンとのつきあい方を日本全国でレクチャーしている。
女性ホルモンは多ければ多いほどいい!?
【ウソ】ホルモンが過剰になると病気になるリスクも高まります。
「女性ホルモンは、主役である"エストロゲン"と、妊娠をサポートする黄体ホルモンの"プロゲステロン"がバランスよく分泌されることで効果を発揮。エストロゲンが過剰になると、乳がんや子宮体がん、子宮筋腫や子宮内膜症にかかりやすくなる可能性があります」(対馬先生)
我慢できないほどの困りごとがないと"婦人科"には行っちゃダメ!?
【ウソ】美容院に行くくらいの感覚でぜひ気軽に受診を!
「『?』と思うことがあったら、自分に合う美容院を探す感覚で、試しにぷらっと婦人科を受診してほしいですね。合わないと思ったら別の病院に替えてもいいんですよ」(対馬先生)、「できれば女性に多い病気や症状に特化した"ウィメンズヘルス"に力を入れている婦人科がおすすめです」(吉川さん)
つらいなと感じたら「更年期指数(SMI)」をチェック!
全国の医療機関で使われている更年期指数。(1)~(10)の項目で当てはまる強度のもの1つに〇をして点数を記入し、合計点を出そう。
※強度の目安/強=日常生活に差しさわりがあるほどつらく、今すぐなんとかしたい。中=我慢はできるが、なんとかしたい。弱=症状は感じるが、我慢できる程度。無=感じない。
合計点ごとの治療の目安 【51点以上はすぐ婦人科へ!】
0~25点:上手に更年期を過ごしています。年に1回は健診を。
26~50点:食事、睡眠、運動など気をつけて無理のない生活を。
51~65点:医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を。
66~80点:長期間(半年以上)の計画的な治療が必要。
81~100点:各科の精密検査を受け、長期的・計画的な治療が必要。
愛する人とセックスすると、女性ホルモンが分泌される!?
【ホント】「幸せな気持ち」によって卵巣の働きが活性化します。
愛する人との性交渉や恋愛で卵巣の状態はよくなります。つまり「幸福感」によって女性ホルモンの分泌はアップ。「ペットに触れたり、好きなアイドルにときめくことも同様の効果があります。逆にストレスを感じる性交渉はホルモンバランスをくずす原因になることも」(対馬先生)
月経痛やPMS(月経前症候群)がひどい人は、更年期もつらい!?
【ホント】ホルモンに左右されやすい体質の人は、つらい可能性が高いといえます。
月経痛やPMSはプロゲステロンの増加に影響を受け、そのバランスがくずれることで悪化します。「更年期は"元々弱かった部分"が症状に出やすいので、更年期症状が強く出る可能性が。プレ更年期からの婦人科検診とセルフケアでラクになりますよ」(吉川さん)
大豆をたくさんとると女性ホルモンが増える!?
【ウソ】似た物質は出ますが、「女性ホルモン」そのものではありません。
「大豆イソフラボンが多く含まれる食品をとると、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きの"エクオール"が体内で増える人がいます(日本人の2人に1人程度)。しかしエクオールはあくまで似た働きの物質。女性ホルモン自体が増えるわけではありません」(対馬先生)
"閉経"は経血の量がだんだん少なくなってくる!?
【ウソ】ドバッと量が増えて終わる人もいますよ。
「閉経に近づくにつれ経血量が徐々に減る人が多いのは事実。ですが逆に大量出血を経験する人もいて、閉経前の変化は生理周期や出血日数の変化を含め"人それぞれ"だといえます」(対馬先生)。婦人科での採血による"女性ホルモン値"の検査で閉経時期の予測もできるそう。知りたい人はぜひ受診を。
40代の女性は「プレ更年期ドック」を受けよう!
「更年期症状?」と思ったら、まず「プレ更年期ドック」を。基本的な血液検査のほか、子宮体がん・子宮頸がん・乳がん検診、女性ホルモン・骨密度検査など女性特有の病気の検査ができます。
女性ホルモンが減っても、キラキラしていられる!?
【ホント】正しい知識とケアで、女性はいくつになっても輝き続けられます!
「更年期を飛行機に例えると着陸に向かうとき。飛行機が大きく揺れて怖い人もいるけれど、必ずみんな着陸できるし、着陸後は心穏やかな日々が待っています。だから正しい対処法を知って自分をいたわって。それが人生後半を美しく輝かせる秘訣です」(吉川さん)
不調がラクになる!HRT(ホルモン補充療法)の基本Q&A
ラクになるならやってみたい気もするけれど、そもそも何?高い?どのくらい続けるもの?HRTの基礎知識をまとめました。
Q そもそもどんな治療なの?
投薬で物理的に女性ホルモンを補充する治療です。
A 必要最小限の量の補充によって脳が安心し、ホルモンが安定するHRT。更年期の症状改善だけでなく閉経後の生活を充実させ、健康寿命を延ばすという予防医学の面からも注目されています。女性ホルモンを「のむ」「貼る」「塗る」などの方法で体内に補充します。
Q 治療費は高いの?
治療目的の場合は保険適用で月数千円から※。
A 更年期症状ならほとんどの場合健康保険が適用されます。1カ月の薬代は1000~3000円程度(診察・検査料は別途)。「貼る」「塗る」タイプは胃腸や肝臓の弱い人向き。量や何を使うかは医師と相談して。
※治療内容、期間によって異なるので各医療機関に相談を。
Q 治療期間は長いの?
主治医と相談しながら、定期的に通院するのが理想。
A エストロゲン欠乏による症状が出ているなら閉経前でも始められ、症状が改善されたらいつでもやめられます。治療がまた必要になれば再開も可。ただし、開始と中止のタイミングは必ず主治医に相談を。
参照:『サンキュ!』2021年5月号「女性ホルモンが減らない暮らし方」より。掲載している情報は2021年3月現在のものです。協力/対馬ルリ子ライフクリニック銀座/イラスト/澁谷玲子 構成/竹下美穂子 取材・文/宇野津暢子 編集/サンキュ!編集部
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