「豚肉」の冷凍方法は?上手な保存のコツやおいしい活用レシピを紹介
2022/10/26
ご自宅で豚肉を冷凍保存するとき、買ってきたまま冷凍庫に入れていませんか。冷凍保存で保存期間を延ばすだけでなく、おいしさもキープするためには、冷凍前にひと手間かけましょう。本記事では豚肉をおいしく冷凍する方法や、おいしさを逃さず解凍する方法などを解説しています。
冷凍豚肉の保存期間は?
豚肉がどのようにカットされているのかによっても異なりますが、冷凍した豚肉は空気に触れる面積が大きいひき肉で2週間程度、それ以外は3~4週間程度の保存が可能です。
食品を冷凍にすると、いつまでも保存できるものと勘違いしている人も見受けられますが、冷凍保存していても劣化は進みます。
賞味期限内でも、食材の水分が失われ、酸化が進んで冷凍焼けが発生することがあり、色や食感が変化してしまうため、おいしさが損なわれてしまうことを覚えておきましょう。
豚肉をおいしく冷凍保存する方法
豚肉には複数の部位があり、切り方もさまざまです。豚肉をおいしく冷凍するためには、部位や切り方に依存せず、心がけておきたいポイントがあります。ここでは、豚肉を冷凍するときに、気をつけるべき冷凍保存のコツについて解説していきます。
空気に触れさせない
冷凍の際、極力空気から遮断するということは、豚肉を含め、多くの食品を冷凍保存するときに知っておきたいポイントです。食品は、空気に触れると酸化が進み劣化します。冷凍保存において大切なことは、食品を空気に触れさせないことです。
豚肉の通常空気に触れてしまう面をいかに空気から遮断できるかがポイントとなります。買ってきたまま冷凍するようなことはせずに、食品用ラップに空気を抜いて包み、さらに冷凍用保存袋や保存容器に入れて冷凍保存する方法がおすすめです。
早く凍らせる
冷凍に時間をかけてしまうと品質が劣化は進んでしまうため、豚肉のうまみが時間とともに失われていきます。買ってきた豚肉は直ちに冷凍の準備をしましょう。一度冷蔵庫で保存して、賞味期限が近づいてから慌てて冷凍保存に変えても鮮度が落ちてしまいます。
冷凍の準備が整ったら、急速冷凍をします。自宅の冷蔵庫に急速冷凍機能があれば使ってください。急速冷凍機能がない場合でも、金属製トレーや保冷剤を活用して、冷凍時間を短縮できます。
パックから出して食品用ラップなどに包み冷凍する
スーパーでパック包装されている肉は、パック内で空気に触れています。パックのままでは、冷凍保存しても酸化が進んでしまいます。空気からできるだけ遮断して保存するためには、パックから肉を出し、空気を抜きながら食品用ラップで包んで冷凍しましょう。
ひき肉やコマ切れなど細かく刻まれた肉は一定量をまとめて、薄切りや厚切りなど1枚ずつになっている肉は1枚ずつ食品用ラップで包むと、空気から遮断できます。食品用ラップで包んだうえで、冷凍用保存袋や保存容器にまとめて入れて冷凍しましょう。
表面の水分を取る
パックで売られている豚肉から赤い水分が出ていることに気づいたことはありませんか。パックに溜まっている赤い水分は血ではなく、「ドリップ液」と呼ばれる肉のうまみや栄養です。
豚肉のドリップ液は、放置すると臭みの元にもなります。豚肉の臭みを減らすためにも、冷凍保存する前に肉表面の水分をきれいにふき取っておきましょう。
小分けにすれば時間短縮できる
パックで買ってきた豚肉を丸ごと冷凍にせず、料理1回分程度の小分けにしておけば、冷凍時間も短縮でき、使うときも必要な分だけ取り出せるため便利に使えます。
どのような料理で使うのか決めていないときは、小さめの単位で小分けして冷凍しておけば、使用量に応じて調整できます。
下ごしらえしておくと便利
用途はある程度限られてしまいますが、冷凍前に下味をつけたり加熱したりといった下ごしらえをしておくと、生のまま冷凍するよりも賞味期限を延ばすことが可能です。
下ごしらえで調味料を使ったり、火を通したりすることで、細菌の繁殖が抑えられるためです。解凍後の調理時間を短縮することもできるため、用途が決まっている豚肉の場合は、下ごしらえまでしてから冷凍保存してみましょう。
豚肉の切り方別の上手な冷凍方法
