まだまだ暑さの残る夏の終わりから秋、風邪をひいているわけではないのに、なぜか鼻がムズムズする…もしかしたらそれ、秋の花粉症かもしれません。
ブタクサやヨモギといった植物によって引き起こされる秋の花粉症は、症状としてはスギやヒノキによる春の花粉症とよく似ていますが、対策には違う点が。今回は、気象予報士ライターで食育インストラクターの植松愛実が、秋の花粉症対策でぜひ気をつけたいポイントを解説します。

秋の花粉症って?
例年8月から11月にかけて、ブタクサやヨモギ、イラクサ、カナムグラといった草花が原因でくしゃみや鼻水などのアレルギー症状が出る人が多く、秋の花粉症と呼ばれています。植物名で聞いてもピンと来ないかもしれませんが、これらはほぼ全国的に分布する、いわゆる「雑草」です。
目や鼻の症状だけでなく、のどの痛みやじんましんなど全身に症状が出ることがあるほか、春の花粉症の原因であるスギやヒノキより花粉の粒子が細かいので気管支まで入り込みやすく、呼吸器の症状が出る人も。スギやヒノキのように「上から」舞うのではなく、草花なので「足元から」舞い、大人より身長の低い子どものほうが症状が悪化することもあります。
原因は近くにいる!通勤・通学経路に注意
春に飛ぶスギやヒノキの花粉は最大で200kmほども飛ぶことがあり、近くにスギ林がなくても花粉症の症状が出ることはよくあります。一方、秋の花粉症の原因となる草花の花粉はせいぜい500mくらいしか飛びません。つまり、秋は原因となる植物の近くを通らないようにすれば、症状をやわらげることができるというわけです。
秋の花粉症を引き起こすブタクサやヨモギ、カナムグラといった草花は、空き地や線路沿いの土手、川沿いなどによく密集して生えています。たとえば通勤や通学の経路に雑草の生い茂っている空き地がある場合、可能であればそこを避けて通るようにするのがおすすめです。
また、春の花粉症と同様に、マスクやメガネによる対策も有効です。秋の花粉は午前中に飛びやすいため、とくに午前の外出は帰宅時にしっかり衣服の花粉をはらっておきましょう。
積極的に食べたいもの・気をつけたい食べ物は?
花粉症の症状がつらい時期には、免疫をととのえるため、腸内環境の改善につながる食べ物を積極的にとるようにしましょう。食物繊維が多いさつまいもやキノコ類や海藻、また腸活でよく知られるヨーグルトもおすすめです。
一方で、花粉症の人は一部の食べ物でアレルギー症状が出ることも。たとえばブタクサの花粉症があると、きゅうりやバナナなどを食べたときに口の中や唇がかゆくなることがあります。
ほかにもヨモギの花粉症の人は、にんじんやセロリなどセリ科の植物で反応が出ることも。症状が重くなることもあるので、気づいたら無理に食べようとせず早めに医師に相談しましょう。
秋ならではの花粉症対策でつらい季節を乗りこえよう
日本では年間をとおしてさまざまな花粉症があり、症状に自覚のない潜在的な患者も含めると、実際の患者数は統計でわかっているより多いとも言われています。
この記事で紹介したように、秋の花粉症は春とは異なる特徴があるため、もしかして花粉症かも?と思ったら、まずは通勤や通学の経路を変えてみるなど、取り組みやすいことからためしてみましょう。また症状がつらいときは、遠慮せず医療機関を頼ってくださいね。