「賞味期限」を過ぎたらすぐに食べられなくなるわけでないことは、多くの人が知っているかと思います。しかし、どれくらい過ぎても食べられるのか、どういった食品ならとくに安心なのかはあまり知られていません。
この記事では、管理栄養士であるゆかりさんに、賞味期限が過ぎても食べられる食品【10選】と、食べられるかどうかの目安について紹介してもらいます。
賞味期限の意味
「賞味期限」とは、安全に食べられる期限である「消費期限」とは異なり、おいしく食べられる期限を指します。
そのため、定められた保存方法を守り、未開封の状態で、なおかつ異常が見られなければ、「賞味期限」を過ぎても食べることができるのです。
「賞味期限」は、食品メーカーが実際の期限に対して安全係数をかけて短めに設定されているため、過ぎたからといって捨てる必要はありません。
むしろ、少しでも食べられるのであれば、そのポイントを知っておくことでフードロスを減らすことに役立ちます。
賞味期限切れでも食べられる食品
先述の通り、食品全体を通して賞味期限が切れてもある程度食べることが可能です。
ここでは、その中でも賞味期限そのものが長く、期限切れでも食べられる状態が比較的長いものをご紹介します。
1.缶詰
金属製の缶に詰めて密封し高温殺菌されていることから、非常食用に賞味期限が10年に設定されるものもあるほど、長期保存ができる食品です。一般的なものは、2~3年の賞味期限が多くなっています。
缶が膨らんでいる、サビが見られる場合は、何らかの影響で中身が腐敗したり空気に触れて劣化したりしている可能性があるので、食べるのは避けましょう。
2.レトルト食品
酸素や水蒸気を通さない袋(パウチタイプ)やトレー(容器タイプ)に食品をつめ、高温・高圧で殺菌された食品です。常温で1~2年ほどの賞味期限がついた食品が多くなっています。
アルミなどが使われていて中身が見えないもの、透明なもの、ご飯やおかずを詰めたものなど幅広い種類があります。
袋や容器に穴が開いている場合は、腐敗、劣化の可能性があるので、食べないようにしましょう。
3.乾麺(パスタ、そば、うどん、そうめんなど)
小麦粉などに水分を加えてつくった麺を乾燥させ、水分を大幅に減らした食品です。多くは1~2年ほどの賞味期限があります。
湿気を含まなければ、腐敗やカビの発生は起こりにくいため、保存状態がよければ数年たっても食べられたというケースもあります。
4.冷凍食品
野菜や果物などは、ブランチング処理によって加熱をして酵素の働きを止めたあと、冷凍食品として加工されます。また、ほかの食品も含め、急速冷凍されることによって、冷凍による食品の変化をできるだけ抑えてつくられているのです。
一般的には、1年ほどの賞味期限が設けられています。温度変化が少なく-18℃以下で保存されていた場合は、品質が維持されるため、期限を過ぎても食べられることが多いです。
ただし、パッケージが膨らんでいる、食品に霜が多くついている場合は、劣化している可能性があるため食べるのは避けた方がいいでしょう。
5.調味料
砂糖、塩については、賞味期限すら設定されていないので、保存状態がよければ半永久的に食べることが可能です。
醤油は1年ほど、味噌は3カ月~1年ほどの賞味期限が多くなっています。
これらは、熟成期間が短いものや塩分量が少ないものほど短く、熟成期間が長く塩分量が多いと長持ちする傾向にあります。
気温の高い場所や湿気の多い場所で保管してしまうと、未開封でも発酵が進みやすくなります。そのため、直射日光が当たらない涼しい場所で保管するようにしましょう。
6.チョコレート
糖度が高く水分量が少ないため、腐りにくい食品です。ただし、風味の変化が速いことから6カ月~1年ほどの賞味期限が設けられています。
板チョコは比較的長くもちますが、生クリームが使われた生チョコ、ナッツやフルーツが入ったチョコレートは傷みやすいため、気を付けましょう。
7.缶飲料
缶に入れられて密封されたジュースなどの飲み物です。長期保存用に賞味期限が5年以上のものもありますが、一般的には1年~1年半となっていることが多いです。
ペットボトルなどと異なり、光や空気も完全に遮断するため長期保存ができます。
ただし、缶詰と同じく、缶が膨らむ、サビが見られる場合には飲まないようにしましょう。
8.ドライフルーツ
水分の多い果物を食べやすいように加工して乾燥させた食品です。
水分が少ないもの、砂糖を加えたものは、より細菌の繁殖を抑えやすいため、賞味期限が長めに設定されています。一般的には、3カ月~1年ほどの賞味期限となっていることが多いです。
賞味期限が短いものは1カ月くらいまでなら食べられるといわれることが多いですが、味や風味に変化が出ていたら食べるのを避けましょう。
9.インスタントラーメン
カップや袋に入ったお湯をかけたり煮たりするだけで手軽に食べられるラーメンです。
カップタイプは6カ月、袋タイプは8カ月ほど賞味期限があります。
使われている油が酸化することで、風味・味・香りが落ちやすくなります。穴が開いていたり、調味料が固まっていたりする場合は、食べないようにしましょう。
10.スナック菓子
いも、とうもろこし、豆、小麦粉、米粉などを使用して味付けをした、間食やおつまみとして食べられるものを指します。揚げる、焼く、膨らませるといったものが多く、代表的なものにはポテトチップス、せんべい、ポップコーンが挙げられます。
使われている食材や形状などにもよりますが、3カ月~6カ月ほどの賞味期限があります。
油を使ったものは、酸化によって味や風味が落ちるため早めに食べるのがおすすめです。また、個包装は未開封であっても外側のパッケージを開封することで湿気を吸いやすくなるものもあるため、注意しましょう。
食べられるかどうかを見分けるポイント
すべての食品においていえることですが、賞味期限内であっても「見た目」・「ニオイ」・「味」を確認することが大切です。
たとえば、カビのようなものがついている、明らかに色がおかしい、溶けや粘りがあるといった場合には、腐敗が進んでいて安全に食べられない可能性が高いです。
また、酸味のあるニオイや嫌なにニオイがある場合も、同様に注意しましょう。
味については、おいしいかどうかも大切ですが、刺激を感じる場合には食べるのを避けてください。
まとめ
「賞味期限」とは、未開封で正しい保存方法を守った場合においしく食べられる目安の期限です。
これは、食品メーカーによって安全を見込んで少し短めに設定されているため、期限を過ぎたからといってすぐに食べられなくなるわけではありません。
もともとの賞味期限が長ければ長いほど、表示の期限を過ぎても安全に食べられる可能性は高くなります。
ただし、必ず食品ごとの状態をチェックし、問題がない場合に限って食べるようにすることを心がけましょう。
ご紹介した内容を参考に、フードロス削減や食費節約に役立ててみてはいかがでしょうか。