豚肉を冷凍保存する際のコツを踏まえ、次は肉の切り方に応じた冷凍保存のコツを解説します。豚肉は切り方によって、空気に触れる面の大きさも、肉の厚みも異なるため、冷凍保存の基本的なポイントをクリアするためにも、肉ごとに異なる最善の保存方法を覚えておきましょう。
ブロック肉
肉の塊であるブロック肉は、使う料理によって冷凍方法を変えましょう。焼き豚やローストポーク、煮豚など、塊のまま調理する場合は塊のまま冷凍しておく必要があります。
シチューやカレー、角煮など、小さめの塊で調理する場合は、冷凍前に適当なサイズにカットし、1回分ごとに小分けして冷凍しましょう。
いずれの場合も、食品用ラップに包んで冷凍しておきます。冷凍用保存袋や保存容器に収まれば、食品用ラップした豚肉をまとめて保存袋や保存容器に入れてから冷凍しましょう。
ひき肉
ひき肉は細かくカットされている分、空気に触れる面が多いため、劣化しやすいので冷凍の下準備でもなるべく空気に触れないように注意が必要です。
冷凍前に表面の水分をふき取り、1回分ずつに分けて食品用ラップに包んで保存しましょう。生肉のまま冷凍するよりも、炒めたり下味をつけたりしておいてから食品用ラップで包んで保存した方が保存期間を延ばせるのでおすすめです。
薄切り肉
薄切り肉は1回分ずつ小分けにして食品用ラップで包んで保存しておきます。薄切り肉はパックに並べられた状態だと折られたり重ねられたりしていることが多いため、水分をふきながら1枚ずつ広げて食品用ラップで包みます。
小分けして食品用ラップに包んだ薄切り肉は、冷蔵庫の機能や金属製バットなどを使って急速冷凍を行ったあと、冷凍用の保存袋や保存容器に入れて冷凍庫で保存しておきましょう。
厚切り肉
とんかつやステーキなどに使う厚切りの肉は、1枚ずつ食品用ラップで包んで保存しましょう。表面の水分をふき取ったら、筋切りや下味つけなど必要な下準備を行い、1枚ずつ空気が入らないように食品用ラップで包みます。とんかつにする予定の場合は衣もつけてしまって構いません。
食品用ラップで包んだ厚切り肉を、冷蔵庫の機能や金属製バットなどを使って急速冷凍します。冷凍できたら、冷凍用の保存袋や保存容器に入れて、冷凍で保管しておきましょう。
豚肉の解凍方法
冷凍した豚肉は、解凍をどのように行ったかによって、味が左右されてしまいます。手っ取り早く解凍しようとしてしまうと、ドリップ水として肉の水分がうまみとともに出てきてしまうので注意が必要です。
また、暑い季節に「常温においておけば、早く解凍できる」と、常温下に放置するのも、細菌の繁殖が進んでしまうリスクがあるため、おすすめできません。「どうせ加熱調理するから」といきなり加熱してしまうのも、料理によっては加熱しすぎとなってしまいます。
ここでは、冷凍した豚肉の解凍方法を見ていきましょう。
おいしさを求めるなら冷蔵庫で自然解凍
豚肉のおいしさを保ったまま解凍できる方法とされているのは、冷蔵庫内で時間をかけて自然解凍する方法です。
冷蔵庫で自然解凍させる方法では、解凍に半日から1日程度かかってしまいますが、肉全体が均一に解凍され、ドリップもあまり出ないため、肉のうまみを保てます。
完全解凍より半解凍
豚肉は加熱調理をすることから、解凍の際も、あとで加熱されることを前提に、半解凍で留めておくことをおすすめします。解凍しすぎてしまうとドリップがたくさん出てしまい、ドリップとともに肉のうまみも肉から出てしまうので注意しましょう。
半解凍に留めておけば、ドリップの量も少なくて済み、うまみも肉に留めておけます。また、半解凍まで解凍しておけば、調理時に加熱しすぎることも抑えられ、包丁で切ることも可能です。
時間短縮できる手軽な解凍方法
冷凍してある豚肉をすぐに使いたいというときは、時短ながらなるべくおいしさを逃がさずに済む解凍方法があります。
ここでは、解凍時間を短縮したいときにおすすめの解凍方法として「流水解凍」と「氷水解凍」を紹介します。冷凍庫で自然解凍する方法には及ばないものの、肉のおいしさも残せるので、時間がないときには試してみましょう。
流水解凍
流水解凍は、凍った豚肉を保存袋のまま水に浸けて解凍する方法です。流水解凍は水温により解凍するため、温度の急激な上昇を避けて、短い時間で半解凍にできるため、急いでいるときにはおすすめの解凍方法です。
