秋から冬にかけて、スーパーの広告によく載るようになり、特売されることも多くなるしいたけ。現代では菌床栽培によって年中流通するためにやや季節感がうすれてきたとはいえ、やはり秋冬は鍋需要もあいまって、しいたけを買う機会が増えますよね。
しいたけは非常に身近なきのこですが、意外と「もったいない」食べかたをしている人もいるかも!?今回は、野菜ソムリエ・食育インストラクター・気象予報士として活躍する植松愛実さんに、できれば避けたいしいたけの「もったいない」食べかたと、おすすめの解決策を教えてもらいます。

サッと加熱するだけじゃ「もったいない」!
しいたけには、出汁としても使えるほど豊富な旨み成分が含まれていますが、固い細胞壁に守られているために、短時間加熱しただけではその旨みを味わうことできません。そのため、しいたけの旨みをしっかり感じるためには、サッと加熱するのではなく、じっくり時間をかけて炒めたり煮たりするのがおすすめです。
ちなみに、しいたけは冷凍すると細胞壁が壊れやすくなるため、あらかじめ時間のあるときにスライスして冷凍しておけば、使うときは凍ったまま鍋やフライパンに投入し、短時間で調理できます。冷凍で1カ月ほど持つので、保存の面でも便利ですね。
軸を捨てるのは「もったいない」!
しいたけは軸の部分にも旨み成分がたっぷり含まれているので、捨ててしまうのはもったいない…というのは、聞いたことのある人も多いかもしれません。とはいえ、軸は傘よりも固いので、使いみちに困ることもありますよね。
一番簡単なのは、しいたけを使う料理に、軸の部分も細かく裂いて入れてしまう方法。石づきを切り落とした軸を繊維に沿って縦方向に手で裂くと、簡単に細くバラバラにできて、火がとおりやすくなります。
もし一度にしいたけをたくさん買った場合は、軸だけをつくだ煮にする方法も。細く裂いた軸を醤油、みりん、砂糖で煮詰めると、ごはんのお供が完成します。そのほか、軸を細かく切って炊き込みご飯に入れてもおいしいですよ。
【これはNG】生で食べないで!
しいたけは、どんなに新鮮なものでも生で食べることはできません。生のしいたけや加熱が不十分なしいたけを食べると、しいたけ皮膚炎と呼ばれる皮膚疾患があらわれることがあります。
そもそもきのこは、一部のマッシュルームやトリュフなどを除いて、基本的には生で食べられないものばかり。やわらかくてそのまま食べられそうに見えても、きちんと加熱してから食べてくださいね。
しいたけの「もったいない」を避けて食欲の秋を楽しもう
しいたけは和食にも中華にも使われる身近な食材ですが、ついつい短時間の加熱で済ませてしまったり、軸を捨ててしまったりと、「もったいない」調理をしていることも。今回ご紹介したコツを参考に、ぜひ旨みたっぷりのしいたけを存分に楽しんでくださいね。