【睡眠専門医が回答】加齢にともなう睡眠の悩み…良質な睡眠をとる方法って?
2024/12/07
子どものころのようにスヤスヤぐっすり眠れていますか?加齢にともない眠りの質にも変化が訪れます。専門家が良質な睡眠についてアドバイス!女性と男性、それぞれの睡眠の悩みについてお答えします。
<教えてくれた人>: 睡眠専門医 白濱龍太郎
RESM新東京・新横浜理事長。一般患者からトップアスリートまで約2万人の睡眠に悩む人たちを救う。著書も多数。...
- 睡眠ホルモンのメラトニンは40代で6分の1にまで減少
- ここ3日間の睡眠を振り返ってみて あなたの睡眠の質Check
- 【女】眠りが浅くなってきて、朝起きた瞬間から疲れ気味。ぐっすり眠る方法はありますか?(39歳)
- 【男】寝るときは“裸族”なんですけど、これって体に悪いですか?(36歳)
睡眠ホルモンのメラトニンは40代で6分の1にまで減少
良質な睡眠には体温や自律神経、ストレスなどさまざまな要素が関わります。「中でも大事なのが、眠りを誘う働きをするホルモンのメラトニン。個人差はありますが、分泌量のピークは9~10歳で、40代に入ると6分の1にまで減って眠りが変わってきます。だから40代になったら睡眠力が落ちているんだと意識して」と白濱さん。まずは下のチェックテストで今の睡眠を見直してみて。さらに夜のルーティンを取り入れて睡眠の質をよくしましょう!
ここ3日間の睡眠を振り返ってみて あなたの睡眠の質Check
□ 眠る直前までスマホを見ている
□ よく電気をつけたまま寝落ちする
□ 22時以降に晩ごはんを食べる
□ 休みの日は平日よりも1時間以上長く寝ている
□ 寝る直前に歯をみがく
□ 朝起きてもカーテンを閉めたまま
□ 靴下をはいたまま寝る
□ 仕事中に眠くなる
□ 電車で座ったとたんに寝てしまう
□ 布団に入ってから30分以上眠れないことがある
□ 睡眠時間は足りているはずなのに、すっきり起きられない
3つ以上当てはまったら、質が悪くなっている傾向あり!
※『寝つきが悪い、すぐに目が覚めてしまう人のお助けBOOK』(主婦の友社)より抜粋
【女】眠りが浅くなってきて、朝起きた瞬間から疲れ気味。ぐっすり眠る方法はありますか?(39歳)
A ぐっすり眠る鍵は、“体の中の体温(深部体温)”。体温が下がるときに眠くなるので、あえて一度上げるといい!
人は深部体温が下がると眠くなります。また、よく眠れる人の深部体温にはリズムがあり、夕方にピークを迎えてその後ゆるやかに下がり、夜に眠気が訪れます。ぐっすり眠るためにこの作用を使うのがおすすめ。具体的には湯船で体を温めるなど、体全体の体温を一度上げること。その反動で体温が自然と下がり、眠りにつきやすくなります。
●ぐっすり眠るためのおすすめ夜ルーティン
1 寝る1時間半前までに入浴。首シャワーストレッチで深部体温を上げてもOK
ぬるめの湯に最低10分つかると効果的。少し熱め(43℃)のシャワーで首ストレッチを行うのもgood
シャワーを固定し、少し熱め(43℃)のシャワーを首の後ろに5~10分ほどかける。
指を組み、首の横のくぼみに親指を当て、上下にゆっくり動かしながら1分ほど軽くもむ。
2 寝る1時間前までに歯みがきをする
歯ぐきを刺激するとメラトニンの分泌量が減るという研究報告が。寝る直前の歯みがきは睡眠の質を悪くするリスクがあるので、1時間前までに。
3 スマホを見るのをやめる。疲れ目の人は蒸しタオルもgood
ブルーライトは眠りを誘うメラトニンの分泌を減らすので×。ぬらしたタオルをレンジで温め、目を癒すと緊張がとれ、眠りモードに。
4 寝る前の5分間だけでも、自分のための余白時間を作る
SNSで情報を追いがちな今、意識的に頭を休ませて。音楽やアロマを楽しんだり、ゆっくり呼吸すると体のお休みスイッチがONに。
5 布団に入ったら、深部体温を下げるために大の字で寝る
手足を伸ばすと体の熱がこもらず血流もよくなり、手や足から熱が放出されやすくなる。深部体温がスーッと下がって眠りの世界へ。
【男】寝るときは“裸族”なんですけど、これって体に悪いですか?(36歳)
A しっかり眠れるなら問題なし
パジャマを着るよりもリラックスできる、汗でムレないなど、本人が快適でよく眠れるならOK。反対に裸だと寒い、汗が寝具にベタついて不快など、デメリットが多いなら、パジャマを着る方が睡眠の質が上がります。
【女】途中で目が覚めてしまい、そこからなかなか眠れません(44歳)
A 眠ろう、眠ろうとあせらず、開き直って寝室を出てもいいですよ!
眠ろうと頑張っても眠れないもの。一度リビングや別室に移動して気分を変えてみて。音楽を聴くなどリラックスできることをして、眠気を感じてから布団に戻って。ただし、スマホは睡眠の質が下がるのでNG。
【男】妻から「いびきがうるさい」とよく指摘されます。どうしたら治りますか?(42歳)
A 横向きで寝て改善するかどうか?睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります
いびきは寝る体位も関係しています。あおむけだと気道が狭くなっていびきをかきやすいので、横向きで寝てみては?それでも大きないびきや息が止まる状態をひと晩に繰り返すなら、睡眠時無呼吸症候群の可能性も。放置せず内科や睡眠科の受診をおすすめします。
【女】悪夢をよく見て、眠った気がしません。寝るのがツラいです……(38歳)
A ストレスの可能性も。眠る前はリフレッシュを
夢は解明されていない部分が多いのですが、メンタルが落ちると悪夢を見ることも。リフレッシュする時間を持ってストレスを減らし、寝具や明かりを整えて心地よく眠る工夫を。
【男】【女】みんながやっていた、いい睡眠のためのあれこれ。これって効果ありますか?(34~49歳)
●朝バナナ【効果アリ】
朝バナナを食べると、バナナに含まれるトリプトファンが夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変わり、よい眠りに導いてくれます。
●朝日を浴びる【効果アリ】
朝に太陽光を浴びると体内時計が調整される、自律神経のバランスが整う、夜にメラトニンが出やすくなるなど実はメリットいっぱい。
●朝、みそ汁を飲む【効果アリ】
大豆製品もトリプトファンが豊富。みそや具の豆腐にもたっぷり含まれているから、忙しい朝でも睡眠にいい栄養素を手軽に取れます。
●寝るとき、保冷剤で頭を冷やす【効果微妙】
それだけでよく眠れるほどの効果はなさそう。首周りを適度に冷やすほうが深部体温が下がりやすくておすすめ。
<教えてくれた人>
睡眠専門医 白濱龍太郎さん
RESM新東京・新横浜理事長。一般患者からトップアスリートまで約2万人の睡眠に悩む人たちを救う。著書も多数。
参照:『サンキュ!』2024年12月号「女と男の見た目と体の悩み、解決スペシャル」より。掲載している情報は2024年10月現在のものです。イラスト/根津あやぼ 構成/岡部さつき(風讃社) 取材・文/神坐陽子 編集/サンキュ!編集部