ただし、水温が高くなる夏ごろは肉の表面温度が急激に上昇してしまうこともあり、鮮度が落ちやすくなります。流水解凍をするときは、水温にも注意しましょう。
氷水解凍
氷水解凍は、氷水に凍った肉を保存袋のまま浸けて、水温により解凍する方法です。流水解凍よりも水温が低いため、解凍に時間がかかりますが、冷蔵庫で自然解凍するよりも短い時間で解凍できます。
氷を入れて水温を下げているため、水温の高い季節でも氷を多めに使えば、細菌の繁殖を防ぎながら解凍できます。冷蔵庫で解凍している余裕がない、急いでいるときには、ボウルに氷水を張って氷水解凍を試してみましょう。
NGな解凍方法
冷凍保存している豚肉の解凍方法はいろいろありますが、中には肉のおいしさを損なってしまう解凍方法もあります。ここでは、できれば避けたい豚肉の解凍方法を紹介します。
ここで紹介する解凍方法では、水分やうまみが抜けてしまったり、風味も失われたりするため、調理で補うことも考えてみましょう。
電子レンジ解凍
解凍している時間がなく、すぐに解凍したいときには電子レンジ解凍が便利です。ただし、電子レンジを使った解凍では、加熱ムラができてしまい均等に解凍できません。
電子レンジを使った解凍では、冷凍した豚肉に急激な温度変化を与えてしまうことからドリップも出てやすくなります。電子レンジ解凍は、本当に解凍時間がないという限られた場合のみにしておきましょう。
常温解凍
暑い季節は、短時間で常温解凍してしまおうという人も見受けられます。常温解凍は、急激に肉の表面温度が上昇してしまうため、雑菌が繁殖しやすくなり、おすすめできない解凍方法です。
急激に解凍されることで、ドリップも出やすく、うまみも風味も逃げてしまいます。忙しいときや面倒なときでも、常温解凍は避けてください。
冷凍した豚肉の活用レシピ
ここでは、冷凍しておいた豚肉をおいしく活用できるレシピを紹介します。レシピ内で使用している豚肉の部位や味つけなどを参考に、豚肉を冷凍する前にしておきたい下処理や下味のつけ方なども考えてみましょう。
塩こうじでやわらかとんかつ
「塩こうじでやわらかとんかつ」は、厚切りの豚肉を塩こうじに漬け込み、とんかつを作るレシピです。塩こうじに含まれる酵素により肉がやわらかくなり、ジューシーなとんかつを楽しめます。塩こうじによりうまみ成分も増えるのでおすすめの調理方法です。
冷凍した豚肉を解凍してから塩こうじにつけるよりも、豚肉を冷凍する段階で塩こうじに漬けて下味冷凍も可能です。必要なときに取り出して、衣だけつけて揚げましょう。
豚ひき肉と豆腐のチリソース、卵あえ
「豚ひき肉と豆腐のチリソース、卵あえ」は、食欲の落ちがちな夏にしっかり栄養補給したい人におすすめのレシピです。チリソースを使っているため、食欲が刺激されます。
冷凍保存している豚ひき肉を半解凍しておき、他の具材と一緒に加熱調理すれば、うまみが抜けてしまうこともなく料理に活かせます。ひき肉から多少水分が抜けてしまっても、水溶き片栗粉と溶き卵で閉じてしまうため、水分も残すことなく摂取でき、うまみを逃すことがありません。
豚バラ肉と大豆の炊き込みご飯
「大豆と豚バラ肉の炊き込みご飯」は、薄切りの豚バラ肉を使って作る炊き込みご飯のレシピです。豚肉はカットしたあと、生姜を炒め合わせてから炊き込むため、生の状態で冷凍した豚バラ肉の場合は半解凍したうえでカットや下ごしらえをしましょう。
「大豆と豚バラ肉の炊き込みご飯」を作る予定で豚肉を冷凍する場合は、あらかじめ豚バラ肉をカットして、生姜を炒め合わせてから冷凍にしておけば、炊き込みご飯の調理では時短を図れます。
豚肉の保存は冷凍を活用しよう
豚肉は、カレーやとんかつなど、日本人にとってなじみが深い料理に使われていることも多く、冷凍保存でストックしておけば、いつでも使えるので便利です。生のままではあまり日持ちしませんが、きちんとした手順で冷凍しておけば1カ月程度は保存できます。ただし、ひき肉に関しては冷凍しても2週間程度しかもたないので注意してください。
豚肉の正しい冷凍保存の方法と、冷凍しておいた豚肉の活用方法を理解し、上手にストックを活用していきましょう。