スーパーで数日分~1週間分の買出しをする際、すべての日の献立が決まっていなくて、「とりあえず」何か野菜を買っておかなければならないことって、よくありますよね。そんなとき、もやしなら安いしいろいろ使えそうだから、「とりあえず、もやし買っとこ」という流れになることもありそうですが…、野菜ソムリエとしては、おすすめできません。
今回は、仕事で作り置き料理の代行もつとめる野菜ソムリエの植松愛実が、なぜ「とりあえず、もやし」がNGなのか、そして真に「とりあえず」買うべき野菜は何なのか、その理由とともに解説します!

なぜ「とりあえず、もやし」がNG?
野菜ソムリエが「とりあえず」買う野菜としてもやしをおすすめできない最大の理由は、その日持ちです。もやしは日光が当たらない高温の工場内で生産されるため雑菌が繁殖しやすく、買ってきたら当日か翌日には使いきるのが理想的。そのため、献立が決まっていない段階でもやしを買うのは、あまりよい選択肢とはいえません。
もちろん、もやしを長く保存する方法もあって、たとえば水を張った保存容器に入れておくと1週間程度は持ちますし、冷凍も可能です。ただ、水につけて保存する場合は、少なくとも2日に1度は水を替える必要がありますし、冷凍する場合は食感がかなり変わります。
それだけの手間を考えると、「とりあえず、もやし」を買うことのコスパがよいとはいえないので、もし献立が決まっていない状態で野菜の買い出しをするのであれば、次の項目以降で挙げる野菜がおすすめです。
意外と日持ちして使い勝手がよい!葉物野菜
ほうれん草や小松菜といった葉物野菜なんて、日持ちしない野菜の代表格では…?と思われそうですが、2日程度しか持たないもやしと比べ、葉物野菜はそのまま冷蔵庫に入れるだけで3~5日程度は持ちます。さらに、キッチンペーパーにつつんでからポリ袋に入れ、冷蔵室に立てて保存するという「ひと手間」をやっておけば、1週間ほど保存可能です。
もうひとつうれしい点は、あらかじめメニューが決まっていなくても使いきりやすいこと。というのも、ほかの具材と組み合わせなくとも、おひたしやナムルなど単独でもちゃんと副菜になりやすく、冷蔵庫の在庫状況に左右されずに調理できるからです。しかも、ボリュームを出したいときは卵やベーコンなど余りものといっしょに塩こしょうで炒めるだけで、簡単にかさ増しできます。
また、ほうれん草も小松菜もチンゲン菜も、加熱後にきれいな緑色が残る野菜なので、いそがしくて適当に献立を決めてしまった場合でも、葉物野菜の副菜がひとつあれば、食卓が全部茶色になってしまうのを防ぐことが可能。いろんな意味で使い勝手がよいのです。
とにかく万能すぎる!きのこ類
きのこは種類によって日持ちが異なりますが、しめじは5日程度、エリンギやしいたけは1週間程度は持つので、献立が決まっていないとき「とりあえず」買うのにぴったり。また、主役でも脇役でも使うことができ、最終的には洋風でも和風でも汁物に入れてしまえば消費できるのもうれしい点です。
もし使いきれなかった場合、冷凍しても味や栄養がそこなわれず、しかも一度冷凍することで旨味成分が出てきやすくなるため、保存しながらおいしさを底上げできるという利点も。とにかく万能なのです。
切った状態でも日持ちする!大根
これから秋~冬の間に出荷量が多くなる大根は、たとえ1本まるごとでなくとも、カットした状態で日持ちするうれしい野菜です。大根を「とりあえず」買ってしまうと冷蔵庫に入れる場所がない…と思われがちですが、1/4本やそれ以下の小さいサイズに切った状態でも保存可能。
簡単にラップでつつむだけでも1週間程度は持ちますし、ラップにつつんだあとポリ袋に入れておけばさらに理想的。その状態で冷凍もできます。万が一、冷蔵庫の中で多少シワシワになってしまっても、水を張ったボールにしばらくつけておくと復活するので、試してみてください。
買い物の段階から料理の負担を減らそう
もし「とりあえず」買った野菜があまり日持ちせず、すぐに使い切らなければならなかったり、手間のかかる保存方法が必要だったりすると、料理全体の負担がどうしても増えてしまいますよね。今回ご紹介したように、献立が決まっていてすぐ使うときに買うとよい野菜と、献立が決まっていなくても「とりあえず」買いやすい野菜がありますので、ぜひ使いわけることで日々の料理の負担を減らしていきましょう。
■執筆/植松愛実
本業の気象予報士と副業の料理人、2足のわらじを履く主婦。誰かに教えたくなるお天気の豆知識や災害に備えるコツ、「食」に関する情報を中心に発信中。
編集/サンキュ!編集部