なかなか痩せない理由は「眠れていないから」だった!プロが徹底解説
2019/08/04
たかが睡眠と侮ってはいけません。睡眠時間や眠りの質に問題があると、疲れがたまるばかりか、余計な脂肪もたまってしまうことに……。もしかしたら、ダイエットをしてもまったくやせないのは「睡眠」が原因だったかもしれません。睡眠のプロに「睡眠と肥満の関係」について詳しく聞いてみました。
主婦の7割が、睡眠時間6時間以下という結果に!
Q どんな不調を感じていますか?
1位・疲れやすい
2位・なかなかやせない
3位・イライラする
4位・やる気が出ない
5位・風邪をひきやすい
※複数回答あり
睡眠時間6時間以下の人が68.2%で、全体の半数以上がぐっすり眠れていないと回答。また、疲れやすさを感じている人は全体の3分の2、やせにくさやイライラを感じている人も過半数に上っています。
〈サンキュ!モニターアンケートより(2019年5月実施、回答者数226人)〉
ちゃんと眠れていないとさまざまな不調の原因に!
近年話題の「睡眠負債」とは、日々の睡眠不足が負債のように蓄積した状態のこと。「日本は世界有数の睡眠負債大国。特に家事や育児、介護などを担う時間が長い女性の睡眠不足が問題になっています」(睡眠コンサルタント・友野さん)
睡眠負債は慢性的な疲労以外にも、さまざまな不調を招きます。肌荒れなどの美容トラブルのほか、不健康そうに見えて印象がダウンすることも。「睡眠に問題があると、体力や記憶力、集中力が低下して日中のパフォーマンス能力が落ちたり、免疫力が下がって風邪をひきやすくなります。肥満の原因にもつながるので要注意です」(睡眠と疲労の専門医・梶本さん)
ちゃんと眠らないと具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。
事実1「疲れがとれない」
現代の疲労医学では、人が感じる疲れは体の疲れではなく脳の疲れであり、脳の中の自律神経中枢の疲れということがわかっています。自律神経は呼吸や心拍、体温調節、消化・吸収、血液循環など生命活動のバランスを整える神経で、活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経があります。この自律神経の疲れを回復させる手段は良質な睡眠のみ。最低でも5時間は眠らないと、疲労回復には不充分です。
*さらに……
自律神経の機能は加齢とともに低下し、疲れが取れにくくなるので、睡眠で自律神経を休ませ、回復させることが重要。寝苦しい夏も心拍、発汗、呼吸などで自律神経に負担をかけない睡眠環境が大切。
事実2「太りやすい」
睡眠不足だと食欲増進ホルモンのグレリンが増加し、食欲抑制ホルモンのレプチンが減少。食欲が高まり、高カロリーな食べ物を欲することが判明しています。また、眠気が強くて食欲がわかずに朝食を抜くと、体の飢餓スイッチが入り、そのあとにドカ食いしたり、食べた物を吸収しやすくなるので注意。自律神経の働きも乱れて代謝が下がり、やせにくくなります。睡眠でダイエット効果を高めたいなら、最低7時間の連続した睡眠が必要です。
【スクープ!友野さんも「睡眠ダイエット」でトータル15kg減】
●0~3時を含む7~8時間睡眠がベスト!
代謝を促す成長ホルモンは眠り始めの3時間、睡眠ホルモンのメラトニンは0~3時、肥満予防ホルモンのコルチゾールは3時ごろに集中分泌されるので、この時間帯に眠っていることが理想。
●睡眠時間が長くても短くても太りやすくなる!
睡眠時間別に6年後の体重、ウエスト、体脂肪率の変化を調べたカナダの調査によると、7~8時間睡眠の人がいちばん変化が少なく、睡眠時間がそれ以上でもそれ以下でも太りやすいという結果に。
事実3「病気のリスクが上がる!」
イギリスの研究によると、睡眠時間が7~9時間の人に比べ、6時間未満の人は死亡率が13%UPするとの報告が。睡眠不足によって糖尿病などの生活習慣病、がん、脳や心臓、血管などの疾患、精神疾患などにかかる率が上がり、命を落とす危険が高くなることが科学的に証明されています。
*睡眠負債が蓄積すると、こんな怖い病気が!
がん、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、うつ病、認知症
特に、日照時間が長く、高温多湿な夏はどうしても睡眠時間が短く、質も悪くなりがち。だからこそ意識してちゃんと眠ることが重要なんです。
<監修>
・梶本修身さん
睡眠と疲労の専門医。医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長。「ホンマでっか!?TV」出演など、疲労医学の専門家としてメディアでも活躍。『マンガでスッキリ!疲れを取るなら脳を休めなさい』(永岡書店)など著書多数。
・友野なおさん
睡眠コンサルタント。SEA Trinity代表取締役。自身の睡眠を改善し、ダイエットや体質改善に成功。眠りのプロとして講演活動や企業の商品開発などに従事。『正しい眠り方』(WAVE出版)など著書多数。
Have a try!
□7~8時間の睡眠をとるようにする
□夜更かしせず、0~3時の間は眠るようにする
□寝苦しい夏も自律神経に負担を掛けない睡眠を心がける
参照:『サンキュ!』8月号「その不調、睡眠で解決します!」より。掲載している情報は19年6月現在のものです。
イラスト/松元まり子 構成・文/鹿島由紀子 編集/サンキュ!編集部
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