大みそかの「年越しそば」選び方とおいしく食べるゆで方のコツ

2021/12/17

管理栄養士で食材マニアなサンキュ!STYLEライターのゆかりです。

江戸時代までは“節分の日”が冬から春への年の切り替わりとされていて、そのタイミングで年越しそばが食べられていたのですが、明治時代以降からは暦(こよみ)が新暦へ切り替わったことから“大晦日”に食べる習慣へ変わったのだとか。

そばは「細く長い」ことから寿命を延ばすことに通じたり、他の麺類よりも切れやすいことから「厄災を断ち切る」などの縁起を担いで食べられるようになったといわれることもあります。

そんなそばですが、知っているのと知らないのとでは、楽しみ方やおいしさが倍増することも⁉

この記事では、管理栄養士である筆者が、そばのおいしい選び方や栄養などについて紹介しています。

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「そば粉の種類」による呼び名や栄養の違い

小麦粉蕎麦のボウル、シリアルやフラワーオンボード
rezkrr/gettyimages

駅前で立ち食いそば屋があるので手頃な食べ物の印象もありますが、かたや、そばの名産地では少しリッチな価格で提供されることも。

そばと一口に言っても、そばの実を収穫して粉にした順番によって、呼び方に違いがあることは知らない人も多いのではないでしょうか。

一番粉とも呼ばれ、そばの実の殻を外して内側のやわらかい胚乳(はいにゅう)部分を挽いたもので、でんぷんが多く含まれていて白っぽい色をしています。これで作ったそばは、香りが控えめで白い色をした「さらしなそば」と呼ばれることも。歯切れがよく、のど越しも良いので高級品とされています。

次に、胚乳の残りと栄養の多い胚芽を挽いたものが、二番粉と呼ばれます。一番粉に比べると、そばらしい灰色や香りが感じられます。一番粉の食感も持ち合わせており、全体的な食味のバランスの良さが評価されています。

そして、二番粉に甘皮が混じったものは三番粉となり、黒っぽい色をしていて香りが強く、これで作られたそばは「藪(やぶ)そば」や「田舎(いなか)そば」などと呼ばれます。少しもそもそとした食感を感じる仕上がりになりますが、栄養価はこの中で一番高く、一番粉と比べるとタンパク質は1.5倍、食物繊維は4倍ほど多く含まれています。

最後に残ったものは四番粉となり、そのままそばとして使われるよりも、乾麺やゆで麺のそばの色付けに加えられることが多いようです。末子(すえこ)などと呼ばれることも。

なお、これらのような区分けをせずに丸ごと挽いたものは「挽きぐるみ」と呼ばれています。既製品を購入する際は、あまりこれらの表記を見かけることはないかもしれませんが、そば屋などで見かけた場合は食べ比べて違いを感じてみると面白いですね。

「そば粉の割合」でも呼び名が変わる

ブランチそば
kazoka30/gettyimages

もともと、そばはそば粉と水のみで作られた「十割そば」(別名:「生粉打ち」)が基本だったのだとか。そば粉のみの場合、コシがなく切れやすいことから、熟練の腕がないと作ることが難しいのです。

そういったことから作りやすさ、扱いやすさ、食感などを改良するために、江戸時代頃から小麦粉をつなぎに加えた「二八そば」が誕生することに。

二八そばとは、一般的には小麦粉の割合が二割、そば粉の割合が八割という意味。それ以外にも、小麦粉:そば粉=1:10となっている外一(そといち)や、七三(しちさん)などの他の割合で作られるそばも存在します。

ただし、三割以上のそば粉を含んでいないとそばを名乗れないことになっていたり、二八そばと謳っていても割合のことではなく、十割そば以外すべてを指していることもあるそう。(決まりがあるわけではないようです)


「そばそのものの香りや歯切れが良い方が好き」、という方は十割そばを。途中で切れにくく、ツルっと食べられて時間が経っても食感が変わりにくいそばを好むのであれば、それ以外のそばを選ぶとよいのではないでしょうか。(市販品としてスーパーなどに並ぶそばは、後者が多くなっていますよ)

ゆで方によるおいしさの違い

せっかくこだわってそばを選んでも、何となくゆでてしまうとおいしさが半減することも…

ポイントは、
・大きな鍋を使うこと
 (一般的なそばの長さが24cmなので、それ以上が理想)
・乾麺のそば100gにつき、1.5リットル以上の湯を沸かす=たっぷりの湯の目安量
 (そばを入れた時に温度を下げにくく、芯が残りにくい)
・途中で水を加えない
 (吹きこぼれないように様子を見て、火力を下げればいいだけなので不要)
・時間通りゆでたら、すぐに流水で洗う
 (両手でこするようにして、ぬめりを取り除く)
こういった点に注意すると、おいしく仕上げることができるといわれていますよ。一つ一つは特別な工程ではありませんが、理由を知った上で行うようにすると、理想的なゆで加減でそばを一番おいしく味わえるようになるはずです。

その他にも、氷水で短時間浸して水気を切ったり、出来立てをすぐに食べることも意識してみてくださいね!

そば選びの参考に!

まだまだ奥深いそばの世界……。

ぜひ、紹介した内容を参考にそばを選んだり、ゆでてみてはいかがでしょうか?
大晦日に限らず、年間を通じておいしくそばを楽しんでみてくださいね。

★この記事を書いたのは・・・ゆかり
管理栄養士&食生活アドバイザー。年長の女の子のママ。食材記事の監修、食育サイトの栄養相談や献立作成などで活躍中。個人で食育イベントの実施や、地元のケーブルテレビの食育番組に出演しています。
食べること、料理すること、喋ることが好きです。

 
 

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