最近夫が「クサイ」……クサい夫への対応、やっていいこと、ダメなこととは?夫婦仲の専門家が解説
2023/11/27
年齢を重ねることで生じる加齢臭。もし自身のパートナーが「なんだか最近クサイ」となった場合、どうにか改善してあげたいところですが、ストレートに「クサイよ……」と伝えるのはちょっと気まずいですよね。
「恋人・夫婦仲相談所」の所長である三松真由美さんに、妻としてのスマートな対応方法について教えてもらいました。
クサい夫への対応、やっていいこと、ダメなこととは?
パートナーのマイナス面や困った点の指摘、さらに、それを改善するために相手にやってほしいことを伝えるとき、どのような工夫をしていますか?
明らかな誤りだったり、本人も「やばかったかも」と気づきやすいものなら指摘もしやすいですが、本人が無自覚な問題である場合、行動変容を促すのは至難の業。とくにデリケートな問題の場合、伝え方を間違えると夫婦仲に亀裂が入る可能性も。
そのひとつの例が「加齢臭」。
夫の枕から脂っこい臭いがする。近づくと独特の鼻を刺すような臭いがする。妻としてはかなり気になるが、本人にはまったく自覚がない……というのは、ミドル世代の夫婦によくあるシーンです。
加齢臭はだいたい40~50歳くらいから、気になりはじめる症状です。食生活やストレスなど各種要因から皮脂の酸化が起こり、それによってノネナールというニオイ成分が発生することで起こるとされています。
さらにこのノネナールに、頭の後ろから首にかけて分泌するジアセチルという物質が重なることによっておこる使い古した油のようなにおいが「ミドル脂臭」です。
「枕がやばい!」といった場合は「加齢臭」だけでなく、「ミドル脂臭」の症状も出ていると考えられます。
さあ、皆さんだったら、クサい夫にどのように対応しますか?
クサイ夫にやってはいけない対応
NGな対応の1つ目は、「思いやりがない言動」です。
「臭いって自覚がないの?」
「あなたの洗濯物は臭いから分けて洗うね」
自分が「臭い」と指摘されることは、誰にとってもショックなできごとです。しかも相手からまるで汚いもののように扱われることで、さらに傷つきます。
NGな対応の2つ目は「勝手に本人が悪いと決めつける」こと。
「ちゃんとお風呂で洗っているの?」
「臭うのは不潔な証拠よ」
本来は加齢によるもので、夫自身の落ち度は何もないのに、いかにも夫が不潔にしていることが原因であるように決めつけ、相手を非難するのは理不尽な対応です。
NGな対応の3つ目は「突き放す」こと。
「いい大人なんだから、自分のことは自分でやって。枕カバー、毎日、替えてちょうだい」
「私には関係ないことだから、相談されても困る」
と、問題の指摘だけをして解決を手伝わない態度も望ましくありません。相手が困っている時こそ力になるのが真のパートナーのはずです。
おすすめの対応方法
1.妻ができる対策をまず実施
相手に「〇〇をしろ」と求める前に、まずは妻自らができることをしてみましょう。例えば、体臭が強くなる食材(にんにくや動物性たんぱく質)を減らし、野菜や果物などビタミンCを積極的に取り入れるなど、食生活を工夫する。
また、消臭・防臭効果のある洗剤やせっけんを取り入れる。このように、生活の中で改善できることをまずはさりげなく実施してみましょう。
「あなたが臭いからやるのよ。手間がかかるけどね」などよけいなことは言わず、黙ってやってあげるのが優しい気配りです。
2.加齢臭・ミドル脂臭について啓発する
もしかすると、夫は加齢臭・ミドル脂臭のことをまったく知らないかもしれません。夫がこれらに関する知識をもっていなければ、自分の匂いを意識したり対策の必要性を感じたりすることはできません。
まずは、40代を過ぎると体臭が変化すること。その原因が年齢によるホルモンバランスの変化や、ストレスにより皮脂の酸化などが原因であることなど、科学的な根拠に基づく知識をインプットしてあげましょう。
さらには例え話を利用して、ほかの人が加齢臭のケアをどのようにしているのかなどを紹介することで、夫を責めることなく、体臭に関する自覚を促すこともできます。
3.体臭ケアを夫婦で一緒に取り組む
「私もアラフォーだから、もしかしたら、加齢臭が始まっているかもしれないよね。自分では気づきにくいから、もし私の臭いが気になったら遠慮なく指摘してね」と、加齢臭ケアに関しては、妻自身も他人事ではない、とアピールするのも効果的。
夫に「自分のことは棚に上げて、他人に文句や非難ばかり言う」と思わせないのがポイント。加齢臭ケアに対して、妻も当事者として一緒に取り組む姿勢を見せることで、夫のやる気も変わってきます。
上から目線で対策を指示するのではなく、同じ目線で一緒に楽しく対策に取り組めれば、加齢臭を明るく笑い飛ばせるような、ポジティブな気持ちを持たせることが可能になります。
4.気にしすぎない
臭いは気持ちの持ちようで、感じ方も変わってくる部分があります。基本的な対策を施したら、あとはお互いにあまり気にしすぎないことも大切です。
もともと加齢臭の原因の一つはストレスと言われていますので、体臭を気にしすぎることはかえって加齢臭を悪化させることにつながります。人間も動物なのですから、多少の体臭があるのは当たりまえ。
おおらかな気持ちが、状況の改善につながっていきます。
加齢臭対策は、良好な夫婦関係の構築にもつながる
良好な夫婦関係を築くうえでの原則は「相手を変えようと思うなら、まずは自分が変わること」。これは加齢臭対策でも有効なのです。夫と結婚前にどんなデートをしていたか思い出してみてください。自転車の後ろに乗って背中の匂いをたくましく感じた。初めてハグされたとき「このひとの匂いが好き!」と感じた……といったことがあるはずです。
もしかすると、遺伝子レベルで好きなひとの匂いを選んだのかもしれません。それが加齢で変わってきたのだから、そこは受け止めましょう。妻側の匂いも少なからず変わってきているのですから。
◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。