実は私、におってる?30代半ばから忍び寄る 「加齢臭」「ミドル脂臭」「疲労臭」とは
2020/08/24
いつだって女性は、“よい香りがするね”と言われたいですが、加齢や疲労、ストレスなどで体臭が強くなることがあります。どのように対策をしたらいいのか、においケアに詳しい銀座ケイスキンクリニック院長、慶田朋子さんに話を聞きました。
あなたのにおい、何タイプ? まずはチェック!
「なんとなく私、におう気がする」と不安な場合は、以下のチェックリストを試してみてください。あなたのにおいの原因がどこにあるのかわかるかもしれません。
2個以上あてはまる人は【加齢臭タイプ】
□枯れ草や押し入れ、古本のようなニオイがする
□タバコを吸う、飲酒量が多い
□体幹部や背中が臭う(人から指摘される)
3個以上あてはまる人は【ミドル脂臭タイプ】
□古い油のようなにおいがする
□枕がにおう、枕カバーに色がつく
□皮脂が脂っぽくベタベタする
□頭や首の後ろがにおう気がする(人から指摘される)
□タバコを吸っている
2個以上あてはまる人は【疲労臭タイプ 】
□ツンとしたニオイがする
□過労と睡眠不足が常習化している
□ストレスが多い
□飲酒量が多い
35歳すぎたら注意が必要、加齢臭やミドル脂臭って?
【加齢臭】頭皮や耳の後ろが脂っぽいにおい
まだ30代だし関係ないかも…と思っていると、実はにおっていたなんてケースも。10〜20代の女子はお花畑のような甘いにおいがしますが、これはラクトンという成分によるもの。ほかのにおいがあってもラクトンでマスキングされて、気づきにくかったのです。しかしラクトンは35歳過ぎから減少してしまい、加齢臭などほかのにおいが前面に出てきます。
加齢臭とは、背中や胸の体幹や頭皮から発生する脂っぽさと青臭さが混ざったようなにおいで、中高年の皮脂に含まれる脂肪酸が分解され、過酸化脂質に変化して「2-ノネナール」という物質になることで生じます。
【ミドル脂臭】後頭部や首の後ろに廃油のにおい
お父さんや夫の枕がくさい!という経験をしたことがある人も多いと思いますが、実は女性でも「ミドル脂臭」は生じます。30〜40代半ばの女性に多く、特に皮脂が多く、汗をかきやすい後頭部や首の後ろ、耳のまわりなどから廃油のようなにおいがするのが特徴です。汗に含まれる乳酸が分解される過程で発生する『ジアセチル』が原因です。
後頭部をしっかり洗い、抗酸化物質をとる
髪や体を洗う際には、洗い残しの多い後頭部や、首・耳の後ろを指の腹を使ってしっかり時間をかけて洗ってください。耳を洗わない人が多いので、忘れずに耳の後ろ側もきれいにしてください。皮脂分泌量が多い背中や胸もしっかり洗いましょう。
もしいつものシャンプーやボディーソープで脂臭さがとれないようでしたら、脱脂力の高いものに変更してみてください。
そして抗酸化作用のある食べ物を意識してとることもにおい対策になります。ビタミンA(緑黄色野菜、鶏レバーなど)、ビタミンB(鶏肉、豆類など)、ビタミンE(ナッツ類、アーモンド、卵など)がおすすめです。
ストレスや疲れが原因、疲労臭ってなに?
疲労が蓄積するとにおう。お酒の飲み過ぎも原因に
栄養源として摂取したたんぱく質が分解されると強烈なにおいのアンモニアが発生します。これは肝臓で無害な尿素に分解され、尿から排泄されるのですが、疲れが蓄積すると、肝臓の分解機能がキャパオーバーとなり、体内にアンモニアが蓄積してしまいます。するとアンモニアが汗と一緒に出るために体がにおうようになります。
肝臓機能の低下は、働き過ぎや加齢に伴う疲労の蓄積、ストレスによる免疫力の低下、お酒の飲み過ぎ、肥満(脂肪肝)などが挙げられます。
疲労をためないようにして、家飲みはほどほどに
疲労臭は、肝機能の低下により生じます。肝機能を高めるためには、オルニチンやクエン酸を含む食材をとるのがオススメです。しじみ、梅干し、レモン、お酢などを積極的にとるようにしましょう。そして疲れやストレスをためこまないようにし、睡眠を十分にとってください。
新型コロナウイルスの感染拡大以降は、家でお酒を飲む人が増えましたが、店で飲むよりも安くすむため、ついつい飲酒の量が増えがちです。ストロングタイプのお酒も流行していますが、深酒をすると肝臓の機能低下を招いて、疲労臭が強くなりがちです。
健康のためにも、ワインならグラス1杯、ビールなら500ml缶1本程度にとどめておきましょう。1日に飲む飲酒量を制限するだけでなく、週に2日は休肝日をつくりましょう。
30代になると、仕事や家事、育児など忙しく毎日を過ごすかたも多いと思いますが、自分でも気づかないうちに加齢臭やミドル脂臭、疲労臭を発していた…なんてことがあるかもしれません。洗い方や食べ物の工夫で、上手ににおいをケアをしていきましょう!
<監修者 プロフィール>
慶田朋子(けいだ ともこ)
銀座ケイスキンクリニック 院長
医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、同大皮膚科学教室に入局。美容クリニック勤務(兼務)を経て、有楽町西武ケイスキンクリニック開設。2011年、銀座ケイスキンクリニック開設。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「メスを使わない若返り」を叶える美容皮膚科医として診療にあたる。においケアにも詳しい。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。
取材・文/渡邉由希